【第15話 宝尼に行こう】
友紀は有給休暇を利用し、通勤時間を計るため宝尼に行くことを決めた。もちろん、龍神たちも同行する。彼らは初めての宝尼にウキウキしていたが、スイリュウから「周りのお客様に迷惑をかけないように」と注意されると、しょんぼりしながら小さな声で「ごめんなさい」と謝った。
生麦市のアパートから宝尼市までは電車で40分。そこから更に20分歩いて、鶏串屋宝尼店に到着した。友紀の心は高鳴っていた。会社で最も厳しいトレーナーがいるという噂を耳にしていたから、少し緊張していたのだ。そして、宝尼店がどれほどのものであるかを見極めるため、さっそくイートインで唐揚げ弁当を注文することにした。
店内の雰囲気は明らかに素晴らしかった。周囲を見回しながら友紀は思った。(確かに厳しいトレーナーがいるみたいだけど、私も頑張らなければ)
心を引き締めていると、スイリュウが「線路の向こう側に神社があるから、挨拶に行こう」と提案した。
友紀はうなずき、イートインから立ち上がろうとしたその時、バランスを崩してしまった。すると、バッグから社員証と制服が見えてしまい、店長に「もしかして二田から来た朝長さんですか?」と声をかけられた。
宝尼店のメンバーたちが一斉に友紀を見つめる中、オパが小声で「頑張って」と背中を押した。
「私は1ヶ月後にこちらへ赴任する朝長友紀です」と挨拶すると、幸運にも温かく受け入れられ、教育係をつけてもらえることになった。自己紹介を無事に終えた友紀は、スイリュウが言っていた神社に向かうことにした。
素戔嗚神社に到着すると、爽やかな風が吹いてきた。「ここでも自己紹介しよう!」と思い、友紀は鳥居の前で手を合わせた。「1ヶ月後に鶏串屋宝尼店に赴任する朝長友紀です。そして、私に付き添ってくれた龍神たちです」
その瞬間、隣の小さな祠に挨拶しようと近づくと、突然強い風が舞い上がった。木々の上を見上げると、黒い龍神が友紀たちを見下ろして笑っていた。
(素戔嗚尊様かな?)と思った友紀だが、アカリューが首を振った。「いや、素戔嗚尊様はもっと荘厳な神様だよ」
キリュウが警戒しながら「あなたは誰?」と尋ねると、邪気に満ちた黒い龍神は低い声で「黒龍だ」と名乗った。
「私は朝長友紀。よろしくね」友紀が挨拶すると、更に強い風が吹き荒れ、龍神たちが吹き飛ばされそうになった。しかし、オパは黒龍の瞳の奥に、強い悲しみと恨みが渦巻いているのを見抜いた。
お参りを終え、素戔嗚神社を出て宝尼駅へ帰ろうとしたその時、友紀の名前を呼ぶ声が聞こえた。振り返った友紀の前に現れたのは…?
友紀は驚きの表情を浮かべながら、その人物を見つめた。「あなたは…!?」




