BIBLE OF THE 13 十一日目
―2日前―
「薔薇子、ジンが来てくれました」
「ビリーが連れて来たのかしらん?」
「はい、役者は揃ったということでパーティーを開きたいのですが」
「残念ねん、それは無理よ」
「…?」
敵影が孤児院の後ろに十人、前方にこの間の二人ねん。
「分かりました。迅速に対処します」
……ぞわ。
一瞬、シスターに寒気が走った。
この症状は間違いない…アレだ。
「ジン、起きていますか?」
「ああ、薔薇子から聞いた。殲滅に向かう」
「では私は正面の敵を…」
庭先に出ると、二人の聖職者が居た。
一人はセリア、もう一人はこの間の女である。
「いい加減諦めたらどうですか」
「きさまっ、セリア先輩になんて口の利き方を!」
「控えなさい、シェリン。
シスター、80回目法皇のところに来ませんか?」
「虫唾が走りますね、それは」
シスターは笑ってない笑みを浮かべる。
「ならば力ずくです」
そしてセリアはバーサーク化されるポーションを手に取った。
「そ、それは!セリア、やめなさい!それは悪魔の飲み物です!」
そんな忠告を無視してセリアは一気にポーションを飲んだ。
「くっ、まだ力は制御出来ないけれどあれを使うしかありませんね」
シスターの周りが光包むと、羽根が生え、ディバインクロスの仕込み刀を抜いた。
その光景に、もう一人の聖職者は尻餅をついて小水を垂れ流している。
それもそのはず、恐怖と恐怖が戦おうとしているのだから。
「ホーリーファング!!」
光を纏った拳がシスターを襲う、が……吹き飛んだのはセリアの方だった。
そしてシスターは馬乗りになり、セリアの喉を貫いた…。
「かはっ……
やはり…お強いですね……師匠は…」
「やっぱりこうなったか。
そこのお嬢ちゃん、逃げてくれ。シスターは俺が止める」
<……ビリー……?ビリー……違う、あなたは…そうだ…>
シスターの羽根は透けてゆき、聖なるオーラも消えていった。