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アンティーククロック~復讐を目指す非常識現実生活~  作者: 団栗山玄狐
第二章 禍いなる夜の刃と彼らの真意
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act26 対決

主人公視点です。




AM 11時頃 廃工場にて





オレは、禍津夜刀の横っ面をぶん殴る。


吹き飛ぶ化け物を見て改めて手ごたえを感じる。


これなら戦える。



「とっとと消えろや化け物!」



吹き飛んだ禍津夜刀が、こちらに向けて飛び混んで来る。

それも速く。


その速さに対処が間に合わず、上から拳を叩き込まれ地面に顔をねじ込まれる。


一瞬意識が切れるが、慌てて体を横に転がし、追撃をよける。


相手を視界に入れ、体制を立て直す。


だが、そこに更に追撃される。

まだ、膝をついたままだったオレに禍津夜刀の膝蹴りが、綺麗に入る。


オレは、仰け反るように吹き飛ぶ。

そこを更に顔を上から掴まれ、相手の体重を乗せられ地面に沈められる。


更に、そこで蹴りを入れられ飛ばされる。


普通なら、koコースだ。


痛みは確かにあるが、それでも耐えれないモノじゃない。

今の体の違和感で動きが鈍く感じるくらいだ。



こうも見事にコンボを決められるとは思わなかった。

意外と自分が冷静にいるのに驚いてしまう。



向こうは、自身の優勢に悦に入っているようだ。


「がっぎゃぎゃ、どうした?この程度か?

無駄に抵抗してくる割には脆いな。

貴様は、他の妖か?ココは禍津夜刀(まがつやか)の主であるあの方の縄張りだ。

これ以上邪魔するなら一族郎党全て食らいつくしてくれる」




オレは、体を起こし



「そうかい、でも間違えるなよ化け魚。これでも人間なんだよ」



「そうか、貴様は刻印者とかいうやつか。

だが、この程度の力でオレに歯向かうとな」

と、見下しながら言ってくる。



「もう勝ったつもりかよ、本番はこれからだ」

オレは、立ち上がり禍津夜刀(まがつやか)を見据える。



『マコトよ、力業だけでは鎧に慣れておらぬ主では話にもならん。

もう少し考えて行動せよ。このままじゃと負けるぞ』

ビカラが、苦言を言ってくる。



『そうだな、少し冷静にならないとな』

そう返事をする。


そうだ、これは反撃の一手で狼煙だ。



それにこいつは禍津夜刀(まがつやか)どもの中でも下っ端もいい所だろう。

コイツに苦戦している場合じゃない。


オレの獲物は、コイツなんて目じゃないほど強く狡猾だ。





落ち着け、





落ち着け、





落ち着け。




と、自分に言い聞かせる。



「向こうエサは食いごたえが、ありそうだ。メスが二匹もいるしな」

と卑しい顔を浮かべる。



その言葉が、冷静であろうとしたオレのタガを外す。



「下っ端の分際でえらそうにほざな、化け魚!」

オレは、感情的なりそう言うと


数十の武法輪を周囲に展開する。


そして、銃弾と同じ速さで禍津夜刀(まがつやか)に撃ち出す。



慌ててそれをよける禍津夜刀(まがつやか)

見た目の割に軽快にうまくよける。


でも、何発かはよけきれずに奴の体に突き刺さる。


でかい図体の割に良く動く。



「この程度では、オレには届かんな」

余裕ぶって見下してくる。



コイツ、バカなのか。


こっちの攻撃を全て避けてからならわかるセリフだ。


よけきれてもいないのに強者ぶりがすごすぎる。


オレは、何を・・・何に憤りを感じていたのやら。



目の前の化け物の小者ぶりに、オレの頭は急速に冷えていく。




「さて無駄話は終わりだ、化け魚。

禍津夜刀(まがつやか)になったてめえを見逃すつもりはない。

ここで塵に帰れ」




「やかましいわ、今までのエサより力があるだけじゃねえか。

どんだけ暴れてもてめえらはここでオレに食われるんだよ。

それが正しい姿なんだよ」



「不自然な存在になり果てた化け魚に言われても何とも思わんわ。

エサエサとうるさいしな、

オマエの減らず口に付き合う気は無いよ。」




「強がるなよ、今までのエサどもも強がる奴はいた。

そんな奴は、手足を砕いて逃げれ無くしてから食ってやった。

自分の目の前で自身の手足を引きちぎり、ゆっくりとかみ砕いて見せた。

恐怖に打ちのめされるまでゆっくりとな。」

化け物は嫌らしい笑みを浮かべる。

下劣で卑しい笑みを。



だが、冷静になったオレにはそれさえも哀れに見える。



「そうかい、ならもう話すことはない。さっさとお前が弄んだ人たちに詫びに行ってこい!」

オレがそういうと




禍津夜刀(まがつやか)の周囲をドーム状に囲むようにいくつもの武法輪を配置する。


それは、まるで武法輪で作られた檻のように見える。


コイツは、自身の力に振り回されている。

酔っていると言ってもいい、だから常に相手を見下している。

それが、コイツの敗因だ。



「き、貴様こんなことしても意味がないのがわからないのかよ」

禍津夜刀(まがつやか)が、慌てていた。

逃げ場のない檻を作られて、マズイとでも思ったのだろう。




結果は変わらない、変わらないはずなのだ。

一抹の不安がよぎっていた。


 人などただのエサだ、オレは人を超えた生き物になっている。

 か弱い人ごときが、オレにかなうはずがない。


化け物は、得体のしれないモノに不安を抱えていた。



「じゃあな、化け魚!【落輪花】(らくりんか)!!」

そうオレが言うと禍津夜刀(まがつやか)の周囲を囲む武法輪が一斉に動き始める。


周囲を囲む武法輪が、化け物に向けて落ち始める。

堕ちる速さは、さっとより速い。

さっきの攻撃でもよけきれないのにそれ以上の速さと物量。


更に、囲むように逃げ場を無くした攻撃。



逃げ場のない包囲型集中攻撃だ。



しかも速さが尋常でない。


そこに金のことわりを使っている。



展開している全ての武法輪は、材質をウルツァイト窒化ホウ素に変更している。



天然でダイヤモンドより硬いとされる物質。

もちろん、衝撃にも強い。


まあ、加工されたモノは、どれでも固くなるんだけどね。



言い放った言葉に数秒後には禍夜刀(まがつやか)に着弾し、爆音と土煙が起こる。



禍津夜刀(まがつやか)はよける間もなく、オレの攻撃を全てその身に刻むことになった。



その様子をオレは見ながらつぶやいた。


「お前ら用にこさえた必殺技だ。落ちる花と一緒に地獄に堕ちな」



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