【第32話 お祖母ちゃんの死】
友紀は毎週、実家に帰るのを楽しみにしていた。しかし今週に限って、社員証を忘れてしまった。仕事の合間に母へLINEを送った。「一旦実家に帰って良い?」
返ってきたのは、いつもと違う短い言葉だった。「また連絡します」
少し不安に思いながらも仕事を続けていると、オパと話している最中、突然スマートフォンが振動した。「帰ってきて良い」という母からのメッセージ。実は、母方の祖母が危篤状態だったのだ。
心臓がドキリと跳ねた。
「大丈夫か?」黒龍が心配そうに声をかけてくれる。
「うん、冷静にならなくちゃ」友紀は自分に言い聞かせた。「一旦アパートに戻ろう」
黒龍の背中に乗り、アパートへと戻った。
部屋に帰ると、涙がこみ上げてきた。「この前会った時は元気だったのに……」
急いで不要な荷物を置き、アカリューに飛び乗って実家へ疾走した。
実家に戻り、鍵を開けた瞬間、電話が鳴った。嫌な予感がした。受話器を取ると、耳元で言葉が響いた。
「お祖母ちゃんが今しがた亡くなった」
その瞬間、友紀は涙を流し、声をあげて泣き崩れた。
どうにか社員証をアカリューが持ってきてくれたものの、気持ちはまるで暗闇の中にいるようだった。
1時間後、帰宅した父と母は疲労しきっていた。祖母は享年95歳、大往生だった。
友紀は忌引き休暇を取るべきか両親に相談したが、2日間は普通に出勤するよう言われた。祖母は友紀が一生懸命働き、調子を取り戻したことを心から喜んでいたからだ。
「もしかしたら、社員証を忘れたのは良かったのかもしれない……」スイリュウが静かに言った。
その言葉を聞いて、友紀は涙を拭った。祖母の死をしっかり受け止め、仕事に専念しよう。そう決意した。
龍神ズは二手に分かれた。オパ、キリュウ、スイリュウは友紀の仕事を支援し、アカリュー、黒龍、ハクリューは大龍神や素戔嗚尊への報告に向かった。
友紀はしばらくの間、実家から出勤し、いつも通り精力的に仕事をこなしていった。
悲しみの中にあっても、祖母の存在は友紀の心の中にあった。祖母が見守ってくれている——その思いを胸に、友紀は前に進み続けた。




