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淀みの中で

作者: 武田道子

淀みの中で



生まれてきたのは意図的だった

生まれてきたのは結果だった

生まれてきたのは意思ではなかった

プラスとマイナス

凹凸

そこに肝心な私はいなかった



選択権がない時

選択されたことで意味をなす

命という賜物

何も分からなくていい

何も考えなくてもいい

今があるだけ



明日は?明後日は?明日明後日は?

カレンダーを埋めることは誰にでも

可能だけれども

可能性と確実性はまた別なもの



活字、ネット、ソーシャルメディア

捉えられ、繋がれ、溺れさせられ

まさしく中毒

頭も心もぐらぐら

何も満たされないのに

また囚われ、繋がれ、溺れてしまう



いっそ泥鰌になって

淀みの中で

ぬるぬるの泥を蹴散らし

自分なりに自分のままでいられれば

朦朧とした淀んだ頭と目が

光を探す


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