【第82話 バレンタインに向けて】
1月のある日、友紀と正幸はデパートにショッピングに行った。
友紀は手芸店へ向かった。実はオパから、黒龍のマフラーを作るためのメリノウールの毛糸を頼まれていたのだ。
一方、正幸はバレンタインに向けて朱雀寮で出す新メニューの試作品を探していた。買い物を終えた後、黒龍が正幸に相談した。
「オパに何かあげたいんだけど……」
正幸はジュエリーショップをチラリと覗いた。バレンタイン限定のジュエリーがたくさんあった。
「オパに合いそうなものはある?」正幸が小声で黒龍に聞いた。
黒龍が選んだのは、中央にピンクの石が入ったピンクゴールドのペンダントだった。
正幸は黒龍のプレゼント代を立て替えることになり、予想外の痛い出費となった。友紀にもプレゼントを用意したかったが、プレゼント代を使い切ってしまった。黒龍からはいつか返済してもらう約束をした。
帰り道、カップルが喧嘩しているところに出くわした。
「手作りなんて重い」男性が言い、女性が泣いていた。
オパの顔が曇った。自分も黒龍に手編みのマフラーを作ろうとしていたからだ。友紀も正幸が喜んでくれるか途端に心配になった。
正幸がすぐに気づいて言った。「友紀、俺が頼んだから気にするな」
友紀は苦笑いした。「落ち込んでるの、分かっちゃったな」
友紀は正幸に耳打ちし、黒龍に手編みをどう思うか聞いてもらうことにした。
「何でも一生懸命作ってくれるなら、喜んで受け取ります」黒龍が答えた。
オパの顔が明るくなった。
それを見て、友紀も一緒にネックウォーマーを作ることにした。




