【第41話 キリュウが妊娠?】
朱雀寮には甘い香りが漂っていた。バレンタインが近づいているため、友紀は宝尼メンバーにマフィンを作っていたが、もちろん龍神たちの分も考慮に入れていた。
「たくさん作るね」
正幸が驚いて言うと、友紀は笑顔で返した。
「もちろん正幸さんの分も作ってるよ」
正幸の顔には満足そうな表情が浮かんだ。
しかし、その甘い香りに苦しそうなキリュウが何度もお手洗いへ足を運んでいた。友紀は彼女に申し訳ない気持ちでいっぱいになり、どうにか気を遣おうと考えていた。
その時、スイリュウが興味深い指摘をした。
「キリュウは以前、平気でケーキを食べていたのに、アカリューと結婚してから甘いものを受け付けなくなった。もしかすると、妊娠しているのかもしれない」
友紀は初めはただの体調不良だと思っていた。しかし、スイリュウの言葉が真実であれば納得がいく。つわりの症状なのかもしれない。
マフィンが焼きあがったので、友紀は大龍神や素戔嗚尊、守衛、旅館出雲の皆、オパの叔父夫婦などに配りに行った。全員が喜んで受け取ってくれて、友紀は嬉しさを感じた。
配り終えた後、友紀は大龍神に相談した。
「スイリュウの言っていたこと、可能性があるでしょうか?」
大龍神は穏やかに答えた。
「キリュウを見てみないことには判断できないが、もし妊娠しているのなら、友紀たちも気を配る必要がある」
友紀はキリュウを龍神の里に連れて行くと約束し、急いでくすのきの穴を通り抜けた。




