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最終話 ヒデとチュンチュン 未来への誓い

~ ヒデとチュンチュンが再会し、焼肉パーティ ~


 ご飯食べ終わったら、もう9時過ぎになっちゃった。


「疲れただろうし、今日はお風呂入って早く寝た方がいいな」ってことで、二人で洗面器もって腕組んで、お風呂屋さんへ。あの頃と同じだ。楽しいな。お風呂屋さんも全然変わってなかった。


 お風呂出て、「ひー、外暑いー。また汗かくー!」って言いながら、急いでアパートの寝室に戻る。あ、エアコンが効いてて涼しいなー。


 私は、あの時みたいに、「それじゃさ、私、着替えてお布団入ってるから、ヒデ君、後から来てね」って宣言して、ヒデ君を玄関に追い出す。


「ああ、あれだなー? まだ持ってたんだ(笑)」

「そうよ。だって、紐パンなんて普段履く機会ないでしょ? まだまだ新品同様よ(笑)」


 私は、例の黒い紐パンに着替えたんだけど、さすがに28にもなると年の功なのね、蝶結びもスムースにいき、素早くお布団に潜り込んだ。あ、夏だからタオルケットなのか。だけどヒデ君の匂いだ。いい匂い。くんかくんか。


「はい、いいよー。来てー」って声掛けたら、うおっ、すご、ビキニパンツ一丁の筋肉マンが、「おー、こっちは涼しいな」って言いながらノシノシと登場し、私の横に潜り込んできた。


「うっわー、ヒデ君、すごい身体ねー。これ、もはやターザンよ。ターザンそのものよ。見ようによっては気持ち悪いかも‥‥‥」 私はヒデ君の大胸筋のカットを指でなぞりながら、感嘆の声を上げる。気持ち悪いと言いつつ、眼が♡になってる。


「あはは、そうか。それは誉め言葉だな。‥‥‥俺さ、お前と別れてから、お前のこと、なんとか頭から追い払おうって、毎日筋トレ死ぬほどやったんだよ。トレしてるときは、何も考えずに、筋肉だけに集中できたからさ。だから、俺、ボディビルにすっごく救われたんだ。これがあったから6年間耐えてこられたんだ」


 そうか、そうだったんだ。ヒデ君、健気だな‥‥‥。


 そう思うと、愛おしくてたまらなくなり、私は、ヒデ君の大きな背中に手を回して、キュって抱き付いた。ヒデ君も私を抱きしめてくる。だけど、


「あれ? チュンチュン。ちょっとふっくらしたな」って、衝撃の一言が。

「えっ!? そ、そう思う?」

「うん。ボリュームが増したというか」

「じ、実は、この6年で3㎏増えて、52㎏になったの‥‥‥やっぱりちょっとポッチャリしたかな? だ、だけど、胸も育ったのよ! F70になったんだからっ!」

「なんだか戦闘機みたいだな(笑)。いいじゃないか、ポッチャリ。もともと、お前痩せすぎだったからな。170㎝あるんだし、60㎏近くあった方がバランスいいと思うぜ」

「そうか、うーん、でも女子的には60㎏って、ちょっとゾっとする数字よね。それにこれから幸せ太りしそうだから、私もジム通う! もう齢だし、リフトアップしないとF70が引力に負けちゃいそう‥‥‥」

「あはは、そうだな。一緒に通おうか。‥‥‥それじゃ、大きくなったF70を拝見させてもらおう」って言いながら、ヒデ君が黒いブラの後ろに手を回して、ホックを外してくる。私は、やっぱりちょっと恥ずかしくて、すぐに白い胸をヒデ君の黒い厚い胸板に押し付け、そのままヒデ君の首に抱き付き、だけど、ずっと気になっていたことを、耳元で囁ささやく。


「‥‥‥ねえ、この6年、浮気してなかった? その肉体を活かして、ここに女の子を入れてなかった?」って、眼を細めてジトーっと見つめる。


 そしたら、「え? でも、もともと『お互い縛らない』って決めてたんだから、そ、それを『浮気』と言うのでしょうか……?」って、しどろもどろになってる! ショック!

「あーっ! やっぱりーっ! もう、女狐にいいようにやられちゃって、ヒデ君のバカー! 憎たらしー!」

「め、女狐‥‥‥って、あはは、冗談冗談、チュンチュンごめんな。俺さ、前も言ったけど、心が通わないと身体もダメなんだよ。6年間、お前よりいい女、全く出会わなかったな。だからこの部屋に女狐なんか出なかったよ」

「な、なにそれ、やめてよー。ビックリしたじゃないの(悲)。最初からそう言ってよー」

「ごめんごめん。だけどお前だって、いろいろあったんじゃないか? まあ、そういうの訊かないのがマナーだろうけど、当然俺も気になってたからさ」

「ううん。全然、なんにもないわ。もちろんね、『好きです。付き合ってください』って人はいたけど、みんな丁重にお断りしたの。結局、誰もヒデ君を上書きできなかったのね」

