【第87話 仲直りの本音おにぎりと雑巾縫い】
友紀が仕事を終えて龍神の里にやって来た。大龍神に呼び出されたのだ。
龍神の館に入ると、正幸と目が合った。少し気まずい。
「二人が揃ってから話をしようと思ったが、お腹も空いただろう。おにぎりを食べよう」大龍神が言った。
おにぎりを食べると、友紀は不思議な感覚に包まれた。これは浄化おにぎり? いや、何か違う——。
「美味しそうに食べるなぁ」正幸が言った。
その瞬間、友紀の口から本音が溢れ出した。
「実は、同僚の紹介にうんざりしてたんです。ベテランスタッフの前で、正幸さんのことを大事な人だって言いました。正幸さんを傷つけるつもりなんて、なかったんです」
正幸の顔が真っ赤になった。龍神ズも顔を赤らめている。
正幸も本音が溢れてきた。「本当に付き合っていると思ったから焼きもちを焼いた。でもハクリューから、友紀の目から好きなオーラが出ていないって言われて……」
「焼きもちを焼いていただけか?」大龍神がからかった。
「友紀のことを愛してるから、余計に焼きもちを焼いたんだ」
聞いていた友紀は、あまりの恥ずかしさに倒れそうになった。
「刺激が強すぎたかな」黒龍が笑った。
「恐ろしい効果だな、本音おにぎりって」正幸が言った。
互いの気持ちを言い合った二人は、仲直りした。
「しかし、二人が喧嘩したのは周りを心配させた。反省の意味を込めて、雑巾を縫ってもらおう」大龍神が言った。
友紀と正幸は一生懸命縫っていた。しかし、最後の一枚がなかなか縫えない。
正幸は友紀の手から雑巾を取り、丁寧に縫い上げた。
大龍神は雑巾を友紀に渡した。「これは、正幸と今後喧嘩したときのために持っておきなさい。二人で力を合わせた証だ」
ちなみに、縫い上げた雑巾は旅館出雲で使われることになった。二人の良い気が込められているため、さらなる集客へと繋がったという。




