【第35話 新しい一歩へ】
友紀は、祖母との別れをしっかりと果たした後、練習にやって来た。顔には晴れやかな表情が浮かんでいる。心のモヤモヤが晴れたようだった。
成美先生が優しく声をかけた。「良い顔してるわね」
友紀は少し涙を浮かべながら答えた。「成美先生のお話のおかげです」
成美先生はその反応を受けて微笑み、友紀を抱きしめた。友紀の心にあった重荷が、少しずつ軽くなっていくのを感じた。
高橋先生も友紀を見つめながら微笑んでいた。「良かった、生き生きしてるね」
アルトメンバーが集まると、友紀は仲間たちに向かって言った。「安らかな、いい顔でした」
里美が真剣な口調で答えた。「友紀の言葉を信じるよ。命を全うした人は、きっと安らかな顔をしてるんだと思う」
高橋先生も同調する。「チビスケも、いつか良い人生だったと言えるようになれるといいな」
その言葉に、みんなは静かに頷いた。友紀の目に再び涙が浮かびそうになったが、彼女はそれをぐっとこらえた。
やがて、夕焼けを歌う時間がやって来た。友紀は自分の心の中で変化を感じていた。今日は泣かずに歌うことができた。
「チビスケが泣かずに歌えるようになったね」高橋先生が笑顔で言った。
友紀は仲間たちに報告した。「私は悔いのない別れができました!」
「友紀の顔から憑き物が落ちたのがわかるわ」アルトリーダーが感心しながら言った。
友紀はこう思った。素敵な生き方ができれば、良い人生だったと言えるようになりたい——。
練習が終わった後、成美先生が友紀を呼び止めた。
「友紀、これからは時々、『今、私はどうするべきか?』って自問してみて。もっと生きるのが楽になるから」
その言葉が、友紀の心に深く響いた。
帰り道、友紀は成美先生の言葉を思い出していた。「今、私はどうするべきか?」
その問いを胸に、友紀は新たな一歩を踏み出そうとしていた。仲間たちの温かさ、祖母の思い出、そして成美先生の言葉——それらすべてが、友紀の支えになっていた。




