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糸電話  作者: 37
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加速

彼女はご主人の地元に住んでいるらしく、あまり実家には帰らないようだ。今日も久しぶりだと懐かしさを感じながら終電だからと席を立った。


「連絡して?」

少ししつこかったか?いや、友達としてなら別になんの問題も無いだろうと自分を言い聞かせた。

「…本当にするよ?」

彼女の小さく、か細い声とは相反するように俺の心は大きく高ぶっていた。

「うん」

少し声が大きくなってしまったか?男友達がチラッとこちらを見ていた。

店を後にする彼女の口元は、口角は両端とも上がっていたが目尻は下がる事なく真っ直ぐと俺を見ていた。その表情には真剣さを感じた。


それから数時間慣れ親しんだ顔ぶれでその場を楽しんだ。彼女がいなくなってから、つまらないと感じていた。幹事のお開きの言葉に安堵し帰路に向かう。

 タクシーに乗り、彼女と話した内容を一つ一つ繰り返すように思い出す。あれ?自分の話ばかりして彼女の事何一つ聞き出せていない?酔っていて気分が良かったせいか?頭が回っていなかった。彼女の笑った顔や、お酒を飲んでいるところ、帰り際の瞳を思いながら自宅に着いた。


 妻も子供ももう寝ていた。当たり前だ。夜中の2時だ。リビングの携帯電話の充電器にスマートフォンを繋げる。電話番号で送れるメッセージが来ていた。

『小川君?』

彼女からだ。30分前に来ていたのになぜ気付かなかったかと言うと普段妻が携帯電話を見ていると煩いから見ないようにしている。それが仇となった。もう寝ているかもしれないが返信をしておこうと思った。

『うん、無事に帰れた?俺は今家に着いたところ。今日はありがとう。楽しかった。』

 返信は無かった。それはそうだ。何度も言うが、もう夜中の2時だった。


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