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プロローグ

初めての投稿なので、至らぬ点があったらばしばし言っちゃって下さい。

「あー、つまんね」


一クラス40名いる教室。今は昼休みの時間なので、弁当を食べているやつがほとんどだった。のこりの少数は、購買に昼飯を買いに行っている。


俺は、友達の松崎諒太と中野拓斗と一緒に昼飯を食べていた。


「なにいってんだよ、晴明。俺たちといるとつまらねーのか?」


「あー、そういう意味じゃなくてな。刺激が少なくて、退屈なんだよ。」


「なるほど、刺激か。まあ、確かにこの平和ボケした日本じゃ、突然殺されたりすることもないしね。」


「殺すとか物騒なこと言うなよ、拓斗。でも晴明は、少なくとも刺激的な毎朝を送っているじゃねえか。」


「そうだよ、晴明。毎朝、妹さんに起こされているんだろう?」


「『お兄ちゃんおはよう、よく眠れた?』っとか、目が覚めたら目の前に超可愛い顔があるんだろう?くそっ、うらやましいな。俺も美香に起こされてみてえな。」


美香は、同じ高校一年生の俺の妹だ。二卵性双生児のため、あまり顔は似ていない。本当に良かったと思っている。


美香は、この学校でも1位2位を争うほどの美貌の持ち主だ。取り巻き達が多く、実質一年生のトップ権力はほぼ美香である。頭も良く、スポーツもできるので文武両道な完璧人と言われている。そんな美香が俺の顔になんか似ていたらと思うと、少し悲しくなってしまう。


あいつには幸せになってほしいと思っているし、俺は美香のことが大好きだ。兄としてそういう感情はどうなんだと言われるかもしれないが、そこは答えたくないので曖昧にしておく。だがもし、変な男が寄ってきたら、ある程度は跳ね返すつもりだ。そこは、兄として。そう兄として・・・・。


「お前たちなー、俺を煽ってんのか。現実はそんな甘くないって。それに、俺はそういう刺激を求めてるわけじゃないんだよな。」


「じゃあどんなのなんだよ。」


「まあ、こうなんか常にハラハラドキドキ、死と隣り合わせって感じだな。」


「結局、殺されることに至るんだな。」


「でも、晴明の普段の日常も普通の人にとっては結構刺激的だと思うよ。」


「そうだぞ、晴明。妹さん達にさんざん罵倒されて精神的にも体にもきてるだろう。」


美香は、とある理由によって学校では俺のことを嫌っている振りをしている。


学校では一位ニ位を争うほどの美貌の持ち主である美香は、注目されるのでその取り巻き達が多い。


美香は学校では廊下ですれ違っても、美香の取り巻き達と共に俺に侮蔑の目を向けてくる。あげくは、罵倒の言葉まで向けてくるのだ。


だが、そんな美香の本当の顔を知っている俺は、笑顔で軽くスルーしている。なので、美香の取り巻き達が『キモい』等と言ってくる。


さすがにそれは、結構きますよ。みなさん。


逆に家での美香は俺にべったりだ。顔もどこかとろけていて、正直たまにヤバイと思うときもあるが、それでも美香が好きなので特に気にしていない。


それでもって美香が学校で俺のことを嫌いな風を装っている理由は、俺より遠い場所にいる方がいろいろ情報が入ってきて、事が起きる前に阻止できるからだそうだ・・・・まあ、裏では妹によるそういうことが行われているんだろう。俺に婚期は、訪れるのだろうか?


まあ、あまり兄妹だけで過ごしていると、その他の友好関係が築けなくなってしまうこともあるしな。


それに口では否定したが、美香は毎朝俺のことを起こしに来てくれている。二人は、俺と美香の事情を知っている数少ない昔からの友人なので信頼している。だが、二人には美香の俺への愛情の度合いを知って逆に引いてほしくないので、あえて今はまだ言っていない。


ちなみに美香の俺の起こし方は、結構過激だ。


ーーーーーーーーーー


昨日の朝なんかは、目が覚めたら目の前に、美香の顔があった。俺は突然のことに目をぱちくりさせていた。


「おはよう、お兄ちゃん。」


そう言って、頬にキスをして来た。


そして、今度は顔が真っ赤になる。


「お兄ちゃんって、ほんっと可愛い」


そして、さらに追い討ちをかけてくる。これやばいでしょ。いろいろ兄妹として問題があるでしょ。


今日の朝は、若干の苦痛によって起こされた。夢の中で、モンスターに食われてる夢を見ていたので、起きた直後はなんだ夢かと思っていた。だが、その痛みは起きた後でも、続いていた。もしや、まだ夢の中?なんて甘いことを考えていた。


「あっ、起きた、お兄ちゃん。」


突如耳の辺りに美香の声が聞こえた。そして、悟った。美香が今まで何をしていたのかを。美香は、口から銀色の糸を垂らしていた。美香の口元が唾液によって、なんかめっちゃエロくなっていた。


そう、痛みの原因は妹に耳を食べられていたことだった。正確には、食べられていたではなく、「甘噛み」されていたなんだが。


「お兄ちゃんのお耳美味しかったよ。いろいろと、ごちそうさま。」


これで、沸騰しない人間はいないだろう。かくゆう俺は、その後あまりの沸騰ぶりに気絶した。


ーーーーーーーーーー


そんなこんなで、俺は毎朝刺激的すぎる起こされかたをしている。でも、これは俺が求めてるような刺激ではない。まあ、結構いい感じなんだけど・・・・。こんな起こされかたをされていると周りの奴等が知ったら、どう思われるだろうか。


