-4歳 つまり11歳の私と12歳の兄と殿下のその壁を鳴らすのはあ・な・たの話*番外編
なろうにUPできなくて垢BANされたかと思ってまじで泣きそうになりました。てへへ。
無事予告通りにUPできそうでよかったです。
*番外編です。
*番外編というか、壁ドンを教えなきゃ。ぷはは。の補完話
*キャラ崩壊
*リカルダの脳内垂れ流しです(つまり長台詞)
*殿下を無視しないリカルダなんてこの話の意味がないでしょ!絶対にイヤ!(そりゃそうだ)という方はブラウザバックしてください。
*それでもいいよー!って心の広い方のみご覧ください。なんかすみません。
本日の特別講師をさせていただきます。
私の名前は、リカルダ・ベーレンツ。
「南」の公爵ベーレンツ家の後継者にしてこの物語の悪役ポジションですわ。
どうぞ、お見知りおきくださいませね。おほほ。
「はいっ!
……というわけで、本日は、殿下と、にいさまに自分の立ち位置を解らせてやることにしました!
そのために本日はお集まりいただきました!はい☆拍手!」
芸人のフリのような拍手をしてふんぞり返った私を前に、無表情ながらも律儀に拍手してくれる殿下(真面目か!)と、ぐったりと疲れ切った顔をしている兄(兄ェ…)
折角見た目だけでもどうにかしようと、白シャツに黒のタイトスカート。併せて髪は夜会巻き(がんばったよ!褒めて褒めて!)
黒いザマス眼鏡に教鞭という女教師ファッションで乗り込んできた私(様式美)に、何そのうっすい反応!わざわざ服作らせたんだよ!せめて見ろよ!
あ、兄、今欠伸したでしょ!話聞くのめんどくさいってオーラを出すな!シスコンの本領を発揮しろ!
ちょっと、ちゃんと話を聞きなさいよ!聞いてよ!聞けってば!うわぁん!
折角この私が知識チートとして、乙女ゲームというものを全くわかってない二人に教えてあげようっていうのに!
あんたたち何で二人ともそんなにうっすい反応なのよ!
筆頭攻略者と、赤騎士というおいしい立ち位置のくせに、この野郎どもめ!目にものみせてくれる!(笑)
わざわざ、忙しい中駆けつけてくださった講師(私)に対する尊敬の念はどこいった!敬え!敬うのだ!わはははは!
こいつら、いけてるメンズ(笑)のくせにいまいち良くわかってないからなあああ。
んあ?さっきまで母さんにフルボコられてたから休ませてください?だああ??
あまいあまい!ヒロインちゃんは待ってくれないよ!いいの?
母さんも待ってくれない!って?知るか!そんなの!
「殿下!殿下にはこの重要さはわかりますよね!」
うん。ここは、何を考えてんのかわかんないけど、あまり逆らうことをしない方(殿下)から攻めよう。
がしっと手を掴んで訴えかければ、殿下は珍しく戸惑ったのか目を白黒させてこちらを凝視している。
確かにフルボコ後っぽい感じでいつも綺麗に整えてる髪が乱れてるし、所々擦り傷が出来てるっぽいし(これは、母さまいいの???)
いつもならきっちり着込んでるシャツの第二ボタンまで外してますね。ワイルドゥ☆(棒読み)
「乙女ゲームにおいて大切なのは非日常の胸キュン(笑)なのです!
飴と鞭を使い分けた真意を読めないちょっとSな言葉に、適度なボディタッチ。とどめは壁ドンなのです!
はい、初心な女子たちはもうこれでメロメロ。
好きでもない相手にされれば好感度は-200% ちょっといいなで+50% 好きな相手ならば好感度+500%超えの諸刃の剣!
暴力と愛の狭間に揺れるこの感情は何?
私の事好きなのかしら?引き留めてまで私に愛を囁くなんて!はい!もうここでメロメロね!頂きました!もうメロメロ!
特に!殿下!殿下は、壁ドン要因としての重要なポスト!!
時代は今、俺様系。もしくはドS系!生真面目キャラは悪くないけどもう古い!
せっかく黒系男子っていう見た目のアドバンテージを生かさない手はない!そうは思いませんか???
惜しい、惜しいよ殿下!頑張れ殿下!きっと君ならどうにかなる(笑)
将来の王妃を得るためのこれは最・重・要・事・項☆
そこで必要なときに、まごまごしないよう、速やかに練習をしておくことが必要になります。
壁ドン顎クイはもう今となっては常識!必修スキルとなっているのです!」
「…リ、リカルダ。
君から手を握ってくれるのは嬉しいんだが、その、カベドンアゴクイというのは何だ?
理解力が足りないのか君の言っている事が分からない…もう少しゆっくり話をして欲し…」
「はい、いい質問きました!殿下!
