表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
糸電話  作者: 37
9/25

目まぐるしい感情

帰宅中の電車の中で彼女にメールをした。

【電車乗れた?大丈夫?】

数分後、返信が来る。

【うん、大丈夫だよ笑。私、大人だよー笑】

ふっと思わず笑ってしまった。

【うん、大人だよな。次、俺から誘っても良い?迷惑だったら今の内に言っておいて欲しい。】

本音を聞いておきたく、少し攻めた内容になってしまった。

【うん!勿論だよー!今日は突然だったのに本当ありがとう!あのね?今日ね?実はね?私、誕生日だったの。飲みに行ってくれてありがとう♡】

えええええええーーーーーーっっっ!!!!!?

ビックリしたまま、その思いを返信する。

【どーして言ってくれなかったの?!そしたらもっと色々考えたのに!!】

【ううん、居酒屋楽しかった!また行きたい♡】

え?なんでだ?女って分からない。

【そーなの?じゃあ又行こうか。】

全く分からない。それだけじゃない。俺から誘っても良いに対しての意味は分かっているのだろうか?少なからず、ホテルの前まで手を繋いで歩いて、満室で無ければ入ろうとしてたんだぞ?大丈夫なのか?大人だよな?俺達は同じ歳だよな?男女でそんなに考え方って違うのか?分からないけど悶々とするのも嫌だし。かと言ってハッキリ言うのも下品だよな。なんてことを考えていたら自宅の最寄駅に到着した。

【駅に着いたよ。帰ったらLINEするから。出来たら返して。心配だから。】

【一瞬寝ちゃってた笑。着いたんだー!早いね!私はあと3駅で着くよー!LINE無理しなくていいからね?】

心配だと言ってるのに無理しなくていいとか、可愛いんだけど可愛くないんだよなあ。

あれ?寝てた?疲れてる?酔ってた?あれ?もしかして俺がキスした事酔っ払ってて覚えてないって事ある?ホテルの前まで手繋いで歩いたけど。覚えてないってオチじゃないよな?

気が気で無いけど聞くに聞けない。

だめだ。色々な事が心配過ぎる。

【絶対する。帰り道気をつけてよ?】

返信は無かった。

駅から自宅まで歩きながら彼女とのメールのやり取りを見直して一つ一つ消していく。こんなにも愛おしいメールを消していく作業は辛いと言う言葉に尽きる。消す前に読み直している俺は自分がこんな気持ちになるだなんて思った事が無い事に気がついた。


家に帰ると妻が待っていてくれた。

「ただいま。大丈夫?起きててくれたんだ?ごめんごめん、後の事自分でやるから寝てくれて大丈夫だよ。」

妻に申し訳ない気持ちもあるが、少し1人になって余韻に浸りたい気分だった。

「お帰り。結構飲んだ?タバコ臭いね。」

ジャケットを取り、ハンガーに掛けてくれた。妻には何となくの返事をして、風呂に入ると言って、携帯電話をリビングに置いた。

 こうする事で妻は安心する。いや、もしかしたら俺が風呂に入ってる間に見るかもしれない。まあそれでもいいよ。俺にやましいことは何も無いよと言うアピールの様な行動の一つだ。

 俺は家庭を壊したいなんて思っても無いし。彼女の家庭を壊そうとも思ってない。じゃあ、あのキスはなんだと聞かれるのであれば、そんな事は俺が聞きたいのだった。

 訳の分からない、自分の行動も考えも上手くなんて説明できない。憂さを晴らすかの様に頭をガシガシと強く洗う。洗い流している時に、コンコンとドアを叩く音がしたのでシャワーを止める。

「ごめん、疲れたから先に寝るね。携帯電話充電器に付けといたよ。」

「あーうん、ありがとね。おやすみ。」

再びシャワーを浴び、湯船に浸かる。彼女と過ごした時間に浸る。色々な笑顔がズルい。ニコニコと微笑んだり、ニヤッと悪ガキみたいに笑ったり。急に黙り込んだり。目の前にいたと思ったら急に遠かったり。叫び出したい程、彼女に愛おしさを感じていた。


風呂から上がり彼女からメールが来ていないことを確認する。

自室のタブレットからLINEをする。

【お疲れ。今日はありがとう。もう帰った?大丈夫だった?ギリギリ間に合った。今23時58分だ。誕生日おめでとう。】

既読になる。やはりLINEは便利だ。

【お疲れ様!大丈夫だよ、ちゃんと着いたよ!誕生日なんて年取るばかりで恥ずかしい笑。でもありがとう!」

【でも同い年に見えないよね。まあよく言われるだろうけど。凄いよな。あのさ、結構酔っ払ってた?】

少しだけ確信に迫りたい。

【よくなんて言われないよー!この褒め上手♡ちょっと酔っ払ってるかも笑!お酒弱いんだ、私。実は笑】

【バイバイした時、覚えてる??】

【うん。バイバイ?覚えてるよ?チュッてした?】

おーおーおー。

【覚えてたんだ?笑笑】

【うん、バイバイの挨拶?】

意地悪だなぁ。

【そーだよ。】

強がり。

【女性とバイバイする時はするやつ?】

んなわけねーだろ。なんなんだコイツは。

【したことないけど。】

【うん、知ってるよ。今日はもう寝るね♡あ、もう日付変わってた!おやすみなさい。】

【おやすみ】と返信をし、既読になったことを確認してこの彼女とのLINEも削除する。

俺も寝よう。疲れとは違うが、色々な感情がくるくるくるくる回り出していた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