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第3話

■ 2022年 5月26日(木)

仕事から家に帰ると部屋の温度がが異様に低く感じた。

ついにヤバいのが来たか……と思ったのだが、扉を開けるとクーラーが動いていただけだった。


ただ、今年はまだ一度もクーラーを動かしていない。

正直リモコンすらどこにあるかわからない。

それでいて動いているということは、()()()()()の仕業なのだろう。


今までにないケースだったので、念のため記載しておく。



■ 2022年 5月27日(金)

家に帰ると洗濯機が回っていた。

幸い洗剤を自動投入する型をだったので、服がかびたり水臭くなることはなかった。


意外だったのは、なつさんが洗濯機の前にいたことだ。

他の霊が動かしていると思っていたのだが、なつさんだったのか。



■ 2022年 5月28日(土)

軽食を買いにコンビニに出かけたあと、家に帰ったら今度はルンバが稼働していた。

土曜日にルンバのスケジュールは入れていないので、これもなつさんが電源を入れたのだろう。


ただ当の本人はルンバが怖いようで、ルンバから逃げるようにせわしなく動き回っていた。

かわいそうだったのでルンバの電源は落としたが、それからなつさんはルンバから離れた位置に居るようになった。


夜には炊飯器の電源が入っており、空焚きになっていて流石に肝が冷えた。

火事が怖いので炊飯器だけでなくオーブンやケトルのコンセントを使用時以外は抜くようにしようと思う。


にしても、何故なつさんは家電を動かそうとしているのだろうか。

好意的に解釈するなら「家事を手伝いたい」……だろうけど、少し都合がよすぎる解釈な気がする。生前は家事が好きだったとか?


明日は炊飯器に水と米を入れて様子を見てみようと思う。



■ 2022年 5月29日(日)

炊飯器の電源は入ったのだが、真っ黒なごはんができた。

最初は炭かと思ったがふっくら炊きあがっており、なんとも奇妙だった。


一口食べたが、鉄と炭・牛乳を混ぜたような味がして食べられるものではなかった。

なつさんには申し訳なかったが捨てた。


ずっと炊飯器の前に立っていたのでさすがに申し訳なくなり、再び水と米をセットしたところ、また動き出した。


(追記)

今度はおいしい白米だった。

ほんのり甘い香りがしたのは、なつさんが炊いたからだろうか?

私は問題なくご飯を平らげ、なつさんも満足したのかいつものポジションに戻っていた。


なんにしても、もう一度チャレンジしてよかった。



■ 2022年 5月30日(月)

会社の同僚のみしろさんの仕事を手伝う機会があり、

流れで彼女と個人的に話すことがあった。

急に自分がやせたことを心配して話す機会をうかがっていた、とのことだった。


確かに体重は露骨に落ちていたし、顎のラインも出るようになった。

これは安心して眠れるようになり、体の調子が良くなったからだと思う。

コンビニ飯に頼ることも少なくなったのも大きいと思う。


みしろさんにも最近よく眠れるようになったことを話したところ、安心したようだった。



■ 2022年 6月2日(木)

帰宅直後に書いているのだが、なつさんがいない。

部屋はとても静かで、不安だ。


(追記)

シャワーを浴びてご飯の準備をしているとなつさんが帰ってきていた。

部屋にただよう牡丹の花の香りが、私の心を落ち着かせてくれる。



■ 2022年 6月5日(日)

なつさんはあれから何度か出かけるようになった。

ルンバさえなければ普段あまり動かなかったのだが、何か用事ができたのだろうか?


家に引き篭もりがちなのも不健康なので良いことだとは思うのだが、

帰った時になつさんがいないと、このまま帰ってこないのでは……と不安になる。

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