-4歳 つまり私の11歳の話で始まる前の直前の話
リカルダちゃんの冒頭の歌は、なんとなくどの歌かなーって想像してください。
やってみたかったのですが、ちょっと大人の事情に触れそうで怖かったので修正しました。
そのうち全面改稿します。ので少々お待ちください。
-4歳 つまり私の11歳の話で始まる前の直前の話
学園への初登校の日、私は上機嫌で火曜○ザエさんのテーマソング(替え歌)を歌いながら意気揚々と馬車に乗る。
みんなお待ちかねのウキウキ☆期間限定☆当て馬人生☆はっじまっるよ~☆
「何なんだよ、その歌…。おかしな歌を朝から歌うなよ」
「にいさま、国民的アニメの主題歌なめてもらっては困るわ。
ちなみに悪役令嬢☆のとこ、私は当て馬☆のどっちがいいと思う?
まあ、そのあとは普通に愉快な家族でいいんだけど。うちの場合」
上機嫌にもなるだろう。今までにないテンションの上り方くらいするだろう。
今まで外に出たことが数えるほどしかないのだから。
ちなみに兄と私と御者さんだけで出るのも初めてだ。
今日からは自由。ああ、自由っていい言葉だね。
好きに本屋へ行ったり、兄が時々買ってきてくれる洋菓子店へも自分の足で行けるのだ。
長い人生の短い自由楽しまなくちゃ損だよね。
「どっちでもいいよそんな歌。あにめ…?アニメってなに?」
「ゾートロープの声が入ったり色が入ったり曲が入ったりするやつ」
パラパラ漫画と言ってもよかったが、それはそれで説明が面倒そうなため円盤に並ぶアニメーションのもととなったものを例に出して言葉を濁す。
父が美術展で面白がって買ってきたものを私がものすごく食いついた為、うちには結構な数があり、今では視聴用の感光室まである。
緻密なゾートロープに連動して曲を流す機械式のオルゴールというものまであるので、兄はなんとなく納得したのかしてないのか分からないが頷く。
王子と出会って私は前世とやらの記憶を取り戻し、そのころの知識もあるのでそれまでに習得したものと併せて、とりあえずは兄と並ぶくらいの知識を持っている。
まあ…どうでもいい記憶もわんさか出てきたせいで、当初は似て異なるもののせいで相違に混乱に混乱をきたしていたのだが一年も経てば流石に慣れる。
そもそもこの舞台は日本人が作った乙女ゲームなんだから、文化様式もどっちかと言えば日本寄りなのは仕方ないよね。
さて、どうでもいい話に逸れてしまったが、本日から「学園」の「初等」へ入学である。
ヒロインちゃんは、外国からの留学生のため「中等」からしか入ってこないのだけれど、国民の義務ということで私は今日からその義務を果たしに学園へ通う。
「ヴィンもお前に会えるって楽しみにしてたぞ。忙しいつって、一か月に一回くらいしか顔合わせてないんだろ?」
「にいさまもご存じのとおり、わたしは忙しいの」
「まーそうだよな。
領地のじい様連中もお前の事猫かわいがりだからなー。
僕よりもお前のほうが人気だし」
父の領地と母の領地の貴族も領民も、末の娘の私を猫かわいがりなのである。
まあ見た目も銀に琥珀で猫っぽいしね。
末娘って言っても長女だし二人兄妹だけども!
そして別に死ぬわけでもないけれども!
