表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/13

第2話:キャラクリ


「ようこそARCUSの世界へ!」


「ここでは貴方の操作するキャラクターを作成します。」


 何も無い真っ白な空間に、現実の俺とそっくりな身体が現れる。


 この身体を弄ってキャラクターを作成するようだ。


 髪の色をグレーに、毛先と瞳を赤色に染める。


 ……現実よりも美形にすることも出来るが、俺の技量では造り物感が、どうしても拭えなかった。


 久世悠真イケメン化計画は諦め、髪型を整えて"完了"を選択する。


 視界が身体に吸い込まれるように移動し、一人称視点へと切り替わった。


 手をグーパーしてみたり、ピョンピョンとジャンプをしてみたりするが、現実世界の感覚と殆ど変わりが無い。


「すげぇ……。」


 思わず声に出てしまった感嘆の呟きも、まるで現実そのものだ。


「次に貴方のスキルを確認します。」


「…………確認完了。ARCUSにて使用するRスキルを1つ選択して下さい。」

 

「ARCUSでは、貴方の行動次第で様々なスキルを獲得することが可能です。選択しなくてもプレイに影響はありません。」


 俺は迷わずに《魔改術》を選択する。……というか《魔改術》以外の選択肢が《err》になっていて選べなかった。


 未確認のスキルやARCUSに実装が困難と判断されたスキルはこのように表示されるらしいが、まぁ、《魔改術》は選べたし、問題ないだろう。


「次に初期スキルを3つ選んで下さい。」


 目の前に膨大なスキルの一覧が表示された。《筋力強化》といったパッシブスキルから、《スラッシュ》などのアクティブスキル、さらには《スリ》などのギリギリのスキルまで。


 せっかくならば、戦闘してみようかと思ったが、リアのヤツが嬉々として戦いに行きそうである。


 大人しく《魔改術》を活かす感じにしようと決めた。



  

 吟味に吟味を重ね、俺が選んだスキルは、《ランダム》、《ランダム》、そして《ランダム》だ。


 ……別に選ぶのが面倒くさくなった訳ではない。一覧にない少しレアなスキル当たる可能性があるって書いてあったから、それを掴み取りにいっただけだ。

 

「最後にARCUSでの、貴方な名前を入力して下さい。」


 VAST設置中にあらかじめ考えておいた、プレイヤーネームを入力する。


 『ルカン』、それがこの世界での俺の名前だ。


「それではARCUSをお楽しみ下さい。」


 目の前に現れた、様々な紋様が蠢く黒い裂け目。


 俺は臆することなく、その裂け目へと足を踏み入れた。

 



 


 広大な大地に広がるのは、中世ヨーロッパを思わせる、石造りの街並み。その噴水が特徴的な大きな広場に俺は立っていた。


 普段使っているARデバイスEaARと同じ、開発元というだけあって、ユーザーインターフェースは、殆ど変わりが無い。


 マップを開き、常時表示へと設定を変更する。


 『ルネフィア王国』の『ファスト』という、この街が始まりの地らしい。


 しかし表示されているマップは自分の周囲だけ。地道に探索してマップを埋めるか、どこかで地図を購入する必要がありそうだ。


「あぁ~、リアとの集合場所決めて無かったな……。」

「ひとまずステータスを確認するか。」

 

 広場内のベンチへと腰掛けて、メニューからステータスを表示する。


===============================

Name:ルカン

Job:無職

Lv:1

HP:12

MP:12

STR:1

VIT:3

INT:1

MND:3

DEX:1

AGI:2

LUK:1

SP:10

Rスキル:《魔改術》

Uスキル:《》

Jスキル:《》《》《》

Nスキル:《DEX強化+》《幻装》《》

Sスキル:

===============================

 

 よくあるMMOのステータスと変わらない。SPはSTR〜LUKまでの項目に振って、このキャラクターを育てていくことになる。

 

