表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アンティーククロック~復讐を目指す非常識現実生活~  作者: 団栗山玄狐
第二章 禍いなる夜の刃と彼らの真意
23/52

act22 尋問

主人公、ヒロイン視点です。



AM 10時頃 薬師博物館の中、副所長室にて




『ごほん、では話を続けようか。

今回の件でマコトにとっては刻印者の力は、正に渡りに船だったわけだ』


「そうなるんだよ、隠していたのは悪っかたと思う。

でもこの力があればあのわけのわからない化け物どもを倒せる。

だから、使わせてほしい・・・いや使わせてください」

オレは安村に向かって頭を下げる。


もちろん、ビカラに向けてでもである。

安村の念珠の中に入っているからだ。


「いいよ、別に。巻き込んだのはお互い様だし、それに君が戦うべき相手は神事の延長線上にあるんでしょ。問題ないと思うよ」



『そうじゃな、是非もなし。と言ったところかのう。

元々あの力は退魔としてのモノじゃし、導き手の言う通り目的もあながち間違ってはおらぬ。

自重して使うのなら問題はないじゃろ、それに使う相手は我にとっても好都合じゃからな』



「どういう意味ですか、ビカラ様?」

コウ兄がたずねると


『元々刻印者が行う神事は、奴らを・・・禍津夜刃を封印するためのモノじゃ。

当時の退魔師たちや刻印者たちだけでは奴らに勝てなんだ。


じゃから封印と言う手段を取っておる。

何年かに一度の神事も封印をかけなおすものなのじゃ・・・

が、すでに一つが壊れてしまっているとなると問題じゃの』



「ええ、封印の石像も何とか修復しましたが、どう封印すればいいかもわからないままでした」

と言うと手提げかばんのような持ち手のついた木箱を机の上に置く。

その木箱は観音開きになっており簡単な金具で閉じらていた。



『ほう、これが壊れた石像か』

石像は、立像で手に何か武器のようなものを持ってた。

武将と言うよりは童に近い風体だ。



「ええ、倒す方法も封印しなおす方法もわかりません。

なので今回の説明会は正に助かったというのがこちらの見解です」



『簡単に言えばどうすれば奴らを倒せるか、封印できるかなんじゃが・・・わからんのじゃ』



「はぁっ、なんでわからないだよ。オマエ、神様だろうが。」

と、オレは声を荒げる。



『し、しかたなかろう。我の刻印者は全て1試合目で負けておる。

その後は我も現世うつしよにはおらぬ。状況がわからなくなるのじゃ。

そもそも我らは監視する者としてここにおる。

どのように封印したか、などは教えられておらん。

と言うかその時の記憶は封じられてから現世に降り立つのじゃ。

現世が混乱せんようにの。

じゃから、わからん。

それにの、神事の後で何が起きているかなどわからん』



「使えねェな、このポンコツ神様は。」

オレの悪態に


『ポンコツ、まあ言われても仕方がないかの実際そうじゃからの。

じゃが今ここに1試合目を超えた者がおる。

それにじゃ、我と目的を同じにする者もおる。何とか出るのではないかの』

ビカラの声は責められても仕方がないという感じで答えてくる。



「結構楽観的ですね、ビカラ様」

引きつりながら困り顔で言う安村に



『良いのじゃこれで、しかっめつらで考えてもどうにもならん。

ならばよくなると信じて進む方が良い』


「まあ、そうですね。その方がいいかもしれません。

それにマコトにとってもよかったんじゃないの。その力を使う許可が出て」

優しい顔で諭すようにコウ兄が言うと



「そうそう、さらに可愛い彼女ももれなくついてきてるしね。まあ、お姉ちゃんとしては寂しい限りだけど・・・」

とジト目で見てくるヤヨイ姉。




「彼女じゃねえよ、相棒だ。いや、仲間か?」


イヤ、彼女じゃなくて相棒だっての。

ほら、安村が困ってんだろ。


変にもじもじしてるし、困ってるから。




「それも違うと思うけど・・・」

と、オレをジト目でにらみながら呟く安村。



ん?何が違う?



よくわからん?




