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糸電話  作者: 37
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急な誘い

彼女とメールのやり取りをして数日経った頃、本社で会議があった。朝、いつも通りに彼女にメールで伝える。

【おはよう。今日は朝から本社で会議だよ。今日もお互い頑張ろう。】

直ぐに返信がある。

【おはよっ!今日は休みなんだ^_^会議は何時頃終わるの?飲みにでも行かない?】

 彼女からの返信に悩むような事はしなかった。

【夕方には終わるんだけど、平気なの?ご家族とか…。俺は本社なら電車で行くから平気だけど。】

動揺を隠せたか?

【うん、今日ちょうど主人と子供たちが実家に遊びに行ってくれててねー!!迷惑で無ければ夕方、新宿とかで待ち合わせない?】

年甲斐もなくときめいてしまっていた。

【是非。新宿には19:00には着くと思う。】

会議なんて無くなってくれないかな、なんて有りもしない事まで考え始めた。こんな事が自分の身に降り注ぐなどと思ってもみなかった。ドキドキドキと俺は胸の高鳴りを抑えられずにいた。再び彼女から返信が来た。

【OK!楽しみにしてるね!会議頑張ってね♪】

同じ年齢の女性とメールしているだけなのに、弾む気持ちを隠しきれないまま本社のある駅で降りた。

(今日の会議、早く終わらねーかな。)

駅からは徒歩で本社へと向かう。その道中、妻に連絡をしておこう。と思ったが、だめだ。今は不自然過ぎる。会議が終わってから、同期と飲みに行くことになったと連絡を入れようと考え直した。


順調に会議は進み、いつもより30分も早く終わった。

お疲れ様ですと本社を出て、歩きながらメールを確認する。

【早く着いちゃった♡プラプラしてるね?】

おっと。まさかの彼女も楽しみにしてくれてるのか。だめだ。ハートマークが愛おし過ぎる。顔が緩む。

【今終わったよ。今から向かうね。もうすこし待ってて。】

あ、妻に連絡しないと!!メールでいいか?怒られるか?とりあえず早目にしないと夕飯の支度があるかもしれない。

【会議終わって飲みに行くことになった。夕飯、あるなら食べるし、無ければ無いでもいいよ。】

素っ気ないか?大丈夫か?いつも通りか?色んなことを考えてしまうが、取り敢えず送信する。

【了解。帰る時また連絡して?あまり遅いようなら寝てるかもだし。】

【帰りの電車で連絡するけど眠かったら寝てていいからね、お疲れ様。】

よし。

彼女からの返信だ。

【勝手に早く着きすぎちゃっただけだから大丈夫だよー⭐︎⭐︎ゆっくり来てね!】

あー。なんて癒されるんだろう。この癒しの言葉を今から目の前で聞けるのかと、幸せを噛み締めていた。


着いた。新宿だ。


自然と足早になる。あれ?どこにいる?

初めての電話をした。


「もしもし、お疲れ様っ!着いた?」

弾むような彼女の声。可愛い。

「うん、着いたよ。どこにいる?」

「あ!いたいた!ここだよー!」

「え?マジ?どこ?」

「嘘だよー笑」

「後ろ振り向いちゃったじゃん笑」

なんて楽しいやり取りなのだろう。


電話をしながら待ち合わせ場所へ向かうなんて何年ぶりなのだろう。


何日かぶりに会う彼女は、先日の同窓会の時よりカジュアルな雰囲気でキャップを深く被っていた。

俺の姿を見ると、ニヤリとした。なんだその表情は笑。面白い女だ。

「変装だよー♡」

「そーなの?」

「そーだよ笑」

顔が緩みっぱなしの俺は早く落ち着きたいばっかりに目の前にあった居酒屋を選んだ。まあいいか。デートじゃないもんな。と言い聞かせた。彼女は

「いーよ!急に誘ったの私だし、居酒屋来るのも久々だー♪」

彼女といるとどんな所でも楽しめるのではないかとウキウキしながら暖簾をくぐった。


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