表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛しい日々  作者: 黴菌
7/15

第6話:悪化

俺はその次の日も部活を休んで佳奈の所へ行った。




「あっ聡。部活大丈夫なの??」




佳奈は前より割と元気だった。




「いいんだよ。佳奈が病院にいるんじゃメールだってできねぇもん。」




「ゴメンね…。」




佳奈は重く謝った。




「いいって。そうしたくてやってるんだから。」




本当はキツかった。試合が近いのでダブルスでくむ相手に迷惑を掛けていた。







「ならいいけど…無理しないでね。」



佳奈は前と一緒で明るいが、たまにこんな風に暗くなる。


ごまかしきれない感情が佳奈にはあるんだ。




時間は無情にもどんどん進んでいく。




佳奈の命の残りを聞いてからもう一週間経ってしまった。



佳奈は自分の体が弱くなるだけ明るく振る舞った。




「佳奈…大丈夫か?」




「なんともないよ!これ位いつもの事だよ(笑)」



佳奈は最近よく咳こむ。



とても苦しそうに。




「ゴホッゴホッ…う…」




佳奈の口からは…血がでてきていた。



それをおさえていた手も真っ赤だった。




「佳奈っっ!!大丈夫か!?今誰か呼ぶから!!!」




俺は病室を走ってでた。



出た瞬間運良く佳奈の担当の医者と会った。




「あのすみません!!相沢さんが…。」



ドサッ…




佳奈の病室から何かが落ちる音が聞こえた。




俺は医者をおいて病室へ飛び込んだ。




佳奈が床に倒れていた。




「佳奈っっ!!」




佳奈に駆け寄ったが意識はなかった。



医者がきて…その後に看護婦が走ってきた。




そして佳奈は運ばれていった。




しばらくして…応急処置が終わった様で佳奈は病室に戻された。




まだ佳奈は眠っているようだった。






「佳奈…後…23日しかない…。俺何してゃればいいんだよ…。」




そう呟いた。

佳奈になげかけるような…独り言。




「こんな…自分が無力だなんて…しらなかった。」






「聡は…何もしなくていいんだよ…?私の側にいてくれるだけでいいんだもん。それだけで…私は笑っていられる。」




佳奈はいつの間にか起きていた。




「でももう…時間がないよ…佳奈の残り…少ない…。」




「聡…私怖いよ…。咳が酷くなる度…時計の針の音が聞こえる度…すごい怖い…。私の死が近付いてくる…。聡がいるだけで…本当にいいから…。」




佳奈の言葉は俺を世界中の誰より特別にしてくれた。




「ありがとう…佳奈…。」




「私のセリフとらないでよ〜(笑)」




佳奈は涙を拭いながら笑ってそう言った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