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開戦準備

 家に帰ってテレビをつけたキョーカは愕然とした。

 ある局ではごうごうと吹き荒れる外の様子を映し出し、またある局ではキャスターが必死に警戒を呼びかけている。

「この台風、マジでやばない…?」

 全くもって今更である。キョーカは反省した。今度からもう少しはニュースを見よう。

 やっと事の重大さに気づいたキョーカは、慌てて戦支度を始めた。

 まずは断水に備え、家中の容器という容器に水を張った。

 洪水に備えて簡単な水嚢も作る。これも友人に教わったのだが、いざとなれば中身の水も使えるし、浸水防止のバリケードにもなるし、排水溝の上に置けば水の逆流防止にもなる。優れものだ。

「ええと、あとは…」

 リュックに食料や水、貴重品や救急セットを詰め、非常用持ち出し袋を作る。

 次に、ガタガタを音を立て始めた窓を眺めた。

 ガムテープがあればよかったのだが、今から危険を冒して買いに出ても売り切れている可能性が高いだろう。

 キョーカは申し訳程度にかつて大量買いしたかわいいマスキングテープをペタペタと貼った。まあ、ないよりマシだろう。

 それに、キョーカのアパートの窓ガラスは金網が入っているタイプだ。よく知らないが、きっと丈夫。信じてるぞ、我が窓ガラス。

 キョーカは軽く窓ガラスを指で弾くと、しっかりカーテンを閉めた。

「ああ、そうだ」

 念には念を入れて。

 キョーカは友人のアドバイスに従い、自転車をえんやこらと室内に運んだ。誰だ、こんなに重たい自転車(電気アシスト付きはとても重い)を買った奴は!

 キョーカ自身である。(アパートを決める際、毎日階段を登るなんて嫌だと言い張り、女子の一人暮らしには不人気な一階に入所した入学時の自分を褒めてあげたい。あの時の不動産屋のお姉さんの苦笑いは忘れられない)

 そして、まだ忘れてはならないものがある。

 キョーカは懐中電灯のそばにチーズフォンデュセットを広げた。パーティの準備はバッチリである。


 一通りの準備を終えて、キョーカはホッと息をついた。

 台風の予想進路的に山場は明日である。

 やれるだけのことはやった。あとは開戦を待つばかり。来るなら来い!(いや、できれば来ないで欲しい‼︎)


 睡眠が足りねば戦はできぬ。

 その後、キョーカは早々にベッドに潜り込んだのだった。


次回、ついに嵐がやって来る!

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