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アンティーククロック~復讐を目指す非常識現実生活~  作者: 団栗山玄狐
第一章 古き神事と理(ことわり)の捉え方
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act17 奉納神事 神武天 激突!亥vs子4

主人公視点です。



AM4:00 ビカラ神社にて




少し時間は戻り、

戦いの続きに戻ることになる。


慌ててケンジは叫ぶ。

「何をしやがった!!」


当のオレは感情を出さないよう静かに息を整えていた。

「なにって、数のことわりを使っただけですよ。

数を増やしたり減らしたりしただけです。

わかっていたでしょう。」

と、淡々と答える。


見据える視線には油断がない。静かに冷たく表情にも表れている。


「そんなはずはない。お前のことわりごときで

オレの砕けないはずの武器と鎧が壊せるはずがない!」

ケンジは力強く言い放つ。


「おい、大した自信だが事実を受け止める度量がないのが、見えて情けないぞ」

ほぼ、棒読みで言うと


「何かしたんだ、違反をズルをそうじゃ無ければ

無敵の武器と鎧を持つ自分が押されるはずがない」

と、被害者目線で言ってきた。

バカにもほどがある。



自分が駄々をこねれば何でも覆るとでも思っているのか。

それとも、それが出来る甘々な世界で生きて来たんかいな。



「あきれた、何も知らないんですか。

ダイヤモンドは確かに天然では最も硬い鉱物の一つですよ。

でもそれはモース硬度で、話しです」


「そうだ、一番固いはずだダイヤモンドは」

その通りだ、言わんばかりに同意してきた。





その行動にオレは、呆れて





はあっ~と大きく息を吐く。





「いいですか、モース硬度は摩耗や削れにくいだけを表現した単位ですよ。

衝撃まで強いと言われていない。

ダイヤモンドなんて所詮は炭素鉱物です、






わかりやすく言えば炭ですね。





石炭でもいいか。





その仲間なんだから衝撃には弱いですよ。

確かどこかのテレビ番組で安いダイヤモンドを

市販の金属ハンマーで簡単に粉々にしていたことがあったくらいです。

ダイヤモンドなんて簡単に砕ける。



知らなかったんですか?」



説明口調で言うがその表情に変化はない、

それどころか見据える視線にはさらに威圧感がでる。

改めて相手を警戒しているようだ。



これはブラフかもしれない、と思ったのだ。

こちらを油断させるための。



「何をわけのわからんことを、どうせお前が何かズルをしたんだろうが!!」

と、怒鳴り始めるケンジに


ダメだ、こいつ。



と思ってしまった。



自分に都合のいい現実しか受け止められないんだ。



不利な事はねじ伏せるか、否定する。



普段ならそれでもいいかもしれないけど



戦いという理不尽な状況でそれは通じない。



それを・・・駄々をこねて不利な事はねじ伏せ、否定しても何も変わらないどころか




自分を追い詰めるだけだ。




「そうですか、自分が有利なら相手をコケにして、

不利になればズルをしたといちゃもんをいいますか。

名スラッガー様もなかなかご都合主義ですね、先が思いやられる。」

静かに正論を振りかざすマコト。

普段なら、正論で責め立てることはしない。



正論は、人を追い詰め逃げ場をなくす。

そうすればその人間は心も体も疲弊する。

最後は自分を自分で壊すことになる。



オレ自身もその手で追い詰められたことがあるのでやらない。

やりたくないのだ、喜んで人を追い詰める人間になりたくないからだ。



何より見たくないのだ。自分が追い詰められたことを思い出してしまうのでしんどいのだ。



見たくないから、思い出したくないから、やらないのだ。



それでも正論を言うのは、単に面倒になっただけだ。



このボクちゃんのすることに間違いはありませんよ~



と、いうこの甘ったれお坊ちゃまにに対して。



現実の恐怖から目をそらし、逃げてるおバカに。



「ふん、言ってろ。すぐに化けの皮が?がれる。正義はオレにあるんだからな。」

とふんぞり返るケンジ。




「そうですか、会話になりませんか。なら、先輩にもわかりやすく実演してみますね。」

と言うと右手の平を前に出し、武法輪を全体に展開する・・・




「武法輪を100個、展開。

 武法輪をy軸を中心に90度移動。

 各武法輪x軸を中心に毎秒600mで回転」



と、オレが大声で言うと、現れた武法輪が駒のように回転を始める。

横回転、つまりドリルのように回る。




「目標、眼前のイノシシ。

 各武法輪を時速2000kmで目標イノシシ頭に向けて発射準備」



と続けて大声で言う。

周りにいる者たちに自分が何をしているのかを分かりやすくしているのだ。




「何をさっきから言っている。説明しやがれ!このズル野郎!!」

ケンジは苛立ちながら叫ぶ。


「何?だから実演している。



ズルをしていないことことを、わかりませんか?




オレが何をしているかを。




理解できませんか?




