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愛しい日々  作者: 黴菌
11/15

第10話:乾かない足下



結婚してからもう5日たつ。




佳奈の時間はもう明日とあさって…。




佳奈はもう限界だった。


本当に起きる事もできない。



声も…耳を凝らさなければよく聞こえない。




その日は佳奈と1日中一緒に過ごした。




会話もせずずっと側にいた。




佳奈は一人で近付いてくる死をただ呆然と待っていた。




俺も話し掛ける勇気などなかった。




佳奈の左手の薬指にある指輪が、太陽の日にあたり輝いていた。






「さ…と……し…。」




佳奈が小さな声で話しかける。




俺は急いで佳奈の口元に耳を寄せた。




「なんだ?佳奈??」




「わ…たし…たち…であっ…て……よか…った??」







佳奈がいつも途中でとめていた言葉…。






「あたり前だ…。何言ってんだよ??」






「だっ…て……わた…した…ち……であ…わなかっ…た…ら…さと…し……そ…んな……かな…し…い…かお…しな…かっ…た。」






俺は何も言えなかった。






「ご…めん…ね……ごめ……ん…ね…だ…から…」




佳奈は泣きながら苦しそうに言う…。







「わ…たし…のこ…と……わ…すれて…ね…。」







佳奈はそう言った後…声にならない叫びをあげながら泣いた。




俺は佳奈に何も言えずに…病室からでていく事しかできなかった。






俺の俯く床は乾く事などない。

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