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第7話〜美香の手料理と新たなる脅威

やばい。ギリギリ、いや過ぎている。

今回は、話が気にくわなかったので、今日の朝から初めから書き直しました。なので、遅くなりましたがどうか楽しんで見ていただければ嬉しいです。

それでは本編へどうぞ。

昨夜の一件から一夜明けた朝、俺達は料理に使う調味料と調理道具を買いにモルダバの市場まで来ていた。そこにはたくさんの人が入り乱れており、食べ物や装備品、魔道具等が売られていた。


「美香、ニーナ、今日は寄り道無しだ。モヤイ襲撃の日までそれほど時間もない。だから、今のうちにバンバンステータスを上げておきたい。そのための時間が惜しい。だから、今日は勘弁してくれ。」


モヤイが村の人間に「また、1週間後にくる。」と告知してからはや三日。刻々とその時間は、近づいてきている。なので、一刻も早く装備と経験、ステータスを整えてモヤイ宅襲撃を試みなくてはならない。


「分かってるよ、お兄ちゃん。モヤイには『天罰』を与えなきゃね。」


「大丈夫、安心して。私も村から取られた物は、奪い返したいから。」


「そうか、分かった。」


それから一時間、市場を見て回り、買うものを買った。


・塩

100グラム


・調理道具

フライパン、両手鍋、まな板、牛刀、ペティナイフ、その他食器


塩は、100グラム/1金貨となかなかに高く、一袋(100グラム)しか買えなかった。なんでも、生産するのが難しく、出回っている量が少ないとのこと。技術レベルが低いとここまでさがついてしまうものかと実感した時だった。


調理道具類は、どれでも一つ1銀貨だった。だが、それにも理由がある。それは、一つ一つの形がいびつで見た目が悪いということだ。やはりここでも、技術レベルの差が日本と比べると低いことを実感した。異世界だからしょうがないけど・・・


そして、もう一つ皆で決めて買ったものがある。


・魔物図鑑


その名の通り、魔物の図鑑だ。中には、親切にも目次がちゃんとあり、ランク別に別れていて、びっしりと魔物の名前が書いてあった。魔物欄の中には、あのスライム状の魔物『スライム』や灰色狼の魔物『アンダーウルフ』、緑人型魔物『ゴブリン』、鳥魔物『シャープバード』等の今まで戦ってきた魔物の絵がすべて載っていた。これを活用すれば、戦闘中の指示が的確に通るようになるはずだ。今までは、「緑のやつ」とか適当な名前だったが、名前と絵が分かれば対象を照らし合わせることができ、名前が呼びやすくなる。そうすれば一瞬の間もなくなるだろう。


そして俺達は早速その4体の名前を覚え、市場をあとにし、魔物狩りに向かった。


─────

今日の天気も快晴、絶好のステータス上げ日和だ。相変わらず、美香にはキル数では勝てない。だが、自分も少しずつ成長してきているのは分かる。ちなみに今こんなかんじだ。


三条晴明

職業〈冒険者〉

・力450

・速さ430

・魔力480

・防御460

〈固有スキル〉

劣化

・触れたものを劣化させる(最大4日)

〈スキル〉

スティール(+1)

・相手から最大1つ盗むことができる

・なにが盗れるかはランダム

悪運

・悪いことがたまにおきる

双剣術(+1)

火魔法

・ファイアボール

氷魔法

・フリーズ


魔力は、頻繁に消費しているせいか一番高い。そのおかけで、〈劣化〉の能力も上がってきた。最初は1日時間を劣化させるだけで、200の魔力を持ってかれていたが、今じゃ4日で200の量だ。大分成長したとおもう。


双剣術の練度も上がってきており、なかなか巧みに使いこなせるようになってきた。


そして、今日は初めてスティールを使ってみた。これは、相手から持ち物を盗む技で、物理的ではなく、魔法的に相手から盗むものだ。つまり相手に触れられずに、アイテムを盗める物となっている。だが、人間には使えても魔物にはあまり使えない。だって、盗ったところでどうせ倒すのだから。もしかしたら、中には例外がいるかもしれないが、ほとんど対人間用の代物だ。一応魔物で練度は上げていくけど・・・


そして、ただいまはお昼、飯の時間だ。あれから、5時間ほど立っているのでお腹が減っている。ご飯の用意は、美香が主な料理担当で、ニーナがその助手を勤めていた。


そんななか俺は、木陰に腰掛けながら、料理作りに奮闘する彼女らを微笑ましく眺めていた。ほんとは、俺も手伝いたかったのたが、美香に「おとなしくしていて」と怒られてしまった。やっぱり、あの時作った飯が原因か・・・


