【第8話 涙の窓作業と素直な友紀】
数日後、友紀はついに通常作業に戻った。別作業を経て、彼女は清掃技術をパワーアップさせていた。しかし、そんな友紀にも苦手な作業があった。それは……窓作業だった。
窓作業は特に彼女にとって難関で、過去には一日かけても終わらなかったこともある。しかし、今の友紀は「出来ないことは無い」という強い気持ちで挑むことにした。ふと、チームメイトの提案が耳に入る。
「スプレーじゃなくて、窓モップを濡らしてしっかり絞ったら、上手くいくんじゃないか?」
友紀はそのアドバイスを試すことにした。そして、心を込めて清掃を始めると、驚くほどスムーズに作業が進んでいった。苦手な作業が嘘のような結果だった。
午前11時半頃、トレーナーが姿を消した。正午にトレーナーが戻ってくると、友紀はすでに終わっていて、仲間たちからは拍手と歓声が上がった。友紀はその瞬間、嬉し涙が溢れそうになった。
彼女にお祝いの気持ちを込めて、トレーナーがのり弁当を買ってきてくれた。友紀が一口食べた瞬間、涙が止まらなくなった。オパももらい泣きし、アカリューとキリュウは驚いて見つめた。
「みんな、今まで迷惑かけてごめん。本当に応援ありがとう。」
友紀の心からの言葉に、アカリューとキリュウも思わず微笑んだ。「このままでいて。」と彼女を励ます。
そして、全ての作業が終わり、安堵感に包まれたその時、突然強い雨が降りだした。みんな急いで帰ろうとしたが、キリュウが窓の外を指差した。
「あれは…スイリュウだ!」
スイリュウは、名前の通り藍色のたてがみに水色の体を持つ龍神だった。アカリューが言っていたもう一体の龍神である。スイリュウは、友紀の成長を認めて力を貸すために現れたのだった。
「母を助けてください。」友紀は懇願した。雨雲が強かったため、スイリュウは友紀とオパを背中に乗せてアパートに送り届けることになった。
契約が交わされ、友紀は新たな力を得たことに興奮していた。その瞬間、携帯電話に着信があった。誰からの電話だろう?
友紀はドキドキしながら電話を受け取った。