第7話:欲しいモノ
それからまた一週間経った。時間が過ぎるのがとてつもなく早い気がした。
後…16日…。
ドナーはまだ…見つからない。
佳奈の様態はどんどん悪化していった。
ついには…酸素を運ぶ機械がなければ呼吸できなくなった。
自分で歩く事もできなくたった。
時間は確実に近付いてきている…。
「聡…私達……。」
「ん??どうした?」
「ううん…なんでもないや。」
最近の佳奈はいつもそうだ。
「佳奈今何が欲しい??それか…何して欲しい?」
「えっなんで?」
佳奈は自分の誕生日を忘れていたようだった。
いゃ…佳奈の誕生日は迎えられないから…今の内にやっておくだけ。
俺と佳奈が一緒に居れるこの時間に。
「いぃからいいから。」
「そうだな…聡のお嫁さんかな??(笑)」
酸素を送る機械のマスクをつけたまま佳奈は目を細くして笑った。
「佳奈…。」
佳奈の気持ちは痛い程わかった。
「あっゴメンね!(笑)無理だよねそんなの…。」
「佳奈、結婚しよう。」
「聡…ありがとう。明日にでも結婚したい…。聡と一緒にバージンロード歩きたい。聡じゃなきゃ嫌だよ。」
佳奈の心のこもったその答えが幸福だった。
「聡いっつも急なんだから(笑)だから…好きだよ。」
俺は…目の前にいるか細く弱弱しい少女を守ってやりたいと思った。




