第3話:朝の学校では
翌日いつもと違って早く目が覚めた。
すぐに支度をし、ラケットを持ってでていった。
学校に着いて、コートに行くと…なんと誰もいなかった。
そういえば…昨日コーチが朝練ないって……。
しまった…いつもあるもんだから勘違いしていた。
早く起きた事を後悔しながら、教室へ向った。
誰もいないと思っていたが、一人だけ…机に俯せになって眠っている人がいた。
相沢だった。
俺は起こさないように気をつけながら歩いた。
しかしそれも虚しく、俺は机の脚につまづいてけたたましい音をたててこけた。
「ってぇ…。」
右足の膝は擦りむいて血が出ていた。
「えっ!?聡何やってんの!?だっ大丈夫??」
目を覚ました相沢はそういって駆け寄ってきた。
「いっいゃ何も問題ないから(汗)」
そういいながら俺は倒れた机を戻していた。
「あっ聡っ!血が出てるよ!!早く手当てしなきゃ化膿しちゃう!!保健室いこ!」
冷静な判断だったが相沢は完全に焦っていた。
「大袈裟だって(笑)こんなん舐めれば治るから。」
「ダメ!聡がよくても私はダメなの!!はいっ肩貸してあげるから!行くょ!」
相沢は自ら俺の腕を自分の首にまわした。
そして頼りない足どりで歩き始めた。
「今日朝練なかったんだねー。間違えちゃった(笑)聡もだけどねぇ。」
「相沢もなかったんだ(笑)」
「私の事は佳奈でいいっていったじゃん!!」
相沢は頬を少し膨らませていった。
それがかわいくて笑いそうになったがなんとか堪える事ができた。
「んじゃー…か…な?」
「聞こえないよーもっと大きな声でぇ(笑)」
そういってからかった。
俺はその時、彼女への愛を自分から感じた。
「佳奈…好きだ。」
「えっ!?」
俺は自分にびっくりした。感情のままにその言葉を発してしまった。
「えっと今のはそ…の。」
言い訳をしようとした俺を佳奈の言葉が遮った。
「私も好き…だよ。付き合おう??」
「あっ…うん。」
俺は呆然として無意識に言葉を返した。
「良かったぁ…。」
佳奈はそういうとそのまま俺に抱き付いてきた。
少しだけ俺より短い身長が信じられない程愛らしかった。




