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アンティーククロック~復讐を目指す非常識現実生活~  作者: 団栗山玄狐
第一章 古き神事と理(ことわり)の捉え方
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act15 奉納神事 神武天 激突!亥vs子2

主人公、ヒロイン視点です。



AM4:00 ビカラ神社にて



イノシシ面だから凶悪さが引き立つ。


というか、完全に見下してきてるな。


棍棒を振りかざし問答無用でオレに襲い掛かってきた。

大振りでもう避けてくださいと言わんばかりで棍棒を振り下ろす。


オレは、足の裏にそれぞれ武法輪を出し、地面からわずかに浮くように調整し、

ケンジの攻撃をかわす。


まるで地面をすべるように。実際滑っているんだけどね。


それを見たケンジの表情は更に凶悪になる。


「やはり逃げるのがうまいな!!ネズミ、でも所詮はつぶされるだけの存在でしかない事を

テメエにわからせてやる!」

強気は変わらず、と。



どうやって、よけたのか?。



なんでこんなよけ方が出来るのか?




なんて、考えないんだろうな。



うん、危機感ゼロだ。



さて、問題はこいつだけじゃないんだよな。


神社の結界の外には、二組ほどこちらを伺っている。

目の前のこいつだけなら派手に叩きのめしてもいいんだけど、



外にギャラリーがいるなら話は変わる。


あまり手の内を見せたくないな。


なんて考えて居ると


ケンジパイセンに何やら動きが出る。


棍棒と鎧が白く光りはじめる。



何、ミラーボールにでもなった。って感じだ。



まあ、実の所。理の法術を使ったのだろう。


十二支の刻印者にはそれぞれ固有の法術がある。


それが、ことわりの法術だ。


各刻印者のことわりはどんなものかは知っている。


因みに目の前のイノシシは、金のことわりだ。

金属、鉱物に変化、操ることが可能なのだが・・・


あのお方がそれをどこまで理解して、使えるのかがわからない。


相手の出方が今一つわからない。


考えすぎかもしれないが、用心することに越したことはない。



「それがご自慢の金の理ですか。で、金剛石でもまとわしたところですか。」

と、吹っ掛けてみる。


もちろん、ブラフだ。


こんなわかりやすい煽りに乗って来ないだろうとは思うけど・・・一応ね。



「よく知ってんな、この絶対の硬さ誇るダイアモンドの鎧と棍棒だ。

オレが負ける要素が見当たらんぜ。」

え?答えんの?


おバカなの?アドバンテージをばらすの?


普通隠すだろ、駆け引き的に。


「なるほど、金のことわりで鉱物に変化させたわけかい。因みにこっちのことわりを警戒しないのかい?」



「はっ、するわけないだろ。数が増減するだけの法術なんて。今まで子の刻印者は武法輪を増やしてぶつけるだけだと聞いたぜ。その程度の攻撃しか出来ん奴らをどう警戒するんだよ」

完全な見下し口調で言い切ってきた。



能天気な考え方だ。





二人が向き合い、開始の合図がされた時にシオが、私の隣までしれっとやってきた。

顔は自信に満ちており、負けることなど考えて居ないように見えた。


「どうしたのよ、巻き添えにして見殺しにする彼を見て悲劇のヒロインにでも浸ってるの?

あの子がひどい目に会うのはアンタにも責任があるのに」

皮肉を言い始める。



でも、反論が出来ない。

さっき言われたことがホントなら久野君が鎧をまとえないのは、完全に私の責任だ。

こればかりは、真実でしかない。


「そうよ、私が悪いの。それをいちいち言ってきて楽しいの?自分たちが勝てそうな相手に挑んで一勝を手に入れてその次には負ける。アンタんところはそれを繰り返してるだけじゃない。

自己満足のために勝てる相手にしか挑まない人たちにとやかく言われたくない」

私は、精一杯の反論をした。


負け犬の遠吠えである。

なんかみじめになってきたよ。



「なんか、バカらしくなってきたわ。負け犬のセリフしか言わないし・・・」



「アンタの思惑通りなって満足?」



「そうね、でも何だろ?アイツ。得体がしれない、何者なの?」

横目で私を見るだけのシオ。



「知らないよ、偶然巻き込まれただけだもの。彼の事なにも知らないよ。」

と、私は対峙する二人を見つめながら投げやりに答える。


『じゃが、アヤツはぬしらと無関係ではない。』

私の肩に乗るハムスターが言う。



「そのハムスター喋るの?」

驚くシオ。



「ああ、こちらビカラ様ですよ。ですが無関係じゃないのはなぜです?」

私が不思議そうに尋ねると



『アヤツは夜の災いのことを知っていた。まだ、開示されていない情報のはずじゃ。

なのに知っているということは、この神事は簡単に終わらんかもしれん』



「そんなことないですよ。いくらあの子が物知りでもことわりの力の差は埋めることはできません。

数のことわりは数を増やしたり減らしたりしかできない術ですよ。ケンジの使う金のことわりに勝てるはずがありません」

シオは自信があるのか反論を止めない。


『確かにの、毎回負けておるしの。じゃが、今回はどうじゃろ。マコト奴はいろいろと調べておった。それで言っておったぞ。

この数のことわりは使い方が難しい、が強力だと』


「え、使い方が難しいけど強力?どう難しいのですか?」

私が疑問に感じたことをたずねる。



『そうじゃの、たしかことわりの使い方に気づけないと最弱、気づけば最強になる。

とも言っておったかの。

我には、意味が分からんがの』



答えになっていない、と思った。

何でことわりを授けた本人が意味が分からないなんて言うのだろう、とも。



だがよく聞いてみると、ことわりには系統があって

それぞれの使い方や考え方が違うらしい。

それに理の法則を見出すのは導き手と刻印者の試練でもあるらしい。


其れゆえに理を与えるものにもその力の使い方は伏せられているのだそうだ。

まったく役に立たない神様だ、と思った。



「役に立たない神様ね。まあそれでもウチの勝ちは確定だけどね」

シオの強気な姿勢は揺らぐことはなかった。


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