【第90話 龍神たちのバレンタイン】
友紀のバレンタインが無事に終わり、今度は龍神たちのバレンタインだ。
友紀はオパの作ったネックウォーマーをラッピングした。可愛くラッピングできて、オパは喜んでいた。
いよいよバレンタイン会が開始された。龍神の里は、あちこちで恋の花が咲いていた。
意外だったのはスイリュウだ。友紀が少し体重が増えたのは、スイリュウのフォンダンショコラ製作に付き合っていたためだった。友紀と正幸も1個ずつもらって喜んだ。
相手は誰かと思えば、ハクリューだった。
アカリューとキリュウは意外な展開にびっくりした。一番びっくりしたのがハクリュー本人だった。
「まずは友達や仲間として接していきたい」ハクリューがそう回答すると、友紀と正幸は二人を応援することにした。
一方、黒龍にはプレゼントがたくさん集まっていた。その中には、旅館出雲の仲居の姿もあった。
黒龍はお返しプレゼントの量が足りないからと、人間界からアソートを取り寄せた。
「まるでファンクラブみたいね」スイリュウが言った。
熱気に押されている黒龍を見ると、オパは不安になった。自分があげても良いのだろうか——。
黒龍の列が落ち着いてきた頃、大龍神が現れた。
大龍神は普段、龍神の館から動かない。公衆の面前に現れることなどなかったのだ。友紀と正幸は片膝をついて礼をした。
「今日は龍神の里バレンタインイベントにようこそお越しくださいました。ありがとうございます」
友紀や正幸だけでなく、凛たちも招待されていた。
やっと一人になった黒龍。オパの方に駆け寄ってきた。
「バレンタインおめでとう」オパはそう言って、黒龍にネックウォーマーを渡した。
黒龍は早速身につけようとしたが、首が入らず、耳で止まってしまった。
オパはがっくりと肩を落とした。
しかし黒龍は大喜びで言った。「こんな暖かいヘアバンドは初めてだよ。ありがとう」
「オパが一生懸命作ることに意義があるんだよ」ハクリューとアカリューも言った。
「ちなみに人間の姿になると首が温かいから、2wayなんだ」黒龍がフォローした。
「黒龍のフォローの仕方が上手いな。それは人気出るわけだ」友紀は感心していた。
オパは嬉し涙が止まらなかった。
ハクリューは気づいた。オパの頭を撫でる黒龍の目が、とても優しいことに。
「もしかしたら、黒龍はオパを愛しているのでは?」ハクリューが呟いた。
「多分な」正幸は、ハクリューの意見を否定しなかった。