たぶん、学校とのイメージが違いすぎて、変にしか思わないやつがほとんどだろ。それに、たくさんの人に嫌な目で見られるだろうな。


ふだんの学校では、俺のことを嫌っている美香が実は、お兄ちゃん大好きのデレデレ妹だとは、想像もつかないし、受け入れがたいもんな。


「本当にあの取り巻き共どうにかなんねえかな。」


「そうだね。まああっちにも僕たちの友達はいるから、そこは臨機応変にいこうよ。」


「苦労してんな、晴明は・・・・」


ちなみに諒太と拓斗は、美香が学校で俺を嫌っている本当の理由を知らない。二人には、美香に恥ずかしいから寄らないでと言われたことにしている。だが、この理由も結構曖昧なので、ばれるの必死である。


ーーーーーーーーーー


俺たちはその後何気ない会話を交わし、昼飯を食べたあと三人でトイレに向かった。


トイレまでの距離はそう長くない。だが、失敗したことに俺達は会ってしまった・・・・・・・あの取り巻き連中と。正確には、美香がその中心にいるのだか俺にとっての害悪は、その周りにいるやつらだけだ。


(((めんどくさいのきたぁー)))


会ってそうそう最初に口を出したのは、取り巻き連中のリーダー的存在ーーチャラ男ーー須藤将也だった。須藤は俺達を見つけるなり、蔑むような目を向けてくる。


「よう、ゴミ明。こんなとこで美香の通行を邪魔するってどう言うことだ。」


「は?須藤何言ってんだ。邪魔なのは、お前の方だろう。」


「何呼び捨てにしてんの、口答えすんのか?また、お話が必要か?」


その言葉がでてきた俺は少し後ずさった。須藤は、お話と言ったがそんな言葉は名ばかりのただの『集団リンチ』だ。放課後近くの廃ビルに呼び出されて、ボコられるというわけだ。しかも須藤は手を汚さない。美香の取り巻きの一部の人間にだけやらせるのだ。


だが、そもそも美香が俺をリンチにさせるつもりなどない。もし、本人に隠れてやってもばれて制裁されるんじゃないかな。つまりリンチに参加させられるのは、美香と俺の事情を知っている者ということになる。


その者達は、美香の昔からの友達で兄である俺もその友達3人とは小学生の時からずっと遊んでいる。


深瀬楓、高野南瀬、古川真奈だ。


美香の友達の3人とは、俺と諒太と拓斗とも昔からの友達だ。楓と南瀬と真奈は、美香の兄への愛情度を知っているので、学校での俺への態度は美香に合わせている。


なので、帳尻合せをするため一歩引いて見せたということだ。


「まあまあ、須藤君。そこら辺にしときなよ。ほら、晴明君がビビっちゃってるよ。」


「そうだな、南瀬。まじで、こいつ滑稽だわ。」


「そうね、須藤君。こんなおにぃ・・人間、見てて本当にあきな・・吐き気がするわ。」


((((((本音がところどころ漏れてますよー))))))


それになんか、須藤に少しきれているっぽいな。眉間にシワが寄ってるよ。でも、そんなところも可愛い。


「ん、んんっ。須藤君、そんなやつに構ってないでそろそろ行くわよ。」


「でもよ、美香。こういうやつは、今言っておかないと後で付け上がるぜ。」


須藤の言葉に俺は呆れ顔をした。と同時に美香の取り巻き達が賛成の声をあげてくる。これに俺は対応しなきゃいけないのか。


(めんどくさいな。)



俺は家族や仲間には恵まれているけど、自分をハラハラ楽しませてくれるやつには恵まれなかったようだ。きっとこれからもそうだろう。


俺にとって目の前のこいつらは、ただ面倒事を運んでくるだけの厄災だ。俺の望む刺激ではない。



(俺は生まれる世界を間違えたかのかもしれないな。)



俺は再びこの世界に生まれてきた自分を後悔した。つまらないと考えたことは幾度だってあった。


もし、漫画にあるような異世界召喚なんてもんがあるのなら、今すぐ俺を召喚してほしいもんだ。


俺は、この世では絶対に叶わないに等しい願いを祈う。叶わないと知りながら願うことは無謀である。


しかし、神は時に気まぐれで世界を動かす。


その気まぐれにすべてをかけるつもりはないが、少しぐらいすがってもいいだろう。


(ああ、神様よ。俺をどうかこの退屈な世界から解放してくれ。)



俺は退屈な世界に生まれた自分を後悔して考え込んでいると、須藤が取り巻き共と近くによってきた。


「おい、ゴミ明。とりあえずおま『ーーーその願い。私は確かに聞き届けたぞ。ーーー』」


「へ?」×28


謎の言葉が須藤の声を遮って、発言した。その場にいる全員が驚きのあまり変な声を出す。それもそのはず、謎の声は直接頭の中に響いてきたのだ。初めての感覚だったが、自然と『念話』のようなものだと悟った。


と同時に、その謎の言葉がトリガーとなったように、あたりの地面が光始める。


「な、なんだ!?」

「どうした!?」

「すげー」


俺たちの一帯約百メートル四方が光に包まれる。その光に驚いてあちこちから、様々な言葉が飛び交ってくる。動揺している者、気を失いかけている者、様々だが皆一様に驚愕していた。


その光は強さを増していき、皆を包み込んだ。


謎の言葉と共にいきなり現れた光は、そのまま突如として消えた。そして、その場にいたはずの約100名あたりの生徒達は、白昼夢のなか、堂々と神隠しにあうことになった。


数日後、この集団神隠し事件は大々的にニュースに取り上げられることになるが、本人たちは知るよしもない。


読んでいただきありがとうございます。

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