壁ドンというのはですね、こうして壁をドンとするところから来ています。
そして顎クイというのはこうやって、手で相手の顎をクイっとするわけですよ」
殿下の科白に食い気味に割り込んで掴んでいた手をぱっと放すと、
近くの壁トコトコ近づくとにドーン☆と腕をつき、
指で顎をクイっとやったところで、( ー`дー´)キリッとキメ顔をしてみせれば、
兄と殿下の顔がひきつったものになっている。なんでよ?ここはひくとこと違うわ。
「リカ。王城の壁を突き倒すのは、感心しないんだけど…それに何その変なポーズ。
僕らにそれをやれって言うの?」
誰が城を突き倒すか!できるか!
やれっていうなら、せめて半年はくれ!
今、お師匠様と練習をしている攻撃形を一撃スキルまで上げておくから!
それに変なポーズって言うなあ!変じゃないわ!乙女のキュンが詰まってるわ!馬鹿か!
一人でやるからわけわかんなくなってるだけよ!…っは!
「ちがいます!もう!二人ともなんでそんなに興味が無い感じなんですか!
もっと、危機意識を持って!あと数年後には運命との出会いを果たすんですよ??
顔と金さえあれば世の中どうにかなると思ってるんじゃないですか?
あまいあまい!チョコレートパフェよりもあまい!」
「……リカルダ。俺の運命は、君じゃないのか?」
「殿下!未来など誰にも分りません!
備えあれば憂いなし!やっておいて損なことなどなにもありませんっ!
そうは思われませんか?」
恐ろしいフラグをぶっこんで来ようとした殿下(お願いだからやめて!)を断じて、兄を手招く。
渋々なのがありありの兄だけど、文句を言うと100倍は面倒なのが分かっているのか(失礼な!)
ぐったりと身を任せていたソファから身体を起こして傍に寄ってくる。おらおら、駆け足でこいやあ!
「では、ちゃんとした見本を見せます!
ほら、にいさま!やってやって!
さあ、来い!君ならできる!ほら、さんっはいっ☆」
「嫌だよ、なんで僕がそんな変なポーズを取らなきゃなんないのさ?」
両手を広げて待っていた所、疲れ切った顔で兄がガッと腕を伸ばしてきたので、
前世今世合わせて初めての壁ドンにドッキドキ☆(兄だけど)になれば、そのまま頭をがしっと掴まれる。
い、いたたたた。違う、違うそうじゃない!
それ乙女がキュンとしないやつ!違った意味で涙目になるやつだから!!!
掴むところ間違えてるよ兄!にいさま、そこはらめえええ!
髪!髪のピンが頭に刺さる!刺さるから!いたたた痛いって!
せっかく(侍女たちが)苦心して纏めた髪だから!やめてえええ(涙)
「お、おい。ルーベルト」
「疲れてるところに急に突撃してきてわけわかんない事を言いだした僕の妹を、
兄である僕が教育的指導して何が悪いんですか?ヴィン?」
楽しそうな顔で念入りに私のこめかみをグリグリし始めた兄を、止めようとしてくれてる殿下を制する。
殿下の優しさが、つらい…!
っていうか兄!疲れてる割に元気かよ!
万力みたいなそのグリグリ痛い!
痛いから!もう、やーめーてええ!(涙)うわああん(泣)
涙目になった私にやっと兄は拳を収めると、付けていた眼鏡と教鞭ををひょいひょい取って自分の胸ポケットにしまう。
ぼろぼろになっているだろう髪のピンを外して綺麗になでつけると、はあ、と本当に疲れているのか深くため息をついた。
「リカ、最近、あんまり構ってやらなかったから、わざわざ王城にまで遊びに来たわけ?」
い、いや、そういう訳じゃない。断じて違う。
兄で遊びたいなら家で遊ぶし。
今日の私は殿下に指南するために来ただけだ。偉いなあ私。
きょとんとしている私を億劫そうに引っ張って、殿下の座るソファの真ん中に無理矢理座らせると元の位置(逆隣)に戻った。
「ヴィン。リカはチョコレートパフェが食べたいらしいよ」
「…………分かった。用意させる」
違う、そういう事じゃない!
と思ったけれども、もう兄は掴んだままの手を放してくれる気がなさそうなので、
渋々とソファの真ん中に体を預けその居心地の良さに息をついた。
今回、長台詞で、喉乾いたわー。
そんなに、会ってなかったっけ?寂しかったのかなあ(洗脳)?私。
そして私は、疲れたようにソファの肘置きに凭れた兄と、何故だか機嫌のいい殿下の間に座って
王城で美味しすぎるチョコレートパフェをまんまと堪能したのだった。(その晩の夢に出るくらいおいしかった❤)
……あれ?壁ドンどこいった?
『壁ドン・顎クイ』を知らない人たちにやってみせるタイプの壁ドン(ソロ)を教えるのって難しいんだろうなあっていう話でしたー。
殿下の生真面目さが憎い(笑)
ここ数話、兄と殿下が全く出てこなかったので、リカの存在意義が…!となって書きたくなった話でした~。あは。
乙女ゲームをやったこともない(後ろで見たことしかない)私が書く話なんてこんなもんですよ。とほほ。私の方こそ攻略サイトでも読みやがれ(ごもっとも)