「まあまあ、良いじゃない。マコちゃんは戦える力が手に入って。

それよりおなかすかない?買い出しに行ってこようか」

ヤヨイ姉がそう言う。



もうそんな時間か、気が付かなかった。



「私も行きます」

と安村が賛同する。


「じゃあ、僕らはまだ話すことがあるから待っていていいかな」

コウ兄が優しい口調で言うと



「そうね、その方がいいと思う。」

ヤヨイ姉が同意する。



二人が連れ立って部屋を出ると

「いいのか、二人で行かせて。余計な事言うんじゃないか」

と、オレが心配そうにしていると



「大丈夫だよ、少しうれしかったんだろヤヨイは。

不愛想なお前が、女友達を連れて来たのが。」



「そういうものか」



「そういうものだよ」

優しい笑顔を向けられ納得するしかないマコトであった。





AM 11:30頃 商店街にて



明るめの色をしたワンピース姿の私と

活動的な服装で明るくふるまう美人さんとで街をぶらつくと嫌でも人の目を引く。


ヤヨイさん美人だからな~と思ってします。



長話でまたお昼の近いので明るくふるまう女性、東雲 ヤヨイ(しののめ やよい)が、

元気よく楽しそうに私の前を歩く買い出しした・・・まあ出来合いのお弁当とお惣菜を持って。



「ごめんね~、長話して。しかもあんな誇りまみれの部屋で」

と軽い口調であやまってくる。



「いえ、私こそです。説明を求めたのも私ですし、

ヤヨイさんこそそんなに気を使わなくてもかまわないので」

恐縮した顔で答える。


因みにビカラ様は、マコト君の方に移動してもらった。


もう少し詳しく話がしたいとビカラ様が言っていたためです。


恥ずかしい話を聞かれたらイヤだったから、ちょうど良かったかもしれない。


「私達さ、一応事故孤児になるわけで。ほんとは、その時の事故で孤児になったのが、他に4人いてさ、兄弟姉妹のようにやってきたの。だからマコちゃんが私たちの事を兄姉で呼ぶんだけど・・・いかんせん人の機微を読むのが出来ない子でね。

頭はいいんだけど・・・」

と、唐突に語り始める。



「そうなんですか、でもコウさんとは兄弟というよりもあの・・・」

と恥ずかしがりながらどう質問しようか迷っているミコを見ると


「ああ、その事。コウは私の兄弟と言うより彼氏だよ。

優しずぎるのが欠点だけど、それがまた可愛いの♪」

と、ご機嫌で答えてくる。


「そうなんですか。ちなみに興味なんですよ、

深い意味は何ですけど。久野君はどうなんです。」



「どうと言うと何かなミコちゃん。」

ニマニマとしながら私を見てくるヤヨイに対して




わたし、やらかしたぁ。



これ、自白してるのと同じじゃないの?



「いや違うんですよ、あのバカのお姉さんだから何か知ってるかな、なんで思ってアレとはこの2、3日しか知らないしどうなのかななんで思ってしまいまして・・・」



「うん、かわいいねぇ。大丈夫だよ、ウチのおバカさんは。

なんせ決めたら一直線周りを見ないで猪突猛進がモットーだし。

ホントはモテるんだけどね、本人はニブちんだし、というかそんな事気にも留めてないし。ほんと困った弟くんですよ」

やれやれといった感じで弟のことを話す姉のように。



「そうなんですか。あ~でもわかります。そんな感じですよね」



「そうなのよ、私とコウがいちゃついていればもう少し意識も変わるかな。

なんて思っても我関せずだし」

なんて、言っていた。



「そうなんですか、アレは意識を変えようとしているんじゃなく素なのでは」



「もう、そんなツッコミを入れる~。なぜにウチの年下組はツッコミ担当が多いの、ミコちゃん何て私と同じデレ組でしょ」

と決めつけてくる。



「いえデレではありませんよ、まあ問題はこれから山積みなんですけど」

照れながら目をそらすミコに



「もう~。可愛くてたまりませんな、この子は」

と言いながら抱き着く。


そして、私の耳もとで

「ねえ、いつマコちゃんに言うの?

アナタたちの婚約について」

と確信を突いてきた。



「へっ?何でその事知ってるんですか?」

完全な私の自供に


私から離れて嬉しそうにくるくる回るヤヨイさん。


「コウ君は歴史学者でもあるの。このあたりの神社仏閣の歴史やもろもろを調べている内にね。

マコちゃんが刻印者になったからその辺りも調べたのよ。そしたら・・・ね」


「どう、言ったらいいかわからなくて・・・第一印象は最悪から始まったてしまいましたし、

まだ知り合ってそんなに立ってないし・・・」

とほてる顔で口ごもる。



「ん~可愛い。なのにあの熱血鈍感弟は何をしているのかな。

目標一直線で行動できるくせに、状況に合わせて臨機応変に対応できるくせに

自分のことは相変わらず無頓着なんだから」



「でも、それが良かった・と・いうか」


「にひひ、うん。いいよいいよ、お姉さん嬉しくなっちゃう。全力で応援してあげる、というより鈍感弟の陥落に手貸かしちゃう」


「いや・その・・久野君陥落って言われても・・・」



「ダメよ、ミコちゃん。マコちゃん呼びして、意識させないと。

あのど天然鈍感男はわからないわよ。もっとグイグイいく、というかいかせちゃう」

と、勢いと熱量をヤヨイさんから感じる。


私、大変な人にばれたのかな。




後悔してしまった。



でも、相談できそうな人が、この人だけだし仕方ないよね。



そう割り切ることにしました。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