第12話:心臓
私の命の期限はもう明日まで。
一か月は…私には実に早すぎた。そして…苦し過ぎた…。ほんの前感じていた長さとは違って…。
まさに相対性理論だ…。
聡は……こない。
仕方のない事だ。
私が忘れてなどと言ったから。
何…期待してるんだろう……?
期待してみても無駄な事だ。
それは私が1番よくわかってるはずでしょ??
でも…聡…
怖いよ…。
自分の…死ぬ日がわかってるのって怖いよ。
私の時計が…正確な事も…。聡がいない事も…
暗闇が手をのばしてくることも…
「佳奈…。」
いつの間にか開いている
ドアの方を見てみると…。
夜の暗がりの中にふらつく聡がいた。
「なん…で…?」
聡はフラフラしながら私のベットの脇に倒れ込むように座った。
「佳奈…。俺の…心臓を使ってくれ……。」
聡の…心臓??
「な…にいって……んの??」
聡の言う意味がわからなかった。
「俺はもうすぐ…死ぬから……。薬…飲んだんだ。ドラッグじゃない……毒薬…。もう医者に話はつけた…。」
月光に照らしだされた聡の顔は……死ぬ前の苦しさと…ある決心がまじっていた。
「…な…んで?なん…で??」
もう……もう…意味がわからない。
「俺が佳奈のドナーになる。」
聡の目は私を捕らえて放さず…弱弱しい音量で…力強い決意を…私に言った。




