【第50話 人生ビターandスイート】
友紀は、このはの練習所に来ていた。しかし、もうくよくよしていなかった。
「失敗は次の成功の糧。経験を積んで立派な舞台人になっていくんだよ」
成美先生はそう言ってくれた。
「チビスケは大丈夫か?」
高橋先生が声をかけた。
「確かに悔しかったです。でも母が『こんなものじゃない』と言ってくれて、逆にこれから上がっていくのも楽しみになりました」
友紀は続けた。
「私は良い仲間に恵まれました」
高橋先生は、友紀の精神面の成長を見て驚いた。
里美と帰る道すがら、黒龍が独り言を言った。
「今まで何て突っ張って生きてきたんだろう」
オパが応じる。
「それに気づけば、友紀みたいに生きるのも良いね」
友紀は苦笑いした。
「私もいっぱい意地張っちゃったけどね」
正幸が練習所の近くまで迎えに来ていた。
「しまった、充電切れてた!」
友紀が焦ると、里美が言った。
「人生はビター&スイート。それでも重なってあなたになる」
「……それって?」
「『手をつなげば温かいこと、嫌いになれば一人になってくこと、一つ一つがあなたになる』っていう歌詞のアレンジ」
里美は白状した。友紀も黒龍もオパも大笑いした。
正幸はそのやり取りを見て微笑んだ。正幸の車に乗って朱雀寮まで帰る道中、オパと黒龍は身を寄せ合って眠った。友紀はさらなる飛躍を誓っていた。
次回からは、友紀の座敷奮闘編をお送りします。お楽しみに。




