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アンティーククロック~復讐を目指す非常識現実生活~  作者: 団栗山玄狐
第一章 古き神事と理(ことわり)の捉え方
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act11 インターバル

今回は、ビカラとヒロイン視点です。

視点きり変え分けをしていませんから読みにくいかもしれません。



フライング乱闘は何とか乗り切ったが、問題はまだ残っている。

久野マコトの奴は、考え込んでいた。



こやつが何を考え、何を見ているのか、正直わからん。


何にしても奴は刻印者としては未熟だ。


それも仕方がない事でもある。

導き手に選ばれ、刻印者になったわけではない。


刻印者の候補者として導かれた者なのだからな。

導かれるだけの因縁が奴にはあるのだろう。


付き合いは、半日程度だが奴は何かが異なる。

自分が置かれた状況を先入観なしで受け入れる度量があり、

異常な状況を打破するために知識を貪欲に手に入れ、使うことが出来る。



能力的には良い人材だ。


こやつが、隠している事が解ればよいのじゃが、まずは目先の問題じゃのう。

明日の神事開封の儀をこえてからじゃ。


十中八九、神事開封の儀の後に絡んで来る刻印者がいる。


我の刻印者のことわりは、数を増減させることが出来るモノ。

このことわりの謎を解き使いこなせる者はおらなんだ。


もちろん、他の刻印者にもおらん。

神事は、ことわり法術と武法具を扱いこなさないといかんのじゃからな。


それにもう一つ、遅れをとっていることもある。


問題積載過ぎて頭が痛くなるわ。


ワシは一応、神なんじゃぞ。


まあ、神の兵士の一人だがのう。


神将ビカラ、ワシの名でもある。







とりあえず目の前の問題が解決???したけど、まだわからないことが多すぎる。


それに神事に巻き込んだはずの久野が、私より神事に詳しいなんて何かあるはずだよ。

今も何か考え込んでいるし・・・。




「もう、乗り切ったんだから話の続きをしましょうか」

いつの間にか久野マコトの所まで来ていた。

私は強気に言う。



さっきまで突然の襲撃で大慌てだったので混乱していいた。


でも納得したわけでもないので急に強気になって迫ることにした。




今の状況に対処するのに疲れと、私からの強気な姿勢が彼の気疲れを加速させたのかもしれない。

彼は、細目でこちらを見てから小さく嘆息する。


「それももう面倒だ。だから後はビカラ、あんたに任すよ。」

そう言い捨てるとマコトは立ち上がり、ズボンについた土を払う。



「私の話はまだ終わってない」

私は立ち去らせしないと食い下がる。



「言ったはずだ、面倒だ、と。アンタの自己満足に付き合えるほど余裕があるわけじゃない。

こちとら余計な運動でへとへとだ。ただ見ていて慌てるだけのアンタと違ってな。

それに話しならそっちに移動したビカラでもできることだ。じゃあな」

と反論の隙も与えず、ふらつきながら歩き出す。



「私も言った。まだ・・・話が・・お・わ・・・・」

と行かせまいと久野マコトの手をつかみに動こうとすると



『休ませてやれ、話なら我が聞こう。そこまで意地を張ることもあるまい』

とミコの言葉をビカラの声が遮る。



「でも・・・」

と言葉をつづろうとすると・・・


『汝が導き手としての役目から逃げたことが今回の騒ぎの一端でもある。

あ奴はそんな状況でも悲嘆せず、腐らず、ただ目の前の問題解決に努めた。

逃げることも選択肢にあったにもかかわらずじゃ。

まあ我が強引に引き込んだこともあるが、それでも奴は向き合ってきた。

今は、休ませてやる必要がある』


ビカラ様の言葉に私は

伸ばした手を止め、強く握りしめる。

立ち尽くしてその場を去るマコトの背中を見据える。



少し頭を冷やして彼の姿を見れば久野とビカラ様の言い分も理解できた。



彼は、足元がおぼつかない歩き方だ。

よく見れば体のあちこちが土や草で汚れている。


それを見てしまった私は、唇を噛む。

あそこまで疲れ果てた相手に口論をしようとしていた自分に腹が立ってしまう。



私だって当事者なのに。

わかってはいたのよ、でもこうも自分が蚊帳の外にいて何もできないなんて!