やめて!死亡フラグ。
うっかりするとひょっとするから。
「……ここまで来るのに、どれだけの人間に泣かれたと思っておりますの?」
「シリアスな話風にまとめてるけど、単に名残惜しまれたってだけだよな。ソレって」
じっとりとした目で初等二級に進級した兄に言われるがそれは綺麗に無視して、馬車から外の景色を堪能する。
さわやかですがすがしい春の風が心地よく馬車に吹き込んで、入学に相応しいいい天気だ。
第一王子との婚約は前述のとおりうまくいったのだが、勉強に、両親への随行にと。
多忙極まりない生活で殿下と顔を合わせるのは月に一回程度。多くて二回くらいだろうか。
だから、一年ほど婚約が続いているけれども、ぶっちゃけ会ったのは、まあ多く見積もっても20回程度だったりする。
そんな私たちが顔を合わせたところでで話が弾むわけでもなく、単に暇つぶしの延長のような有様だ。
ま、11歳の王子と10歳の公爵令嬢でなんの話で盛り上がれって話だよって事だしね。
11歳とかでもキスとかすんの?ふーん(無感情)
それでも間が持たなくて観劇(父と母のアレ。客観的にみると結構恥ずかしいね!)をしたり、
城の芸術品について説明をしてもらったり、
第二王子とその婚約者(なんか子育て中みたい…と思わず遠い目になったり、あの年の差なら私と第二王子のがマシなんじゃないかな…とか複雑な気分になったりした。
ちなみにそれを第一王子にさりげなく言ってみたけどそこは華麗にスルーされた)を見たりとそれなりに親睦と教養を深めたりしたんだよ。
意外と頑張ってるじゃないか私。
今のところ、『第一王子に好かれも嫌われもしない』という計画は順調だ。
どうしても出なきゃいけない王家主催のパーティでエスコートをしてくれる相手も決まってるお陰でお互い面倒がないしね。
王家主催じゃないやつでも兄がエスコートしてくれるからどうってことないし。
あー、兄持ちの悪役令嬢って楽でいいわ。
「………お前さあ、ぶっちゃけヴィンの事どう思ってるわけ?」
「あらやだ。にいさまったら一丁前に他人の事に興味があるの?野暮ねー」
そりゃあもう絶賛気持など出会ったころから一ミリも変わっていない。
王城に会いに行くのに、ちょっと慣れた程度かな?
しかし、そんなことを言ったら厄介ごとが増えそうだし、前世がどうとか、乙女ゲームがどうとか言ったりしたら電波まっしぐらだ。
私が電波気味なのは昔っからだからとか兄は言いそうだけど、だからといってぶっちゃけてドン引きされても嫌だしなあ。
「お前とデートした翌日に呼び出されて、『リカの気持ちがさっぱり分からない』とか言われても僕だって困るんだよね」
「殿下って、意外と私の事好きよね…」
ぐちぐちと文句を言う兄に、呆れて言う私。
「まあ、ヴィンの理想がお前だからしょうがないんじゃない?」
「……………はァ?」
そんな話は初めて聞いた。兄からも殿下からもそんな話を聞いたことがない。
ぽかんと目を丸くする私に兄は馬にも犬にも蹴られたくないけどと渋面を作る。
「政治の話しても剣の話しても、普通に話についていけるだろ?」
まあ、それはそうだ。
子供のころから学んでいてそれを常に周囲に示さなければならない私と殿下は規模としては私は小さいけれど同じ立場だ。
「普通の貴族の令嬢は、政治も剣も興味なくてお洒落と恋くらいにしか興味がないんじゃねえの?」
「嫌だ、にいさま。流石に私だってお洒落や恋に興味くらいはあるよ」
流行りの恋愛小説を読めば切ない展開にキュンとして涙を零すし、話の筋を知っていても恋愛をメインにした舞台を観ればヒーローに声援を送る。
流行りの型のドレスは必ず作るし、侍女たちの着せ替えにも付き合っているじゃないか。
まあ、ある程度好みを反映しているけれども。
それくらいはどこの令嬢だってやってることだし。
「へぇ…お前の男性の好みってどんなのだよ?」
「私の男性の好みはもちろん徹頭徹尾『慎ましくて可愛らしい癒し系』!
