【第61話 秋の公式戦に向けて】
友紀はこのは練習にやって来た。コンクールに向けた本格的な練習が始まっていた。
「正幸とデートしたんでしょう?」
里美が笑いながら尋ねたが、友紀は暗い顔をしていた。
「正幸さんの前でも素直な自分が出せなくなった」
「何かあったのか?」
高橋先生が心配そうに聞いた。
友紀は話し始めた。教育係の告白を断ったこと。仕事の責任が大きくなったこと。だんだん正幸の存在が昔のように大きくなってきていること。そして、そのことについて戸惑いが生まれたこと。
「どうして人は恋をしてしまうのか……」
友紀は苦悩した表情を浮かべた。
高橋先生は穏やかに答えた。
「それだけ人の色んな面が見えたのであろう。好きっていうのは、互いの力を信じ合える人も含まれる。チビスケは色々な恋と経験をして大人になっていくんだよ」
そして、優しく付け加えた。
「このはメンバーのことを信じている」
「高橋先生の期待に応えられるように頑張ります」
友紀が答えると、高橋先生は笑顔で言った。
「まずはチビスケ、色々な経験を楽しみなさい」
友紀は少しだけフッ…と笑った。
見守っていた黒龍が言った。
「うまく行かないことも楽しめるようになれるのも友紀の進化だな」