 スキルについて、Rは見ての通りリアル、Uはユニーク、Jはジョブ、Nはノーマル、Sはスタンバイの略だ。


 そしてランダムで選ばれたNスキルは、《DEX強化》、《DEX強化》、《幻装》。


 一体どんな確率を通したのだろうか。被ってしまったスキルは《DEX強化+》となって纏まったようだ。その効果はDEXが1.2倍。小数点以下は切り捨てだ。


 そして《重ね着》、防具の見た目を、所有する他の防具へと変更できるスキルらしい。


 キャラクリのスキル一覧には無かった気がするので、当初の目論見は成功したと言える。


 この時ルカンは、このスキルのありがたみを理解できず、「あんまり嬉しくないなぁ。」などと考えていた。某狩ゲーを見れば、《幻装》の有用性は明らかだ。


 SPの振り分けはリアのスキルを見てから考えよう。時間ならたっぷりあるのだから。


 このVASTとかいう最新技術の結晶は、思考加速機能も搭載しており、その倍率は驚異の4倍。


 こちらで4時間遊んでも、現実世界では1時間しか経っていないことになる。


 そのためゲーマー以外からも、その需要が高く、中々手に入らないのだ。



 

「マスターお待たせしました。」


 腰まで伸びた艷やかな黒髪。

 大きくてハッキリとした黒い瞳。

 透き通るかのような白い肌。

 俺よりも若干背が高く、スラリとしたモデル体型。


「リア……だよな?よく俺のこと分かったな。」


「当然ではありませんか。髪と瞳の色が変わったくらいで、私の目は誤魔化せません!」


 胸を張って答えるリアは、なんというか想像通りのリアであった。


 隣に腰掛けたリアは、とても楽しそうに、左右に体を揺らしてリズムをとっている。


「マスター、早速ですが、フレンド交換してパーティを組みましょう。」


「お、おう。そうだな。」


 爆速で飛んできたフレンドリクエストを承認し、これまた爆速で飛んできたパーティ申請も承認した。


「やはりまずは、フィールドに出て初戦闘と洒落込みますか!」


「ちょっと待って。リアのステータスを確認してからSP振りたいから。」


「ふむ。一理ありますね。」


 すこし落ち着いた彼女は、ステータス画面をコチラに差し出してくれた。ついでなので、俺のステータスも彼女に見えるようにした。


===============================

Name:リア

Job:無職

Lv:1

HP:13

MP:12

STR:6

VIT:3

INT:1

MND:3

DEX:1

AGI:7

LUK:1

SP:0

Rスキル:《美食家》

Uスキル:《》

Jスキル:《》《》《》

Nスキル:《料理》《STR強化》《連撃》

Sスキル:

===============================


 STRとAGIに振った遊撃手といった感じのステータス。《STR強化》はSTR1.1倍、《連撃》は攻撃を当て続けるとSTRが上昇していくスキル。


「リアに合わせるならタンクなんだけど……、DEXを伸ばしたいから、俺も遊撃になりそう……。」


「マスターがやりたいように遊びましょう!私もやりたいように遊びますから。」


 う〜ん。せっかくだしDEX特化にしようかな……。移動に困りそうだし、すこしだけAGIに振ってと……。

 

 それにしても、Rスキルが《美食家》。


 そもそも何故Rスキルがリアにあるのか謎である。


「リアって《料理》できるの?」


「《美食家》ですから。」


「そもそもなんでRスキルが……?」


「乙女に秘密はつきものです。」


 暖簾に腕押しとはまさにこのこと。気になる所は全てはぐらかされてしまい、諦めざるを得なかった。



 

===☆1=========================

初心者のシャツ


DEF:1


VIT+1

MND+1


初心者が必ず装備しているただのシャツ。

着心地は悪くない。

===============================


===☆1=========================

初心者のズボン


DEF:1


VIT+1

MND+1


初心者が必ず装備しているただのズボン。

着心地は悪くない。

===============================


===☆1=========================

初心者の靴


DEF:1


AGI+1


初心者が必ず装備しているただの靴。

履き心地は悪くない。

===============================


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