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第10話〜モヤイ報復作戦 決行

超お久しぶりです。

実はこの話、ギリギリで書いたのでいつもより短くなっています。なので、近日中に次の話を上げたいと思います。

それでは、本編へどうぞ。

「ねえ、お兄ちゃん。それで、どういう作戦で行くの?」


紆余曲折を経てようやくモヤイの屋敷が見える岩の影まで来た俺達は、出来る限りの準備をそれぞれで進めていた。美香は格好だけでもと黒装束に着替え、ニーナは援護に徹するため矢に『雷魔法』を付与する。そしてかくいう俺は、この計画に必要な作戦を練っていた。


「ああ、だいたい練り終わった・・・・って、美香その格好?!」


「えへへ、どう?お兄ちゃん。ちょっと胸の辺りがきついんだけど、似合ってるかな?」


モヤイの屋敷に潜入するために着替えた美香の黒装束姿は、思っていた以上にアレだった。その豊満な胸は黒装束のサイズが合っていないのか今にもぼろが出そうで、ウエストのラインは通常よりもきゅっと締まって見え、ヒップの形が綺麗に見えた。


「ああ、似合ってるよ・・・。」


俺は妹には正直なので、恥ずかしながらもその格好を褒めた。


「ほんと?ありがとう、お兄ちゃん。」


そう言って美香は顔を赤らめたが、このままだと変な空気になると俺は思ったので直ぐ様、事の本題に入ることにした。


「え、えっとじゃあ、作戦の内容を話すから集まってくれ。ニーナも。」


「はーい。」


かくして俺は、事の本題『モヤイ報復作戦』の全容を二人に伝えた。


『モヤイ報復作戦』


「美香」潜入、実行役

気配遮断と気配察知を駆使して、建物内に潜入。目標を見つけ次第、美香なりの『天罰』を実行。影から操るつもりなので、殺すことは決してなし。もし見つかった場合はうまく応戦。それでも失敗したら『ジョーカー』を使う。


「ニーナ」援護、偵察役

美香のサポートが主な仕事。美香に極力、負担を掛けさせないために屋敷外の敵の無力化。ある程度の偵察を行う。今のところ、ほとんど仕事なし。


「晴明'ジョーカー'」潜入、宝探し、予備実行役

『加速』を使い、屋敷に潜入。金目の物を屋敷中探す。美香が『報復』を失敗した場合の予備実行役もとい'ジョーカー'。


「えっとつまりは、私が失敗した場合にはお兄ちゃんがやってくれるってことだよね?」


「ああ、そうだ。もっとも、俺は美香が失敗するとは思っていないけどね。」


「ありがとう、お兄ちゃん。私頑張るね。」


「よし、頑張れ。ニーナもほとんど仕事ないけど、精一杯頑張ってくれ。」


「うん。私も頑張る。」


計画は整った。後はこれを実行するのみ。俺はゆっくりと深呼吸をし、皆に聞こえる声で宣言した。


「これより『モヤイ報復作戦』を開始する。一応、警備は薄いという情報があるが、決して油断しないように。それでは、行くぞ。」


「はい!」×2


こうして、俺の合図と共に『モヤイ報復作戦』が始まった。



─────

「結構簡単そうね。」


さぞ、金をかけたであろう立派な細工を施した木製のどでかい門の前まで移動した美香は、1人呟いていた。門の両脇には、半分眠りかけている門番が二人。まじでやる気無さそうである。


美香はこれなら気配遮断も要らないんじゃ?と思いながらも、きっちり余裕を持って気配遮断を使い、門扉の小さい入り口を音を立てないように開け、モヤイ宅敷地内にすんなりと入った。


(ここからが、本番ね。まずは屋敷内に入らないと。)


屋敷の扉の位置は、門から約20メートル先。徘徊している兵士達も一人もいないのですんなりと中に入れそうなのだが、扉へと続く道に妙なものがあった。


(目が青く光ってる。なんか怪しい。)


扉までの距離に3メートル間隔で両脇に設置されているライオンのようなオブジェクト達は、まるで侵入者を排除するために設置されているようだった。


(警備が手薄なのは、これがあるから?でも、見るかぎり正面を通らなければ大丈夫でしょ。よし、ライオンの裏を通っていこう。)


