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日曜日の日常

作者: 蜂蜜


久しぶりの休日。

体の疲れもあってか起きたのはもう12.時を過ぎたくらいで、朝をポーンと通り過ぎてもうお昼どきになっていた。


流石にマズいと思ってのっそり寝室を出たら、グツグツ…コトコト…キッチンから心地の良い音が聞こえる。ふわっといい匂いもほのかに香ってきて…

聴覚と嗅覚に幸せを運んでくれているこの瞬間が、俺は好き。


「おはよ〜めっちゃいい匂い…!今日のお昼はなーっに…イタッ」


ひょこっとキッチンに顔を出した俺に裕司は軽いチョップを振りかざした。


「お、そ、よ、う?寝坊助?今何時かわかってんのか?」

「んーっと、お昼でしょうか先生!」


菜箸を片手にエプロン姿で呆れかえった顔だったとしても、コイツは何だか様になっていてかっこいい。

「分かってるんだったらもっと早く起きてこいアホンダラ」

「はいはーい!で、今日のお昼は??」

裕司の小言はいつもの事だから俺はあっけらかんと会話を続ける。


「ハーーー、まったくお前と来たら…

今日はサーモンのクリームパスタ。デザートはバニラアイスのリンゴジャム添え。」

「やっりぃ!!!俺裕司のパスタもお手製ジャムもだいっすきー!」

「…そろそろ出来んぞ。準備手伝え」

「おっけーであります!先生!」


あからさまにテンションが上がる俺とその反応に満更でもない顔の裕司。

こんな昼間が俺たちの日常になって早2年。

付き合い始めてからはもう5年になるかな。

大学生時代、バイト先で出会ってから…なんやかんやで今に至る。


「いっただっきまーす!」

「ドーゾ、召し上がれ」


ハフハフ、パクリとパスタを口に運ぶと口いっぱいに旨みが広がる。


「ンン〜!はいほうにほいひい!!」

「食べながら喋んなよ。むせるぞ?」

「らいひょーふだも…ンンッ」


美味しさのあまり調子に乗って頬張りすぎちゃって忠告通りむせてしまった。


「言わんこっちゃない」

「う…ごめん」

「ホラ、水。

…まぁ冬吾らしいよ」


水を手渡しながらフッと笑う裕司から、俺を愛でるような空気が感じられて。

気のせいじゃないと思いたいけど、これってただの俺の願望?そんで、こんなときキスしてほしいなー…なんて思ったりして。


「ハァ、美味しかった…しあわせー」

「お粗末さま。しかしまぁ毎度毎度うまそうに食うな。」

「本当に美味いんだもーん。

んじゃ、アイス!アイス!」

「わあってるって。いい子だからちょっと待ってろ」


裕司は軽く俺の頭をポンと叩いて席を立つ。これもまた日常だったりするんだけど、何回、何十回されても心が甘く幸せな気持ちになるんだ。


「デザートだぞー食えー」

キッチンから2人分のアイスを持ってきて、笑顔でアイスを差し出してくれる。

「サンキュー!んまーいっ!!」


一気に冷たくて甘い塊が口の中を犯す感覚。やっぱりアイスは堪らない。

幸せに浸ってると、突然唇に襲ってきた感触。


ちゅっ


「なっなに?!」

「いや、さっきして欲しそうだなーと思って?」

「あ、バレてましたか?」

「はい。バレバレです。」


付き合って5年とは思えない軽いキス。それは顔を向き合わせて笑っちゃうくらいのもので。でも妙に恥ずかしくて、嬉しくて。

ほんのりとアイスの味がした。



きっとこれからも俺たちの日常は



「……甘い。」


ここまで読んでくださってありがとうございます!

思いついたら、2人の出会いから書いてみたいです。

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