第13話:さよなら
「ダ…メ……だ…よ。」
「俺が決めた…。佳奈が死ぬ事は…ない。佳奈は…俺達が出会えて良かったのか……って言ったよな??」
私は泣きながら聡の話を悔しそうに聞く。
「出会いなんて……誰にもわからない…。でも…きっ…と俺は…佳奈を守るために生まれて……佳奈を守るために出会った。」
違う…。
「ち…が……うよ。」
「違わない…。だから俺は……佳奈を守…る…。そ…れが俺の意思で……俺の運命…。」
そんなの勝手だよ。
「わ…たした…ちの…であいに…うん…め…いなんか…い…らな…い。わ…たし…さと…しに…こく…は…くされて……せ…かい…じゅうの…だれより……し…あわ…せ…に…な…れた。」
必死に聡を止めた。
たとえ手遅れでも…。
「ど…んな…お金…もち…よりも……な…んでも…持ってる…ひとより…も…。こう…ふく…だっ…た。」
流れる涙は止まる事を知らずに…枕を濡らしていく。
「だ…から…し…あわせ…になり…すぎた…から……わ…たし…しんでも……かまわ…な…い。」
今なら心からそう思える。
聡のためなら…死ぬ事も怖くはない…。
「それ…なら…俺も…同じだ…。俺も……佳奈に…会って…両想いになれて…幸せ…だっ…た。」
私は言い返せない。
悔しいけど……
聡の言う事に間違いはなかったから…。
「佳奈……愛してる……ずっと…だか…ら…」
「さよなら。」
聡は……何も喋らなくなった。
目を閉じたまま…。
微笑んでる…。
私は泣きながら動かないはずの体を無理やり動かし…
ベットから落ちるようにして降りて…
動かない聡の側にいく。
「さ……と…し…?おき…て…??わ…たし…さ…としが…いなきゃ……さ…とし…じゃ…なきゃ…。」
私は居眠りをする聡を見る事が大好きだった。
でも…今は…いつものように聡の寝顔を見て笑えない。
なんで…??
聡…こんな気持ちよさそうに…眠ってるのに…。
私はどうして涙を流すの??




