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【第47話 ホットミルク】
友紀と正幸の関係にも、少しだけ変化があった。
正幸が朱雀寮に正式に入寮したのだ。友紀も家族に相談し、今のアパートの契約が満了したら朱雀寮に入ることを決めた。
入寮してしばらく経ったある日、二人は久しぶりに一緒にホットミルクを飲むことにした。
「仲良くなったきっかけも、ホットミルクだったよね」
カップを両手で包みながら、友紀が呟いた。
「そうだったな」正幸は小さく笑った。
あれは、友紀がまだ正幸のことをチンピラみたいで怖いと思っていた頃のことだ。ある夜、怖い夢を見て眠れなくなった友紀に、リビングでくつろいでいた正幸が「ホットミルクを作ろうか?」と声をかけてくれた。
飲みながら話してみると、正幸は穏やかで優しいお兄さんのような口ぶりだった。それから友紀は、正幸と話す時間が好きになっていった。
「やっぱり正幸さんと話すと落ち着くなぁ」
友紀がそう言うと、正幸はカップに視線を落としたまま答えた。
「これから朱雀寮にいるから、話くらいは聞くよ」
これからどうなるかどうかは、まだ分からない。でも、二人の間にあった壁は、少しだけ低くなった気がした。




