BIBLE OF THE 13 六日目
―7日前―
昨日の作戦会議で決まったことは…
ビリーとジン。
ジンというのは後で合流する仲間の一人。
私が以前四天王をしていた時に一緒に戦った暗殺者……つまり教会の汚い部分を担う汚れ役だ。
それでも当然ながら、接近戦を得意とする私が切り込み役として前に出ることになった。
薔薇子は、その視力を活かして撃ち漏らしを撃破。
ディシプルとアグネスは孤児院の周りに広域バリアとなった。
「つまり私は孤児院を護れば良いんですね」
昨日居なかったディシプルは納得した様子で頷く。
アグネスは、というと未だ暗い顔をしていた。
私は二階の薔薇子の部屋に足を向けた。
「薔薇子」
「なあにん?シスター」
「敵影は?」
「ちょっと先に二人居るけど、撃っちゃって良いの?」
「いえ、会いましょう」
「どうしたのよいきなり」
「法皇にこちらの存在をアピールするチャンスです」
「ナルホド」
薔薇子は自慢の弓の手入れを始めた。
私も庭に出て来客を待とう。
「待ってくれ、シスター」
「ビリー、何か?」
「一応これを持っておいてくれ」
「聖杖の仕込み刀…物干し竿に使っていた筈ですが」
「ああ、鍛冶屋に頼んで魔力も通せるようにしておいた」
「ありがとうございます」
私は久しぶりの感触の杖を手にして、ビリーを見送った。
30分を過ぎた頃、ようやく二人の影が見えて来た。
法皇指定の修道服だ。それもかなりハイレベルの者しか着用が許されていない正装。
「久しぶりですね、シスター」
「あなたも相変わらず」
「セリア先輩、こんなやつ…」
「黙っていて下さい」
セリアは強引にもう一人の口を遮った。
「唸れ疾風…!」
私は仕込み刀を抜くと、かまいたちの魔法を二人に放った。
「きゃっ」
「あああぁっ」
その衝撃のあと、二人は血まみれになっていた。
「きょうはこれで見逃しますが……
法皇に言っておいて下さい。”狩るのは私で、狩られるのは貴様”だと」
そう言い残して、私はセリアともう一人に背を向けて、その場を後にした。
「とりあえず…これでこちらの対応は理解されるはず。
そんな事よりもきょうの晩御飯もカレーですかね…作り過ぎましたし…」
などと呟きつつ。