美香は正面を堂々と進むのをやめ、回り道して屋敷の扉まで向かうことにした。だが、


ウウゥゥゥーーー


美香がちょうどライオンの後ろを通った瞬間だった。突然、サイレンのようなものがなり、ライオンのオブジェクト達が『ゴゴゴゴ』と動き出した。


「え?」


動き出したと言っても、ゆっくりではない。まるで、生きているかのように軽快に動き出したのだ。その数なんと12体。全ての目が赤くひかりだし、美香の方を向いた。


「え?なんで、きずいて・・・」


美香はこの時まだ気配遮断を使っていた。なのにも関わらず、ライオン達が美香の存在にきずいたということは、気配察知能力が自分の気配遮断能力より上ということになる。美香はそれを悟り、無駄な魔力の消費を抑えるため気配遮断を解除した。


「ああ、もう。うそでしょ?これじゃ、お兄ちゃんに誉めてもらえない。これじゃ、お兄ちゃんに失望される。ああ、もう・・・『殺らなきゃ』。」


そして美香は暴走した。



─────

「ああ、どうやら美香がやってしまったらしい。ニーナ、美香の援護を。俺は、中に入るから、よろしく頼むよ。」


「あいあいさー。」


屋敷の敷地内で土煙が起こったのを確認した俺は作戦失敗だと判断し、ニーナに援護を頼み、美香のカバーに行くことにした。


「『加速』」


俺はそう言って、自分の時間を3600倍に加速し、颯爽と門を抜け、屋敷の扉を開け中に入った。その途中、走りながら美香の姿を見たのだが、アレはもはや人間ではなかった。悪魔的なにか、絶望の象徴であろうか。


「さてまずはモヤイ殿を探しながら、何か見つけるとしますか。」


屋敷の中の構造は、いたってシンプル。入り口の正面には大きな階段があり、その昇った先には奥まで続く廊下、幾つもの部屋が両脇に存在。1階も側面に部屋が点在していること以外2階と同じ造りで、2階への階段の後ろには地下への階段もある。なお、装飾や細工はなかなかに凝っているもよう。


「じゃあまず、何かありそうな地下から見ていきますか。」


大事なものは纏めて奥にしまっておこう的な考えが頭の中に浮かんだので、一番怪しそうな地下から探すことにした。完全にお宝目当てである。


「はいー、すみません。そこ通してくださいー。」


俺は動くはずのないそこら中に点在しているこの屋敷の使用人達に了承を取る。彼らは、外の騒ぎにきずいたのか全員屋敷の外に向かおうとしていた。


「さてさて、地下には何があるかな?」


俺は心踊らせながら、地下への階段を降りていった。すると、途中の辺りから吐き気を催すような激臭が鼻を貫いてきた。


「うぉっ、な、なんだ?こ、これは、ひどい。アンモニア臭と死体の腐った匂いが混じってる。下になにが・・・」


俺はその激臭の正体を探るため、地下への階段を急いで降りた。そして、その光景を見て唖然とした。


「こ、これはひどい・・・」


そこには檻の中に入れられている女、子供達がいた。その数はざっと数えて20人ほど。皆、憔悴しきっていて目の焦点が合っていなかった。


「全員女じゃないか。モヤイの奴、相当な趣味を持ってるな。とにかく、助けてやらないと。」


俺は『加速』を解除し、檻を開け、彼女達を助けることにした。



─────

時同じくして、モヤイ宅近隣の一番高い木の上から美香を援護するニーナは、その百発百中の弓の腕前をモヤイ'ズ兵士達に見せつけていた。


「はっ!」


「うぁぁぅぁぁぁ・・・」


「はっ!」


「ぅぁぁあううう・・・」


次々と倒れていく兵士達。彼らは出てくるたびにニーナの微妙な調節によって急所を外され、即時戦力外通告を言い渡されていた。


「ばっちし。次いっくよー。」


ピュッン


ニーナの矢が、目標に向かって飛んでいった。



─────

「何事だ。なにがあった。」


「どうやら、侵入者のようです。庭で1人の女の子、いえ悪魔がライオン達を相手に戦っています。」


やはり時同じくして、屋敷内でも使用人達が行動を起こしていた。


「そのなんだ、悪魔とやらはライオン達に任せて大丈夫だろう。奴らの爪には、毒が塗ってある。アレに抉られると気絶するから、その間に『拘束錠』で動けなくしろ。私は、主様を起こしに行ってくる。お前達は、それぞれで出来ることをしろ。」


「はい」×12


彼らは規律正しい返事をし、持ち場へと向かった。



─────

その頃モヤイは


「ぐー、ぐー、ぐー、ぐー・・・・」


1人呑気にいびきをかいてぐっすり眠っていた。

読んで下さりありがとうございます。

次の話は5000字目指します。

もし、感想、誤字脱字等がありましたら、言ってください。

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