それに、私はあくまで『仮』の婚約者。
父が後見するための言わば中身のない看板のようなもの。
殿下は私の事をあくまで『友人』として扱って下さっていますし、
4年後に現れるゆるふわの金髪に透き通るような空色の瞳を持つ可愛らしい方と恋に落ちるので、それまでに可愛くて慎ましい理想の方を見つけるか浚うか、諦めて来世に期待するか。
あ、最後の場合はにいさまに全責任が掛かるから、にいさま、頑張ってね!目指せ子供二人以上!」
ぐぐぐと拳を握って言えば、後半がやたら具体的すぎると呟いて兄は呆れたようにこちらに視線を向けた。
おっと!いけない電波を受信してしまった。
「この国に『慎ましいかわいい癒し系』なんているのかねー…」
兄は窓から白く敷かれた石畳に目を向け、天気に似合うのんきなカッポカッポという馬の足音に耳を向けながら肩を竦める。
「そんな始まったばかりで絶望してては駄目よ、にいさま。あの星に誓った野望ではありませんか」
せめて結婚相手くらいは両親を見習わず慎ましくかわいい人に癒される。
そう誓い合った日々を忘れたかと視線を強めるが、兄は窓へ向けた視線をこちらへ戻すことなく深いため息をつく。
「今、空を見てどの星か言ってみなよ。
先輩も、同級生も、ガツガツ来るから怖いんだよね」
おおっと、さすが乙女ゲーム。
飄々としているにいさまに早速の猛アタック。
初等二年にしてさっそくガツガツ来られてるのか。
やるなあ、にいさま。
ちなみに学園は通常で11~13歳までが初等。14~16歳までが中等。17歳~が高等教育。
中等までが義務で、それ以降の高等教育を受けるかどうかは国費である以上推薦が必要になるから、
普通の貴族令嬢だったりすると、中等までを収めて18歳の成人までに結婚の準備期間と称して結婚相手の家や領地に引き込むのが普通だったりする。
女性で高等まで行くのは私のように家を継ぐことが最終目的としている人だったり、学者や官僚になるのが目的だったりする人が多い。
もちろん私や兄のように子供のころから何でもかんでも詰め込まれている人間もいたり、それまでに何も修めてなかったりとそれぞれの習熟度が違っているので、籍は置くが同じ授業を受けるというのは少ない。
さくっと進んで推薦がもらえれば普通に初等籍の子供でも高等の授業に出たりするし。
それを修めた後年齢まではいてもいいし、いなくてもいい。
もっと学びたければ研究者として年齢までは学者付きになれるし。
その間の学費食費生活費などもろもろは国から出るので、ほぼ100%の国民が通っている。
通える距離であるかどうかで、寮に入るかどうかは判断されるため、せいぜい通って一時間程度の私たち兄妹はタウンハウスに残って生活をしている。
学園内ではあくまで個人として扱われるため苗字はなく、名前のみで呼ばれるということも面白い。
(だから、まったくピーンと来なかったのもあるんだけどねー…)
殿下が初対面であのイケメンかつイケボで『我が花嫁どの』と呼ばなければさっぱりでしたよ。ええ、本当に。
4年後にも同じことを言うのだ。勿論、皮肉としてだけどね☆
「まあ、ガツガツくるっていうことはそれだけ有望ってことじゃない?
ステキー!にいさまー!きゃーモテモテー!」
「全く…。心にもないことをペラペラと言うなよ」
まあ、私も全くの他人なら適当に遠くから見守りたい程度にはイケメンの兄である。
文武両道で、母様譲りの赤毛に鋭い目つき。
将来の将軍候補筆頭。更に第一王子の側近で将来の公爵。
金も顔も頭もいかしたハイスペック男子。
こういう人と、はーれくいん的な恋をしたいと思う女子は多いはず。
天才肌過ぎてときどき妹の私ですら何言ってんのかわかんないとこはあるけど。
まあ、そういうところも恋する女子からしたら知的で素敵☆なんだろーね。
「にいさま、胸がきゅんきゅんするような大恋愛してよ。
ほら金持ったイケメンだし、より取り見取りでしょ」
「……他人事だと思って適当なことを言って」
「私、素敵なお姉さまが欲しい!もちろん癒し系の!!あ、勿論養殖じゃないやつね」
きゃあと思わず盛り上がると、絶対零度の視線を向けてくる。
え、兄は男の方が好きだったりする人なのか?
「お、お兄さまでもいいけど……。癒し系なら…」
「変な気の使い方するな!
