2話 引きこもりエルフ
セレスティアの小屋に着いた。
意外にも可愛らしい部屋だった。ぬいぐるみが並んだベッド、壁には押し花の額縁。
「座って。お茶を淹れるわ」
「あ、ありがとう...」
お茶を淹れながら、セレスティアがこちらを見た。
「で?説明は?」
「えっと...ただの旅人で...」
「それはさっき聞いた。本当のこと」
「...」
「まあいいわ。泥だらけでボロボロのあなたが危険人物には見えないし。今夜は泊まっていきなさい」
セレスティアがキッチンへ向かった時——
『ニケちゃん!ニケちゃん!』
「!」
『ニケちゃん、信仰度溜まったわよ♪さっきの続き、
聞きたいでしょ?』
「えっ、まぁ…」
『だよね!』
【続き気になる?信仰度は5消費だよ〜♪】
「えー、結局有料なの?」
『ニケちゃん!それだけ大事な話ってこと!』
(この感じ、聞かないと何度も連絡してくるパターンだよな…)
「あの…聞きます」
【信仰度:5 → 0】
『えっとね、1日3回まで話せるでしょ?で、続きを聞くたびに信仰度を消費するの。消費量は内容によって変わるから、計画的に使うこと♪』
「それ、最初に全部教えてくださいよ...」
『だって信仰度なかったじゃない。溜まるまで待ってたのよ?偉い?』
「偉くないです。天界で説明しといてくださいよ。」
『あら、冷たい。ママ悲しいわ』
「ママ!?」
思わず声が大きくなる。
「...誰と話しているの?」
振り向くと、セレスティアがお茶を持って戻ってきていた。
「な、何でもないです!独り言です!」
「怪しいわね...」
※
翌朝。森を抜け、私たちはココナ町に到着した。
「まずはギルドに行きましょ」
「ギルド?」
「冒険者登録よ。お金を稼ぐにも、宿に泊まるにも、身分証がいるの」
冒険者ギルドの受付で、猫耳の受付嬢が笑顔で迎えてくれた。
「お名前をお願いします」
「ニケです」
「ニ...ニケ様!?勝利の女神様と同じお名前ですね!」
「あ、はは...そうですね...」
(本人なんだけどな...)
セレスティアがニヤニヤしている。
「初期ランクはGになります。ちなみに、セレスティア様はFランクですので、お二人でFランク以下のクエストを受けられます」
「私が守ってあげるから、安心しなさい。仲間なんだから」
(張り切ってるな...)
「ありがとう、セレスティア」
「ふ、ふん...当然よ」
【信仰度:0 → 1】
おっ、1上がった。
※
その夜。安い宿の一室。
「明日は薬草採取のクエストを受けましょう。それと...明後日、この町で腕相撲大会があるの」
「腕相撲?」
「賞金100万z。竜人族のリリアーナっていう女の子が主催で——」
「...引きこもりなのに詳しいですね」
「う、うるさいわね!ギルドの掲示板に書いてあったのよ!」
リリアーナ。
その名前を聞いて、私の記憶がフラッシュバックした。
過去99回、誰も勝てなかった竜人族の少女——
「知ってるの?」
「...いえ、初めて聞きました」
嘘をついた。
「興味あるなら、見に行ってもいいわよ」
「...はい、行きましょう」
100万zは魅力的だ。
(続く)




