【第45話 オパと黒龍が送迎】
キリュウの妊娠が安定期に入った頃、龍神ズの間で重要な話し合いが行われた。
「キリュウの体調は安定してるけど、やっぱり送迎は必要だよね」とアカリューが切り出した。
きっかけは、ある夜、友紀が木の根につまずいて転んでしまった出来事だった。幸い怪我はなかったが、アカリューは真剣な表情で言った。
「今、キリュウに転んでもらっても困る。それに、キリュウの体調を常に考慮しなければならないから、長時間の外出も難しい」
友紀も深く頷いた。「そうだね。無理はさせられないし…」
話し合いの結果、友紀のもとに最初からいるオパと、実は何事にも真面目に取り組む黒龍の二体が、このはへの送迎を担当することになった。友紀も二体のことを信頼していたから、安心して任せられた。
最初は淡々と送迎の役目をこなしていたオパと黒龍。しかし、このはの団員たちは、二体の龍神をすっかり気に入ってしまった。
「オパちゃんも黒龍くんも、一緒に舞台に立とうよ!」
団員たちの熱烈な勧めに、頼まれたら断れない性格の二体は困惑しながらも承諾した。大龍神から「変わらずの肌着」を授かり、まずはマネージャーとして、このはの活動を応援することにした。
友紀も手を抜かなかった。音取りソフトを活用し、千晶や凛にピアノを弾いてもらいながら、歌を自分のものにしていく。その真摯な姿を、オパと黒龍は毎日そばで見守っていた。
そして、友紀も龍神ズの誰もが想像していなかった事態が、静かに、しかし確実に起こり始めた。
稽古を見守る中で、ふとした瞬間に目が合うオパと黒龍。
休憩時間、お互いの感想を語り合う時間が増えていく二体。
友紀を送った帰り道、なぜか会話が弾んでしまう二体。
いつしか、オパと黒龍は、互いに特別な感情を抱くようになっていた。
「これは…恋、なのか?」黒龍は自分の気持ちに戸惑いながらも、オパと一緒にいる時間が何よりも心地よかった。
オパもまた、黒龍の真面目で誠実な姿に、徐々に惹かれていくのを感じていた。
龍神同士の、新しい恋の物語が、静かに幕を開けようとしていた。