これから何をするかを。」




と表情を変えずに言うと



「わからんから聞いてんだよ、このイキガリ小僧が!!」

怒鳴り声をあげるケンジ。



「そうですか、仕方ないから種明かししてあげますよ。



これは単位を付けて数を増やしたり減らしたりしているだけですよ。



車の速度も単位と数字で表します。



暑さも寒さも広さも単位があってそれに数字を付けて表すでしょうが。



それをしているだけですよ。


わからない、わからないと知ろうともしないで喚かないでください。


それは、先輩が現状を理解することから逃げてるだけでしょうが、



そのワガママに付き合えるほどオレは人間ができているワケじゃない」




「はあ?オレは逃げてなんかないぞ。


お前がやっている不正を指摘しているだけだ。


そんなことも分からんのか!


このドアホが!!」

いらだちを隠せないでいる。

最早、冷静にも立ち回れないようだ。




「そうですか、なら弾丸と同じ速度の法輪を100個、

そのご自慢のダイヤモンドの鎧で防いで見せてくださいよ、先輩。



そして、勝手な思い込みでダイヤモンドが最強だ、



それより硬いものなんてない、なんて幻想ごと吹き飛ばして見せます。


じゃあな、各武法輪発射!!」


と、オレはつつけざまに話、そのまま発射の号令をかける。


すると、一斉に100個の武法輪が、ケンジに襲い掛かる。

確かに大きなダイヤモンドなら砕くも大変だ。



だが毎秒600mでドリルのように回転した金属の塊が時速2000kmで加速してぶつかれば

拳銃の弾丸並みかそれ以上だ。



一般的にダイヤモンドは、一番固い鉱物と言われている。

これはモース硬度100が最高硬度で一番固いものと広まっている。





間違いではない。



確かに硬いのだが、それはくだけないわけではない。



モース硬度とは引っかきや削れにくさを現したもの。




衝撃に対しては何も言っていない。



改めて言おうダイヤモンドは、衝撃に弱い。

カンタンに砕ける。


これは映画や漫画などによる誤った見識が起こした錯覚だ。




ダイヤモンド=硬いもの=砕けない物

これだけでカッコいいもんな、実際。




でも、そんなものは、現実の内容に意味を持たない。




そんな幻想に取りつかれただけの厨二病設定だ。




実際は人が振り下ろしたハンマーで簡単に砕け散る。



なぜそんなこともわからないか。



答えは簡単だ。



ダイヤモンドは、値段の高い宝石だ。



綺麗だしね。



見た目の硬そうに見えるから余計だ。



それをわざわざ壊して無価値に変えれるほど人間は酔狂じゃない。

だから、あまりに認知されていない。


それに天然では3番目くらいに固い物質でもある。

見た目の美しさと金剛石といか言われているせいでもある。



でも、事実は違いのだ。

確かに硬いことは固い。



それは天然のレベルで、だ。

大きければ衝撃も分散されやすく、衝撃にも強いというイメージが定着されている。



衝撃の許容量を超えればどんなものでも壊れるのだ。

そうじゃないと加工できないからだ。



例え天然で最強クラスのダイヤであってもだ。



衝撃に弱いそんな天然物質の諸い鎧にこぶしほどの弾丸が雨のように降り注げばどうなるか想像できるはずだ。


ケンジの鎧は降り注ぐ武法輪が粉々に吹き飛はす。

鎧は砕け散り、獣の体が現れる。


さらにオレの猛攻は続く。

約2mほどの武法輪を作り出し、先ほどと同じ回転を与える。

周囲には土煙がたち上り、低い羽音のような唸るように響く。


「さっきと同じ回転とスピードをくらいな、ご自慢の鎧で防いでな。

もう砕けて無いみたいだけどな。

相手をバカにして見下してるヒマがあるのなら、

これからはもっと考えて行動するんだな。じゃあな先輩」

と、オレは巨大な駒のように回転する武法輪を打ち出す。


撃ちだされた武法輪が・・・弾丸が・・・・砲弾のように地面をえぐり、

溝を掘りながらケンジに向かっていく。


「そんな、馬鹿な。オレが何でこんな格下に・・・」


ケンジの体にめり込む砲弾が、鎧を砕きながら、そのまま結界の端、つまり壁のようになっているところまで突き進む。



いや、吹き飛ばす。


何もできないままケンジの巨躯は、結界の壁と砲弾に挟まれ、



その衝撃と痛みで意識を刈り取られる。



その後、砲弾が消え、ケンジは膝を折り、前のめりに倒れた。

斃れたケンジの巨躯が、小さくなっていってく。




もとの姿に戻っていく。




最初に。



いや、公園でオレに襲い掛かったときの姿になり、


服装は私服になっていたが、人の姿になって倒れていた。



すでに気を失っているようだ。


つまりは、


《これにて勝負ありです。

子と亥の刻印者の勝負は子の勝ちとします。

亥の持つ方位の欠片と理、武法具は子の刻印者のモノとなり、

亥の刻印者と導き手は失格となります。

以上で今回の神事は終了となります。お疲れさまでした。》

とアナウンスが響く。


その声が終わった後、ケンジとシオの念珠が砕け散り、

光となってオレとミコの念珠に吸い込まれた。

これでケンジとシオは神事の参加権利を失ったのだ。



気を失ったままのケンジにうなだれるように膝をつくシオ。



そして、神社内が修復され結界が解かれる。

朝日が昇り、日の光が肌寒い空気を温め始める。



長い、とても長い早朝が終わったのである。




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