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アンティーククロック~復讐を目指す非常識現実生活~  作者: 団栗山玄狐
第三章 縁を紡ぐ糸と真実を呼ぶ鐘の音
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act29 静かな話し合い

ビカラと主人公視点です。

と言っても動きは、ほぼ皆無ですが…



ある部屋での出来事。


寝床に転がり目を閉じるマコト。


そのマコトに珍しくビカラから話しかける。

『どうした?許嫁の件にまよっているのか?』


普段は話しかけることを控えていた。


最初は刻印者としての案内役兼守護者として状況説明のため、

積極的に話しかけたが今はそうではない。


マコトの判断に任せるようにしていたのだ。

現世には現世で生きるものに任せるべきだと思っているからだ。


今回は、少し事情が異なるのだ。

だからこそ、ビカラは確認しておきたかったのだ。


『そりゃね、不意打ちもいいところだ。確かに戦う力と神事についてばかり聞いていたからねオレは。

その事ばかり調べていた。それ以外は無視して、必要だと感じていたから…』


『そうか、悪いのう。じゃが、今回の許嫁の件は、汝には必要な事に感じたのも確かなのじゃ』


『必要?こんな色恋沙汰が?オレにとってはあの化け物と戦えることが重要で惚れたはれたなんて必要とは思わないんだけど…』


『そうじゃのう、汝にとってはそうかもしれん。じゃが、わしはそう思わん』


『なんで?あんたにとっては、神事に勝ち抜くことと化け物を倒すことが優先じゃないのか』


『その通りじゃ、間違ってはおらぬ。じゃが、わしは惜しくなったじゃよ』


『惜しくなった?わからないな。何が?』


『汝がじゃよ。汝は、自身のことを軽んじるところがある。

禍夜刀まがつやかと戦う時に強くそう感じた。こやつは、自身の命を賭けてでも禍夜刀まがつやかども根絶やしに従っている。相打ちになっても。と感じた』


『間違ってないね、その感じ方は。オレはアンタが感じる通りだと思う。

今のオレにはそれが全てだから』


『それが惜しいのじゃ。身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ、ともいうが、

汝は身を自身を捨てすぎる。だからこそ現世につなぎとめるべき何かが必要だと感じたのじゃ』


『それが今回の婚約で許嫁なのか、結構荒っぽいと思うけどその考え方』


『じゃが、必要な事じゃ。刻印の儀は、刻印者と導き手を繋ぎ歩むための儀式でもある。大切な誰かを持つことが人を弱くするのかもしれないが…逆もある。

護るべきものがある、人はその存在を大事にすることで心の強さを手にする。

その強さは、自身も大事にできる強さでもある』


『そんな大層な…』


『じゃが、汝には必要じゃ。最初から禍夜刀まがつやかの滅殺を望み、力に飲まれず興味を持たず、貪欲に現状を理解しようと努める。

そんな汝だからこそ、生きてほしいと思ったのだ。不意打ちになったが、婚約はもともとの刻印の儀の規則でもある。これをうまく利用して、効果的に汝に伝えることができれば、死者と復讐に囚われた汝を引き戻せるのではないか、と考えたのじゃ』


『なるほどね、策士だね』


『まあ、長く神の武将をしとるからの。自然に知恵もつく』


『そうか、オレじゃかなわないか。

まあ、安村のことも考えないといけなくなったのは、大変だよ』


『それでいい。貪欲で合理的に行動する癖に不器用で真面目と来たものだ。

今まであったことの無い刻印者じゃよ、マコトは』

マコトは、初めてビカラに名前を呼んでもらい驚いて上半身を起こした。


『オレの事を汝としか言わないんじゃないのか、アンタは』


『そのつもりじゃが、マコトの覚悟も見せてもらったしな。認めないわけにはいかんじゃろ。それに見てみたくもある、マコトが見せる先を』


『ああもう、雪だるま式に考えることが増える。

でも脳筋神様に認められたしね、やれるだけやるさ』


『期待しているぞ、マコトよ。ちなみに脳筋とはなんだ?意味を求めるぞ』



その意味を教えたビカラが猛抗議してきたことは、言うまでもない。




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