「いやー、これでフリフリのエプロンがあったらな。ハートマーク付きの」


世話しなく動き続ける彼女らに、しばらくデレデレと鼻の下を伸ばしていると香ばしい臭いが漂ってきた。


「お兄ちゃん、もうすぐ出来そうだよ。『アンダーウルフの塩焼き』。」


それは塩でもんで焼いただけの肉なのにもかかわらず、素材の味が十分に引き出されている臭いだった。


「あー、なんて美味しそうな香りなの。これは夢?天国?」


大袈裟に言うニーナだが、彼女からしたら本当にそうなのだろう。元々ニーナ達の家では、肉など頻繁に食べらるものではないし、塩なんかまずてに入らない。そんなニーナは、よだれを垂らしながら、喜びのあまり食べる前に死にそうだった。


「そろそろいいかな?お兄ちゃん、お皿出してー。」


「はいよー、よいしょっと。」


俺は立ち上がり、インベントリから木製のお皿、フォーク、ナイフ、簡易テーブルを取り出す。簡易テーブルは、落ちていた木材をかき集め、そこら辺に自生しているつるで縛って組み立てたものだ。俺だって、ただ単に美香達を眺めていたわけではない。ちゃんと、仕事してたましたよ。


「わー、すごいー、これテーブル?器用に作るよね。さすがお兄ちゃん。」


「元々、工作は得意だったからな。」


「わー、本当にすごい。」


自分で言うのもなんだが、なかなかの出来映えだ。即席で作ったとは思えないほどに。


俺は、その場に簡易テーブルを置き、皿三枚とフォーク、ナイフをそれぞれ並べた。そこに美香が焼いた肉をフライパンごと持ってきて、皿の上に並べた。簡易テーブルは、床に座らないと食べれない高さなので、俺は草のある地面に、あぐらをかいて腰掛けた。ニーナは待ちきれない様子で、よだれを垂らしながら「いただきます」を言うのを待っている。さながら、子供のようだった。可愛い・・・


そこで、美香も席に付き終わった。


「それじゃあ、味わって食べてね。」


「「「いっただっきまーす。」」」



──────

「あー、美味しかった。また、作ってくれ美香。」

「私も、私も、もっと食べたい。美香の料理最高。」


「ありがとう、二人とも。特にニーナ。そんなに喜んでくれて本当嬉しいよ。また、作るね。」


感想を言うと美香の料理はやっぱり最高だった。最近料理をしていなかったが、腕前は一つも落ちていないどころか、より上がっていたと言うべきだろう。口に入れた瞬間ジュワっと広がる肉汁と香り。あれは本当に最高でした。


「じゃあ、食器洗い終わったら、また午後も頑張ろう。エネルギー満タンでしょ?」


「「はーい。」」


食器は近場の浅い川で洗った。水がとても澄んでいるので、飲み水としても利用しているし、魚も泳いでいる。元の世界では、下手に川の水も飲めなかったので、自然っていいなって感じた。


そんなこんなで、午後も魔物狩りに勤しんだ。




─────

それから1日と約半日後、俺達はモヤイの屋敷に向かうために、モルダバを出ようとしていた。あのあと俺達はアイテムを換金し、まずい飯を食い、銭湯に入り、宿屋で寝て、それを次の日も繰り返した。


朝日もまだ出ぬ時間。俺達は寒さに耐えながら、門前に向かう。すると、そこにはモルダバに入ってきた時にいた監察官の人がいた。


「ん?こんな朝からどこへ行くんだ。ってお前らこないだの夜のガキどもじゃねえか。」


「そうです。この間はどうも。」


「おう、そうか。で、こんな時間からどうした?」


「冒険者になったので、違う町にでも行ってみようかと。」


「なるほどな。冒険者になったのか。じゃあ、あいつのことは知ってるか?」


彼は眉を潜めて問いかけてきた。だが、当然なにも知らないので問いを返す。


「あれ?とはなんですか?」


「なんだ知らなかったのか。じゃあ、知っておいた方がいい。最近黒くてでっかい狼、通称『バウンダーウルフ』が出没しているんだ。その上、何匹かのアンダーウルフを従えていて、群れで行動している。死傷者も何人か出ていて、ギルドが急ぎ討伐を推奨してるやつだ。冒険者になったばかりのお前達じゃ危ないから、もし見つけたら逃げるんだぞ。」


彼は、俺達の身を案じ忠告してくれた。


「分かりました。もし、見かけても戦ったりはしません。ちなみにランクはいくつですか?」


「ランクはCだ。くれぐれも、自分の力を見誤るなよ。死んだら、目覚めが悪いからな。」


「ありがとうございます。肝に命じておきます。ところでお名前は・・・」


俺は折角だからと、身を案じてくれた彼の名前を聞くことにした。


「俺の名前か?俺はなカインドだ。しがない門番さ。」


(その割には額の傷が多くないですか?三本もあるって過去になんかあったでしょ。)