っていうかお前、どんだけ癒し系に拘ってるんだよ!」
いっやー。うひひ。
うっかり脳内で11歳にして18禁の扉を開くところだったって言ったら怒られそうだけど。
別に私としては、どっちでもいい。
兄が女性を選ぼうが男性を選ぼうが、三度の飯より癒し系だ。
まあ、その場合は私が子供を産まなければならない為、兄のライバルになってでも癒し系をゲットしなければならないけどね。
あ、兄妹で共有したらいいんじゃないの?
と倫理的にどうなのかと思うようなことも、ふと考える。
おっと、18禁ダメ絶対。
「顔見ただけでホッとするような感じの人っていいじゃない?」
「ヴィンは?」
「あー…殿下の顔なんて初回以外まともに見たことないなー」
「お、お前ってやつは……」
イケメンはゲームで画面越しに見るから佳きものであって、実在されると案外相手を直視できないもんよね。
慣れ切った父母兄なら別にいくら見てもいいんだけど、それはそれ、これはこれ。
「あ、そうだ。学園の慣例だから言っておくけど。学園で『殿下』って呼びかけるのはナシな」
「は?何でよ?じゃあ学園の皆が、ヴィンセント様とかって呼びかけてるわけ?」
「まあ…そうだ」
言いにくそうに言っているが、まさかそんな訳はあるまい。
ゲームではみんな殿下殿下殿下殿下って呼んでたじゃないの。
王家特有の黒髪に、黒に近いくらい深い群青色の目をしてるんだから、一目でこの国の王家の一員ってわかってて、なかなか名前呼びも出来ないよね怖くて。
そういえばあの人、生真面目な割にこと恋愛となると碌に言いたいこと言えなくて壁ドン顎クイかます筈だけど、大丈夫なのかな。
今度城で会ったときにでも教えておこう。
こういうのがゆるふわ金髪で空色のお姫様にはうけますから是非やってみてって。
あの人、律儀だからきっと一人で真面目に練習したりするんだろーな。うはは。想像すると面白い。
「あー…了解。なるべく顔を合わせないようにするよう全力で努力する!恐れ多くて呼べないし無理」
まあ会わなくても外堀を埋めていけばどうとでもなるだろう。
あ、私愛されてないアピールね。顔合わせないとか逆にリアルでよくね?
見かけるだけ見かけて声を掛けようと手を伸ばすけど、結局声を掛けられないっていう演技とか素敵じゃない?
やっちゃう私?
女はみんな、やっぱり女優ですよ。わはー。
「全力で斜めに突っ走るのやめようね」
「じゃあ、にいさまみたいにヴィンって呼んでみる?」
「両極端だな、おい!でも、面白いからやってみれば?僕も見てみたいかも?」
にやにやと笑う兄の魂胆は、動揺する殿下だろう。
しかし、私も全力で当て馬をやる気だから、本気ならそれをしなきゃなんないんだろう。
けれども…。
「あー無理。考えただけでも無理。殿下って呼びかけすぎて、もう殿下以外の何物でもないわあの人」
「それは不憫すぎるんじゃないの…?」
学校で先生って呼んでるのを急にあだなで呼ぶとかその逆とか、会社で上司の役職変わってもそのまま呼んじゃったりするようなもので、案外呼び方って変えにくいもんよね。
いずれ他人のものになるってものを、自分のものみたいに扱うのってイヤだよね。
なんか不倫してるような気分になるし。
ひとのもの取るの良くない!これ絶対!
……ん?あれ?ヒロインちゃん批判みたいになっちゃってないか?私?
まあ、いいかそれに関しては、私、当て馬だし。
と、思ったところで3日間しかやってない乙女ゲームにも、もちろん出てくる側近であるところの兄よ!
あんたそれこそ天然癒し系の彼女(ライバル役)いなかったっけ?
…………ん?んん?…んんん?
「にいさま……、私はひどく傷ついたので、にいさまともちょっと距離を置くことにします…」
「…ちょ、おまっ。リカ?リカさん!?急に何を言い出した!?」
勝ち組は爆発しろ!
金か?顔か?それとも頭か?
この口調でこの外見のくせに一人称が僕だからか?(ここら辺そろそろもう関係ない)
何なんだこの野郎。
(内容は知らないけど)その上でさらにヒロインちゃんとイチャイチャするんだろ?
