【第29話 あのひとの正体が判明。それは…】
兄のハクリューに頼まれ、オパはある食品会社の開発部門へお使いに行くことになった。相手は本郷正幸という男性だ。
正幸は元々友紀と付き合っていたが、政略結婚が理由で別れざるを得なかった。しかし結婚生活は長く続かず、体調を崩したこともあって離婚し、宝尼に戻ってきたのだという。
実は正幸には、龍神との縁があった。友紀と交際していた頃、人間界に留学していた龍神——当時は「先代オパ」と呼ばれていた——と出会い、親交を深めていたのだ。その龍神は留学を終えて龍神の里に帰還する際、銀色のたてがみに白い体を持っていたから「ハクリュー」と改名した。つまり、現在オパの兄であるハクリューこそが、かつて正幸が知っていた先代オパだったのである。
支社に戻ってきた正幸の前に、再び龍神が現れた。「えっ? あの先代オパなのか?」正幸は驚きながらも、ハクリューとの契約を結ぶことになった。
正幸は朱雀寮の近くにあるアパートで一人暮らしをしており、家事全般に長けている。ハクリューも人間界での生活において、正幸の動作を観察しながら家事が得意になっていった。幹也からは「朱雀寮で一緒に住まないか?」と誘われたが、正幸は彼の気遣いを感じつつも断っていた。
ある日、ハクリューは友紀と再会した。そしてうっかり、友紀が宝尼店へ異動してきたことを話してしまったのだ。その瞬間、正幸は驚きのあまり手にしていた皿を落として割ってしまった。
かつて愛し合いながらも別れざるを得なかった二人。友紀と正幸は再びつながることができるのだろうか? 龍神たちが結ぶ不思議な縁が、二人の運命をどう動かしていくのか——。