とひっそりと心のなかで思った。


「じゃあ、またどこかで。」


「おう、またな。くれぐれも死体として、再び顔を会わせんようにな。」


彼は最後まで、俺達のことを気遣ってくれた。


俺達はそのまま門を抜け、モルダバの外に出た。モヤイの屋敷までここからそれほどかからないが、道中何があるか分からない。


「ここからも、気を引き締めて行くぞ。」


「「うん。」」


そこから10分ほど歩いた。そこで俺はとあることにきずいた。それは、前みたい息が上がっていないことだ。以前では、少し歩いただけでギブアップだったが、今は全く辛さを感じていない。


「前より全然息が上がらなくなったね。成長した証拠だと思うよ。」


「確かに、目に見えるほど実感しているよ。短期間でここまで伸びるなんて。」


「さすが、ハルアキ君だね。またさらに惚れちゃうよ・・・・」


「なんか言ったか?ニーナ。最後の方が小さくて聞こえなかった。」


「ううん、何でもないよ。」


顔を赤らめながらうつ向くニーナ。俺はそれを見て、ニヤリとした。そう、ほんとは全部聞こえていました。ただ、その顔が見たくて。あれ?なんか俺、結構ニーナのこと認めちゃってる?


───なんて思っているどこからか察知したのか、美香が真っ黒なオーラを纏い始めた。嫉妬している。とても、嬉しいことなのだが、恐ろしいのですかさずフォローを入れておく。


「俺は美香の方が好きだよ。」


───瞬間美香の真っ黒なオーラは消え去り、ピンク色のほのぼのとしたオーラが出てきた。


「お、お兄ちゃんったら、そ、そんな大好きだなんて。」


顔を赤らめる美香。単純過ぎるけど、そこがまたいい。素直な子は好きだからな。


そんななか、ニーナは俺が美香に好きだと言ったことに不満を持った顔をしていたが、しょうがないと半分諦めていた。


─────

それから、再びモヤイ宅を目指し俺達は進んだ。その途中、ふと美香が話しかけてきた。


「そういえば、カインドさんが言っていたバウンダーウルフってどれくらい強いのかな。」


「なんだ、唐突に。死傷者が何人も出てるって話聞いただろう。俺達じゃ敵わない相手だ。」


「だよね。もし、遭遇しちゃったら大変だよね。」


・・・・・


「ちょっ、美香っ。それは言っちゃ───『ウォオォォォォーーーーン』」


俺は知っている。美香が口走った言葉はフラグが立つには充分な条件であることを。俺は知っている。この場合、このフラグは『死亡フラグ』に分類されることを。


「えっ?えっ?何?今の遠吠え、何?」


「美香ーー!今のは絶対言っちゃいけない言葉。フラグだよ。」


「えっ?ふらぐ?何それ?」


「つまり、美香がフラグを立てたせいで、バウンダーウルフがこっちに来てるってこと───『ウォオォォォーーーーーン』。まずいな、結構近いぞ。」


「どどど、どうしましょう。ハルアキ君。」


あわてるニーナ。そんな様子もかわい、ってそんな場合じゃない。


『ウォオォォォォーーーーーン』


100メートルほどのところに土煙が見える。そして、その中心にはやつがいた。3メートルもありそうな大きな黒い物体は、その鋭い目でこちらを睨んできている。周りには、群れの部下達らしき灰色狼のアンダーウルフ達が10匹ほどいるのが確認できた。


「ほんとにまずいな。逃げようにも、ここは平地。隠れるところがない。」


「ごめんね、お兄ちゃん。私が・・・」


今にも泣きそう美香は、俺に謝りなから、すがってきた。


怖いのだろう。それは充分に分かる。俺だって怖い。死ぬのは嫌だ。ならば、足掻いて足掻いて足掻き続けるしかないだろう。


俺は決意を固める。


「こんなところでは死ねない、死なない、死にたくない、死なせない。なんとしてでも美香達を守る。そのためには、どんな試練だって乗り越えて見せる。」


俺は剣を抜く。そして、それに当てられたのか美香とニーナも落ち着きを取り戻し始めた。


ちょっぴり泣いていた美香は、心を突き動かされた顔をして武器を構える。


あわてふためいてニーナは一度深呼吸をし、弓を抜く。


眼前にはCランク『バウンダーウルフ』とDランク『アンダーウルフ』10体。


「行くぞ。気を引き締めろ。」


「うん。」


「ええ。」


「ウォオォォォォーーーーーン」


俺達は、絶望に抗うため、一歩先へ進んだ。

読んでいただきありがとうございます。

次話はちゃんと日曜日の9時までに投稿を完了させておきます。

もし、感想、誤字脱字等がありましたら言って下さい。

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