「へー、そうだったのか。絶対誰かと一緒にいるって思ってたけどな。だから連絡しにくくてなあ‥‥‥」


「そっか、お互いそう思ってすれ違ってたのね‥‥‥。だけどヒデ君、それじゃ、あっちの方はどうしてたの? 自分でしてたの?」

「お、おう、まあな。そういうことになるな」

「私のエッチなこと想像しながら、自分でしてたの?」

「お、おう、まあそういうこと『も』あったな」

「‥‥‥何よそれ。さては、ネットでよその女見ながらしてたんでしょー?」

「いや、まあ、それは勘弁してくれよー(笑)。いつまでもお前との記憶だけじゃ、もたなかったんだよー」

「ふん、ふんだ、ふんだ。‥‥‥まあいいわ。許してあげる。二次元の女だもんね。私もそこまで目くじらたてないわよ(笑)」


******


「それにしても……」 私を胸に抱いて、ヒデ君が呟く。

「何?」

「お互い6年ぶりなんじゃ、もう、初めてみたいなもんだな。うまくできるといいけど」

「大丈夫。すぐに慣れるわよ。‥‥‥不安ならね、ふふ、今日は、お姉さんがリードしてあげるわ‥‥‥」 そう言って私は、ヒデ君に重なり、首筋にキスしながら、ビキニパンツに手を伸ばし、そっと触れる。ヒデ君がピクってなる。私は、続けて、

「もうね、私の、ヒデ君の形になっちゃってるから。ヒデ君専用なんだから。早く思い出させて……」って囁ささやいて、パンツの上から静かに上下にさすってあげた。そしたら、すぐにヒデ君のがカチンカチンになったので、すっと手を入れて、優しく握ってあげると、ヒデ君が、思わず、「くっ」っと声を漏らしてきた。


 私はそのまま顔を下げ、ビキニパンツを下ろして片足から抜き、ヒデ君の根本に指を添えて、お口で優しく包み込んであげる。ふと視線をあげると、ヒデ君は目をつぶって快感に耐えているみたいだな。ふふふ、可愛い。もっとしてあげたいな。私は、じゃまになる髪を片方に寄せてから、長いストロークで顔を上下に動かしてあげる。ヒデ君の息が徐々に熱くなってきてるのが伝わってくる。


 そしたら、そのうち、ヒデ君が、「チュンチュン、ありがとな。もう相当ヤバいから、今度は俺がするよ。俺も、久しぶりにチュンチュンの全部を見たいからな」と言って、私をそっと抱きしめたあと、仰向けにして、そして右膝の内側から、白い内腿に沿ってツーって細い舌先を這わせてくる。次第に舌先が中心に近づいてきて、私が思わず細い息を吐きながら身体を細かく震わせたとき、ヒデ君がサイドの黒い腰ひもに手をかけた。


 そうして、ヒデ君の舌を私の中に感じた瞬間、「あっ!」って、私の全身に電流が走り、私はビクンと身体を反らせて、たまらずにヒデ君の髪を両手でグシャグシャにする。


 ああ、ずっと長い間忘れていた、この感覚。今、思い出した。私ね、恥ずかしくて言えなかったけど、ずっとヒデ君としたかったの。ヒデ君が欲しくて、身体が火照って寝られない夜も沢山あったの。だから、もう、待ち切れないの。

 そう思ったとき、私は、上気して紅に染まった顔でヒデ君を見て、「お願い、ヒデ君。早く入ってきて。ヒデ君ので、私をいっぱいにして……」って、潤んだ眼で懇願していた。


 その声を聞いて、ヒデ君がすっと身体を起こし、私に重なりながら、「そうか、嬉しいな。俺もずっとしたかったよ。それじゃ、チュンチュン。6年ぶりに……いただきます」と優しく声をかけ、そっとキスしながら、だけど力強く私の中に入ってくる。私も手を添えて、私の体内に彼を導く。ああ、私の中がヒデ君で満たされていく。