何もできない自分、逃げている自分、そしてそのことを八つ当たりしようとしている自分。

いま、嫌な自分が満員御礼で私の中で総動員で責め立ててくる。



さらに気に食わないのは、私でもわからない自分の心情を他人であり、

疲労困憊の久野マコトはそのこともわかっている様だった。


それも気に食わなかった。



でも、これ以上彼に当たっても仕方がなかったのだ。

やり場のない怒りをどうしたらいいか分からなかった。


『どうやら、主は頭ではわかっているが納得できないということか。

祝詞までは時間がある。あの体力無しよりは話ができると思うぞ、導き手よ』

静かに諭すようにビカラの声が私の頭に響く。


「わかりました、これからとことん聞いてもらいますよ。覚悟してくださいね、ビカラ様」

と、小さくつぶやく。





pm8:00(20:00)




私は自室で寝転んでいた。

部屋にはベットがあるのだが、あえて床に寝転んでいた。


風呂上がりだから首からタオルをぶら下げている。

ラフな格好ではしたないと言われそうな姿だけど、だれもいないからいいよね、と自分に言い訳する。


「さて、ビカラ様。セ・ツ・メ・イしていただけるんですよね」

ミコはドスの聞いた声を出した。


『声に出さんでも念じるだけでいいぞ。そうせんと独り言の増えた娘に心配する親が部屋にやってくるかもしれんぞ。

神事の細かな説明がイヤなのじゃろう』

と諭させる。


『はい、その通りです。でも説明してください。


何であの人は久野君を襲ってきたんですか?


なんでシオはあの闘いを止めたんですか?


久野はなんで反撃しなかったんですか?』


と寝転んだまま、天井を見上げながら矢継ぎ早に念じる。


『そうじゃの、順を追って説明するかの』

と言うとビカラはやれやれという感じで説明を始めた。




 Q.何であの人は久野君を襲ってきたんですか?

  

 A.単なる勇み足である。

  突然、力を手に入れた人間によくあることだという。

  使ってみたい、試してみたい、という心理だそうだ。




 Q.なんでシオはあの闘いを止めたんですか?


 A.始まりの祝詞という神事開始の合図をしないうちに理を使った戦闘を開始してしまうと

  失格となるためだ。

  万が一使っても人に被害を出さなければ問題にはならないそうだ。




 Q.久野はなんで反撃しなかったんですか?


 A.これは前の質問と同じ答えだそうだ。

  反撃しても失格になるそうだ。

  どんな理由であれ力を使えば、その時点でルール違反となる。

  彼は、何かしらの理由で失格になるわけにはいかなかったそうだ。




 私的には失格になってもいいのだけど、久野君には困ることらしい。

 どうやら彼も力と願いをかなえる権利が欲しいんだと思い幻滅してしまったのだが・・・



『奴は、どうやら戦うための力が必要らしい。

なぜ必要なのかを尋ねると「この力じゃないと倒せない相手がいるからだ」といっておったのう』



 倒すべき相手それっ人なの?なんて考えて居ると



『どうやら、人ではないらしい。人外らしい、だから今回手に入れた力が必要らしい』



 人外?妖怪ってことかしら。



『さて、どうかのう?ただ人外と戦うための力を求めていたようじゃ。

なぜかはわからんが。

じゃから偶然手に入れた刻印者としての力が必要になったことも理由に入る。

だからこそ、あそこで巻き添え失格はしたくなかったようじゃ』



 そうか、だから必死に逃げていたんだ。

 なんか、悪いことしたな。



『さて、何を相手にするかは、おいおい問い詰めるとして。後は汝に覚悟の問題じゃな。マコトの奴もそれを気にしておった。

ぬしは逃げることしか考えて居ないとな。

逃げても何も変わらない、現状をあるがまま受け入れ、何とかする方法を考える方がまだあきらめがつくとな』



 なんでその方があきらめがつくのよ。

 理解できない。どうゆうこと?



『できないことを悩んでも時間の無駄になる。

でも、できないと割り切り何とかする方法を考える方が時間を有効に使えるとも言っておった。

奴は、割と達観しておるわ。あの年齢の割にはの。』



 時間の無駄か。

 そんなこと考えもしなかったな。



なんて考えながら意識が遠のいていく。

疲れていたのかそのまま静か寝落ちした。


『まあ、今の状況を認めれなくてもいい。ただ受け入れ何とかしようと思うことじゃ。

これは、流されることとは違うからの立ち向かうことになる。といってももう寝ているか』

とつぶやくビカラ。


『マコトの戦うべき相手・・・か。ワシの想像した相手でなければ良いのじゃがの・・・』



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