雷鳴に
電気を消したとたん
空が眩く光った
そして遅れること数秒
雷鳴の轟くのがはっきり聞こえた
世界と私の間にある
透明な壁がひび割れた
輪郭もあざやかに
世界は立ち上がっていく
窓を開けると
生ぬるい風
草のなびく音
照らし出される建物
ああ、生きている風だ
湿った風だ
ゴーギャンのように
熱帯の島にいるのだと錯覚しそうなくらい
こんな夜を見ていると
無性に叫びたくなる
狂女のように
もっと、見たい
そう切に願う
赤いような、青いような
稲妻の輝き
鮮やかな光の下は
どんな、避雷針があったのだろう
鮮やかな稲光にふさわしい
凛とした鉄だといいと思う