 私はキスで口を塞がれて、「んっ! んーっ!」とこもった声をあげながら、夢中でヒデ君に抱き着く。

 二人の身体が円状に繋がり、両方で深く激しく交わり続ける。身体が熱く溶け合って、もう私が私でなくなり、次第にヒデ君とトロリとした一つの塊になっていく。


 そのうち、ヒデ君が「くっ」と声をあげ、「チュンチュン、そろそろ俺……」と声をかけてくる。ああ、ヒデ君のがムクムクと固く大きくなってきた。もうすぐなんだな。


 私は薄眼を開けてヒデ君の瞳を覗き込み、「うん、いいよ。きて。ヒデ君、最後まで、中に、お願い……」と応えて、ヒデ君の身体に足をきつく巻き付け、背中に爪をたてる。


 そして、私は、最後に背中を大きく反らせながら、ヒデ君の全部を、私の一番奥で受け容れた。私の中に、ヒデ君が何度も注ぎ込まれてくるのを、はっきりと感じ取った。


 もう、私、今、ここで死んじゃってもいい。そのくらい、すごく幸せだった。


 ******


「あはは、やっぱり久しぶりで、すぐ終わっちゃったな。ごめんな」 ヒデ君が、私を胸に抱きしめて謝ってきた。

「ううん、いいよ。とっても素敵だったわよ。私もちょっとヒリヒリしたし、慣れるまで少しかかるでしょ。また二人で作っていこ!」

「うん、そうだな。だけど、ゴムなしで大丈夫だったかな」

「多分今日は大丈夫。それに‥‥‥、できちゃってもいいよ。そしたら、私、生むよ。私とヒデ君の赤ちゃんなら、絶対すっごく可愛いよ。きっと天使みたいだよ」

「あはは、そうだな。それも幸せだな」

「そうそう、もう私がフラフラできないように、どこか行っちゃわないように、しっかり繋ぎとめておいてね」


「是非、そうしよう。‥‥‥しかし、なんだな。俺たち、もうすっかり一緒になるものだって思ってるのな」

「えっ、違うの?」

「いや、全然違わない(笑)。けど、お互いこれまでそんなこと一言も言ってなかったからさ。自然とそうなってたんだなって」

「そうよ。ずっとそうだったじゃない。‥‥‥だけど、いつかちゃんとプロポーズしてよー。ただなんとなくそうなりました、っていうんじゃなくて、なるべく劇的にやってよね」

「劇的って‥‥‥二人でバンジージャンプしながら指輪出して、『俺と結婚してくれー!』とかそういうの? 絶対指輪なくすからやめた方がいいぞ」

「そ、そこまで劇的じゃなくていいわよ(笑)。それにその時、私達、まだ貧乏かも知れないから、指輪もいらない。いつか時がきたら、ちゃんと丁寧に『僕と結婚して下さい!』ってお願いしてくれれば十分満足よ。そしたら、私も丁寧に応えるからね」


「そうか、じゃあ、そうしよう。だけど指輪も花束も間に合わなかったぞ」

「え?」


 そしたら、ヒデ君は、私を胸にギュっと抱きしめて、


「チュンチュンさん、僕と結婚して下さい。しばらくは貧乏するかも知れないけど、必ず幸せにしますから。子供も沢山作って暖かい家庭を築きましょう。苦しいこともあるかも知れないけど、力を合わせて乗り越えましょう。僕には誰よりもあなたが必要なんです。僕と一緒に人生を歩んで下さい。どうかお願いします!」って‥‥‥何? えーっ?


 私、不意打ちを食らって、驚いて、両手を口にあてて、あ、これはもうだめだ、涙出てきた、あとからあとから、もう全然止まらない。丁寧に応えたかったのに、顔くしゃくしゃになっちゃったじゃないのよう。

 私、フルフルしながら、口もわなわなしながら、ヒデ君の首に抱き着いて、

「うー、よろこんで。よろこんでお受けしますー。私もあなたが必要なんですー。幸せにして下さいー」って、やっとそれだけ応えることができた。でもそれヒデ君の言ってくれたこと繰り返してるだけじゃないのよー。もう、急に言ってくるからよー。バカー。


「はは、突然プロポーズしたから驚いちゃったか。ごめんな。だけど、いつもいつも思ってたことだから、考えなくてもスラスラ出てくるんだよ。お前も同じ気持ちでいてくれて嬉しいよ」


「うー、ヒデ君……」 

「なんだ?」

「今すぐ抱いて‥‥‥。私ね、今、これまで生きてきた28年で一番幸せなの。指輪の代わりに、私の一番奥にヒデ君の印をつけて。お願い」

「おお、そうか。それは素敵な申し出だ。それじゃ、お言葉どおり、またチュンチュンを堪能させて頂こうかな。‥‥‥お前、全身真っ白で、細いけど出るとこ出てて、本当に綺麗だぞ。ちょっとこの世のものと思えないくらい」


 そう言ってヒデ君は私に重なり、そっと優しく口づけてくる。私もそれに応えて、強く抱き合いながら激しい口づけを交わす。


 私は、自分からヒデ君に身体を押し付けて、私の中に再びヒデ君を迎え入れる。思わず細い吐息と声を漏らしながら、分厚い赤銅色の背中に白い腕を回し、きつく抱きしめる。


 よかった。嬉しい。この人は私のものに、私だけのものになったんだな。


 すごく時間がかかったけど、回り道もしたけど、私は夢を二つとも手に出来たんだな。


 ヒデ君、私、もうあなたを離さないんだから。


 ヒデ君、私、あなたをほんとに愛してる! 幸せにしてね!



         黒い髪の人魚 スピンオフ3 ~再会 そして未来へ~ (了)



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