死ね!爆発しろ!代われるものなら代わってやりたい。
って、え?
別にヒロインとかライバル役とかとイチャイチャする気はないよ?
そこ(百合)の趣味はないから悪しからず!安心してていいよ!
「………にいさまの馬鹿!
草のふりしておいて実はロールキャベツなの?
中には肉汁たっぷりか?この野郎!」
「いったい何の話だよ!?この野郎って僕?僕の事!?」
12歳の兄と11歳の私の間に体格差が無い今か?今なのか?
このロールキャベツ坊やを仕留めるのは。
この隠れ肉食系男子を仕留めるのは!この私だ!
むしろ隠すな、エロさは前面に出せよ!
あれ?兄って結局、何担当キャラなんだ?
エロ?エロなの?チャラ男なの?
おっしゃーコラー!
本気でかかってこいやあ!
と、脳裏に前世で流行った車だか塾だかの「殺るなら、今でしょ?」のCMを思い出しながら、
急に襟首を引っ掴んでガクガク揺さぶるが、次世代軍師と名高い兄にはこの攻撃が通じない…だと?
「…妹よ。
そんなにロールキャベツが食べたいなら、昼におごってあげるから。
とりあえず許してくださいお願いします」
あ、結構通じてた。私の徒手空拳もなかなかのもんよね。ふふん。
というか綺麗に整えてある髪と、朝からいきなり制服がぐちゃぐちゃなのが、嫌ってことなのね。
今日のお昼は兄からの飯ゴチでロールキャベツ!
まだ肌寒いし、春キャベツ美味しいし、いいね!
クリーム系じゃなくてスープ系のほうでよろしくお願いします。
「で、結局なんの話してたんだっけ?おいしいランチの話?」
「リカルダ。お願いだから、そういうところ本当に学園では隠してください」
「猫かぶって7年過ごすとか絶対無理だし。
ああ。今のは私をほったらかして一人で勝手に幸せな人生を歩むであろう、
勝ち組のにいさまに、とりあえず嫉妬しただけです。
今すぐ死ぬか、代わってください」
「何の話???いきなり?何?死ねって言ったの!?
リカ?どういうこと?
さっきから僕に対して酷くない?反抗期なの?」
「ああああ!!
でも、でもですね!
死ぬ前に天然癒し系の彼女だけは、捨てる前に絶対紹介してくださいね。
これからの私の心と領地のために必要な人材なので、拾って育てて秘書か、とうさまの愛人にするから。
って駄目じゃん!
ヒロインちゃんは、ヴィン様(笑)とくっつけるんだから!
だったら、天然癒し系は義姉さまか…そんな、響きがいい!
やだ、もう☆わたしったらウッカリさん☆」
「意味わかんないこと言いだして、急に他人行儀とか本気でやめなよ!
流石の僕だってひくよ?ひいちゃうよ?いいの?」
「まあ、だからとりあえずロールキャベツは美味しいって話だよね」
「……リカルダ。
お前がとりあえず、ヴィンを心底本気で名前で呼びたくないってことだけは僕にも分かったよ。
分かったから今まで通りに殿下でいいんじゃないの?もう…」
「にいさまってば本当に天才」
げんなりした顔でにっこり笑った兄に、ほっこりと笑顔を返して、この話題は終了。
毎日、タウンハウスから学園までの一時間の道のりも案外楽しいような気がしてきましたよー。っと。
ああ、それにしても軽い運動したし、お昼のロールキャベツ楽しみだなあ。
書いた後にものすごくロールキャベツが食べたくなった私がここにいますよ。
さて、次はちょっと重い兄と殿下の話(予定)です。
ここで兄と殿下の話ぶっこみますがお許しください。
なんだかガイドラインが怖いので、冒頭部を一部修正しました。てへへ。
尊敬すべき素晴らしい名作を馬鹿にしたわけではないのですが、不愉快になられた方がいらっしゃったら申し訳ない。
あとこの話はめちゃくちゃ引用が多いんだけど、大丈夫か…?(;´・ω・)こここ怖いよー