【第60話 大龍神さまはお見通し】
友紀は正幸とお使いに行くことになった。龍神たちはこっそりとついていくことにした。
正幸が友紀にスニーカーを買ってくれることになったのだ。というのも、友紀は梅雨に滑って転びそうになり、危なっかしいとスイリュウが思ったからだ。
「じゃあ買いに行くか」
正幸が言った。
「スニーカーはどのようなものでも構わない」
友紀がそう言うと、正幸は首を横に振った。
「友紀はもう宝尼メンバーの一員なんだから、きちんと身なりを整えてくださいと上からお達しが来てるんじゃないか?」
実は友紀、正幸にまで甘え下手になっていた。しかし、大龍神は鏡を通じてそのことを見抜いており、敢えて二人きりでどこかに行きなさいとハクリューを通じて伝えていた。
「大切な人にはいつも幸せでいてほしいものだ」
正幸の言葉に、友紀は少し勇気を出した。
「かっこいいスニーカーを選んでもらっても良いですか?」
二人が向かったのはWORKMAN。靴だけでなく軍手や作業着、キャンプ用品など何でも揃うお店だった。正幸が選んだのは外反母趾用の靴、そして運動しやすいローリングタイプの靴だ。どちらにも反射板が入っており、とても安全だ。友紀は宝尼の面談でようやく一段階昇格したので、そのお祝いでもあった。新しい靴を履いて、友紀はとても幸せだった。正幸にも笑みが溢れた。
「素戔嗚神社からも近いし、せっかくだからお詣りに行こう」
買い物の後、正幸と初めて二人きりでお詣りした。
「立派な木だな」
正幸が見上げて言った。
「大きな木や龍たちに何度も助けられてきた。きっと素直になれない私のことも見透かされている」
友紀がそう言った時、友紀にはまだ正幸に心を開ききれない部分があった。
その時、大龍神が風を起こした。友紀は思わず後ろから正幸にしがみついた。正幸は特に友紀を拒否などしていなかった。二人の距離が少し縮まった瞬間だった。友紀と正幸はこれから上手くいくのだろうか。




