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BIBLE OF THE 13 九日目
―4日前―
あれからシスターはまだ起きてきていない。
ヴァルキリー化の代償なのだろうか。
「ヴァルキリー化?」
「ああ、お前らは知らんかもしれんが、シスターは不老不死――」
「その話はもう聞きました」
「あ。そう」
少し残念そうな顔をするビリー。
「それで、ヴァルキリー化って?」
「シスターは不老不死だろ?その副産物だよ。噂だがね。
ちなみに、その状態では5分は人間で居られる」
「時間を過ぎたら?」
「ヴァルキリーになっちゃうだろうねぇ。シスターという人格を食らい尽くす。
だが逆に、その時間の間であればシスターは無事で居られる」
「なら、やることは一つですわね。ディシプル」
「はい!シスターをお守りします!!」
「なら、熱とか出した時にゃあ注意してやんな」
「熱はおさまったわよん、グッド……ですわ、ビリー」
「そっか、ありがとな。シスターにはもう少し安静にしとくよう伝えておいてくれ」
孤児たちはすんなりと受け入れてくれた。
もっとも、まだ幼い子たちには聞かせられない話だが。
作り笑いが上手な薔薇子もそれには心から小さく微笑んだ。