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糸電話  作者: 37
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秘密のメール

寝室から完全に音が無くなるのを確認し、テレビは付けたまま携帯電話を手にした。

メッセージが2件来ていた。

彼女からだ。

【返信ありがとう、久しぶりの地元。少し遠かったけど無事に帰ったよ〜】

【お疲れ様!今日は仕事だよ。小川くんはお休みかな?】

たわいも無い内容だが彼女の愛らしさを感じる。

【お疲れ様。返信遅くなってごめん。俺は休みだった。仕事だったんだ?ママなのに凄いね。】

当たり障りの無い、且つ彼女の置かれている状況に配慮しての返信する。

時間も時間なので、もう寝ているかもしれない。メールはLINEと違って既読システムの搭載が無いので、ジッと待っていて返信が無いのも精神的に辛い為、再び充電器に携帯電話を接続し、洗面所に歯を磨きに行く事にする。

ソファに置きっ放しにして妻がリビングに降りてきた場合を想定し入念な配慮をしている。


歯を磨き終わり妻が一階にに降りてきていない事を確認する。それからもう一度、携帯電話を手に取りソファにくつろぐ。

【ありがとう。でも時短だしリフレッシュ出来て良いんだよ♪小川くんはゆっくり休めたかな?今日はそろそろ寝るよーおやすみ⭐︎】

少し絵文字が入るだけでなんだろう?俺の心は音符のように弾んだ。そして星のように輝くように。

なんだろなんだろなんだろ?とウキウキしながら

【おやすみ】

と返信をして、送信ボックスと受信ボックスのメールを削除する。本当は見返したりしたいけど、証拠を残しておくのは妻に見られた時の事を考えて消すことにした。

またリビングの充電器に携帯電話を接続して、鼻歌など歌い出しそうな浮かれた気持ちの表現をしないように自室に入った。自室のベッドで倒れるように横になって枕に顔を押し付けていた。こんな幸せな時間が一生続けば良いなと軽はずみだが、思ってしまっていた。


翌朝、俺はウキウキして落ち着かない幸せな気分のまま朝の支度をしていた。だめだ。彼女のせいだ。なんなんだろう。大した内容のメールでは無い。分からない。兎に角ウキウキと幸せな気分なのだ。しかし、そう言ったものはやはり妻は見逃さないものなんだな。いつもなら最後にジャケットを羽織って内側のポケットに携帯電話を入れて行ってきます、なのだが、やらかした。意識が携帯電話に向いてるせいか、歯磨きの前にジャケットを羽織り携帯電話をジャケットの内側に忍ばせてしまった。

「何かあった?」

「何が?」

「いつも出る前にジャケット羽織るから」

「あ、ほんとだ。歯磨き粉飛んで無い?」

くすくすと笑っている妻に

(大丈夫だな)

と安堵して、行ってきます。と言う。

妻は娘の幼稚園の送迎がある為、玄関までの見送りは無い。それでいい。

玄関の外に出て鍵をかける。その音を聞いて車に乗る。仕事には車通勤だ。一番初めの赤信号で彼女に【おはよう。今、出勤。今日も頑張ろう。】

とメールをする。彼女からすぐに返信がある。

【おはよう!私も今から出勤だよー頑張ろうね、メールありがとう!朝から嬉しい♪】

だめだ。顔がニヤける。

会社に着いた。部下と入口で会う。

「おはようございます!なんか良いことあったんですか?」

だめだ。大した事は何も無いのに浮ついた気持ちがどこに行っても出てしまうようだ。

「おはよう。なーんも無いよ。そー言えば先週金曜日の企画書、誤字凄かったよ、直して持ってきて。面白かったけどさ笑」

「えーっ?!直してハンコ押しといてくださいよー。。」

「ははは。午前中持ってきて」

と、言って自分のデスクにつく。


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