第15話〜作戦続行不可能 3
勝手都合ながら、この物語を近日完結させようと思います。
「嘘だ。嘘だ。嘘だ。嘘だ。嘘だ。嘘だ。嘘だ・・・・・・・・」
「さて、次の邪魔者達はだーれかなー。」
彼女の身に纏う黒装束は、奇怪にも恐ろしく、赤装束に変貌していた。果たしてそれは、彼女の○なのか、彼女の○なのかは理解したくない。だが、私は彼と違って目の前で起きたことは一ミリも否定しようとはしなかった。
理由はとても簡単。
それは、私が奴隷だからである。
奴隷。
それは、ご主人様に付き従うことが使命であって、それ以外の何ものでもない。人間でいる権利すらなく、生き続けて良い権利もない。私達は、家畜以下の存在である。
故に、使えなくなった者はあっさりと棄てられ、家畜の餌になっていく。私は、その連鎖を今まで幾度となく見てきた。そして、毎回のように絶望した。嘘だと。これは偽物なんだと。
昨日まで一緒にいた子が次の日には消えている。絶望しかなかった。次は自分なのだろうか?と恐怖に駆られた。恐ろしくて、恐ろしくてたまらなかった。
その結果、私は自分を守るため、皆を守るため自力で『治療魔法』を習得してしまった。
そして『自分が守るべき存在しか、興味を持てない』という理念を得てしまった。
故に、彼の心境は少なからず理解しているつもりだ。近しい者を殺されたことは、認めたくない事実であろう。しかもそれが、近しい者の手によって殺されたのならばなおさらのことだ。それこそ、精神など保っていられるはずがない。
だが、今のこの状況に至ってはそれは別問題だ。彼女は、次の邪魔者を排除しようとしている。恐らく彼女の理念は『二人きりで生きていくから、一ミリも邪魔するな』なのだろう。
ということは、ここで彼女の目に止まるような行動を少しでもしたら、彼女と同じ目に合ってしまうわけだ。
『それだけは、なんとしても避けたい。避けなくてはならない。』
故に、彼女は───アンナは願った。1人の少年が現実を見てくれることに。願うことしかできない。家族の命が大事だから。
アンナは、他の子達一人一人に目を配せ、安心するようにと促した。そして、この状況でただ1人、自分達を救ってくれると約束してくれた存在を心から信じることしか出来なかった。
「ふーん。邪魔者は一人もいないって感じかぁ~。つまんなーい」
そう楽しそうに、嬉しそうに、皮肉そうに、悲しそうに言った快楽殺人者は、アンナのことを一瞥したあとハルアキの方に向かった。その行為に、何の意味があったかは定かではない。それは、本人達にしか知り得ないことだった。
次あたりもしかしたら、最後かもしれません。