BIBLE OF THE 13 十三日目
「実は最後まで黙ってようかと思ってたんだけどさ」
ビリーはおもむろに口を開いた。
「イェクルスナウト・グッドナイトって俺の事なんだよね」
「嘘ですね!」
「嘘ですわね」
口を揃えて否定するアグネスとディシプル。
「黙っていたようで悪いが………本物だ」
「私も知っていたわよん」
「私も…」
ジン、薔薇子、シスターは騙していたような気がしてばつを悪くした。
「え?死んだんじゃなかったんですか?」
「いや、あれはなんていうか、そうしといた方が良かったっていうか、そこいらの奴隷商人を騙して身代わりにさせたんだよね」
「イェクルスナウト…」
「シスター…帰ったら、プロポーズさせてくれ」
「はーい!甘いの禁止よん!」
「まったくだ………」
「まあ、それはよしとして作戦を説明するよ。
孤児院の裏側はジンに任せるとして、私は矢筒をいっぱい持って屋根から狙撃。
ディシプルとアグネスは広域バリアで孤児院を死守、だな。」
「イェクル…いえ、ビリーは?」
質問を口にしたのはシスターだった。
「俺はシスターと共に切り込んで行く。ジンも後ろが片付いたら手伝ってくれ」
・・・その昼・・・
「よし、行動開始だ」
「いつでもOKよん」
「いける………」
「私たちも!」
「負けてられませんわ!」
「行きましょう、イェクルスナウト」
「ああ」
シスターたちは中央を切って庭先から走っていく。
やはり親衛隊がぞろぞろと居る。
『セリア殉教者に祈って我々もあの薬を飲むぞ!!』
私は声を荒げた。
「それは悪魔の飲み物だ!やめろーーーーっ!!」
『反教徒に死の鉄槌を!』
『反教徒に死の鉄槌を!!』
狂化薬を飲もうとする矢先、瓶だけ矢で砕かれた。
「薔薇子…!よし!」
その隙に木刀で親衛隊の頭を殴っていくイェクルスナウト。
広域バリアの息切れが生じる時はジンが敵を薙ぎ払う。
まさに無双。天下一の四天王の一日限りの復活だった。
奥には80回目法皇が待ち構えていた。
シスターは仕込み刀を抜いて、
「死んで頂きます。」
そう言い放った。
「そうか、私は死ぬのか……」
「シスター、私はあなたに…愛され…たかった」
一刀両断。
汚らしい血が噴き出る。
さあ、帰ろう。
私の、私たちの家へ…。
「イェクルスナウト・グッドナイト」
「なんだ?」
「愛していますよ」
さあ、帰ろう。私の居場所へ。
愛する人たちと。