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堕ちる恋と朽ちる愛

作者: 由稀



終わってすぐ服を着る。優しく頬を撫でてくれたりしない。髪も触ってくれない。


繋がっているときはあんなにも優しいのに

あんなにも愛しいと言ってくれるのに


「…煙草、取って。」

あなたと同じ煙草を吸い始めたのはつい最近。

初めは苦かった。けど、それだけであなたと繋がっている気になれた。


たまに会って、体を繋げる。

それ以外何もない。

話すのは少ない。


彼女にはもっと多く話しているの?

もっと優しくしているの?


彼女と繫る携帯電話を愛しそうに見ないでほしい。


あなたにいくら好きだと言われても

私が返せないのは、あなたの好きが他にあるのを知っているから。


あなたの一番になれないのを知っているから


「呼んだらすぐに行くからね。」

じゃぁなぜ電話が繋がらないの?


「連絡いつでも待ってるよ。」

あなたからの連絡はいつだってないまま。


かかってくることない無機物を握り締め、送れない文章を作成して…。


あたしが一番になれないなら、そんな優しさいらないの。


「一つだけ聞かせて。」

「何?」

「どうしてあたしを抱くの?」

あなたは逃げるように煙草を咥える。

そうやって黙り込むのは卑怯だと言わなかった?


涙が出そうなのを必死に堪えて笑う。

困った時に鼻をかく癖。彼女の前でも出ているんでしょう。


「……ごめん。困らせて。」

結局あたしが折れる。困る顔なんて見たくない。


「あ、違う。ごめん俺こそ…。」


あなたを困らせない。ねぇ、それは断言できるの。

あなたに会わない。ねぇ、そんなこと無理なの。


あなたの全てが欲しい。

そう思うの。


立ち上がってキスをした。


この唇が好き。



初めてキスをした時に言った。


そこからあなたに夢中なのに…。


さよなら。の4文字を言えないあたし。

さよなら。の4文字を言わないあなた。



堕ちる恋を

朽ちる愛を

助ける術などあたしは知らないの

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