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5歳だった私は目が覚めたら10年後の自分になっていた

作者: 新崎絢斗

パッと思い浮かんだものを、好きな部分だけ書いたので続編を書くのは未定です。

あと二番煎じ感ありますよね。


草木が生い茂り、色とりどりの花が綺麗に咲いた庭園に家族団欒という言葉が似合う光景があった。


「お父様!お母様!みてください!」

「まぁ!アリスにお似合いのドレスね」

「やっぱり私の娘は何を着ても似合うな」


明日初めて会う婚約者にお嬢様の魅力を見せつけてやると、家の者が力を入れて作った水色の新しいドレスを5歳の少女は嬉しそうに着て、くるくると綺麗にターンを決めてその姿を両親に見せていた。


「みんながわたしのために作ってくれたドレスです!きっと明日会う婚約者様も気に入ってくれるに違いありません!」


キラキラした瞳で力強く言う5歳の少女は、アリス・シーグレッド。

シーグレッド伯爵家の一人娘である。

ややスミレ色がかったふわふわの金髪に、ややつり上がり気味のアクアブルーの二重。唇は桜色でぷっくりしており、将来滅多に見れないほどの美人になると周りの大人が口を揃えて言うほどの美貌を備えている少女である。


その遺伝子の元である両親は恐ろしいほど顔の整った人たちであり、母親のセラシス・シーグレッドはスミレのような髪色に、おっとりする印象を与えるタレ目、そしてその優しそうな顔に似合わないボンキュッボンな身体を持っている。


父親のグレイス・シーグレッドは端整な顔立ちで、太陽に照らされるとより一層輝く金髪に、冷たい印象を与えるつり目で、身長が高く顔が小さいため、舞踏会では8頭身なんじゃないかと噂されているほど。


髪色や瞳など両親の特徴がうまく半分ずつ入ってるような感じになったのをアリスは大層気に入っていた。

そして一番誇らしいのは2人の瞳の色であるアクアブルーがそのまま遺伝したことであった。家の者達からは会うたびに瞳の色を褒められるのですごく誇らしいのだと、本人は胸を張って両親に伝えていた。

そんな可愛い一人娘が明日婚約者と初対面となれば、みんな力が入ってしまうのも仕方がないことであった。

ドレスはメイド達が生地からこだわり抜いて、時間をかけて作ったものであった。


「ドレスを汚したらいけないので、一度部屋に戻って着替えてからまた来ます」


アリスはそのドレスを両親に見せ、満足したところで明日婚約者に会う前に汚したらいけないわと思い、一旦部屋に戻って着替えることにした。

両親もそれがいいだろうと頷き、笑顔でアリスを送り出した。

生まれた時から世話をしてくれているメイドのラーナと明日のことについて、色々話しながら屋敷の中を移動していた。


明日はお父様とお母様がわたしのために決めてくださった婚約者様と初対面だわ。

きっと2人が決めてくださった方だから素敵な人に決まってるわ!


明日が楽しみだとルンルンしながら階段を上っていたアリスは、いつもよりも少しだけ丈が長いドレスの裾を踏んづけてしまい、次に出る足がドレスに引っかかり階段を踏み外して、


「…あっ」

「お嬢様っ!!!!」


一瞬のうちに階段を転がり落ちていった。




















ふわふわしてる肌触りのいいこれは何?

ポカポカ陽気が当たっている気もするわ。

あといい匂いがしてくるわ…。

これは焼きたてのパンの香りかしら?


「……んっ」


ぱちりと目を開ければ、見たことのない木材の天井。

周りを見回すと、どこかの一室らしく、机や姿見などがあった。

ふわふわしている肌触りのいいものはベッドのシーツと枕に掛け布団だったのね!と納得しつつ、まだ状況が理解できないため、右を見れば、見たことのないカーテンがついた窓。


「…ん?」


ポカポカ陽気はここの窓から入っていたのね…。

いや、そんなこと呑気に思ってないで、わたし階段から落ちたんじゃなかったの!?


ガバリと身体を起こしたアリスは自分の異変に気付く。


「……あれ?」


あげた上半身には5歳の時の自分にはついてなかった見事なたわわがついていた。

恐る恐る触れると手にずっしりとした重みがあり、心なしか肩も凝ってるような気がした。

そして視界で揺れる紫がかった金髪は、胸元までしかなかったはずなのに、腰辺りまで伸びているではないか。

不思議に思ったアリスがベッドから降りると、


「あれ…?」


少し前までの自分とは比べ物にならないほど視界が上がっていた。

恐る恐る部屋に隅にある姿見まで移動して、覚悟を決めて覗き込んでみるとそこには、


「……なにこれ…」


おそらく成長したらこうであろうと想像される自分の姿が姿見に映し出されたのだった。


頬をつねれば姿見の中に移る美人も頬をつねり、変顔をすれば姿見の中の美人もその美貌を崩し変顔をした。


「…わたしなの…?」


信じられないが今目で見ているものが自分なのだとアリスは理解した。

そして、理解すると今度は現在の時代はいつだという疑問が湧き上がる。

ちらりと見た机の上にカレンダーがあるのを確認したアリスは、覚悟を決めたとばかりに勢いよくカレンダーを見た。


「…10年も経ってる」


なんで?

わたしはさっきまで5歳で、明日婚約者様と初顔合わせだったはず…。

階段から落ちて、目が覚めたら10年も時が進んでいたなんて可笑しな話しあるはずがないわ…。


可笑しいとアリスが考え込んでいるところに、コンコンと部屋のドアがノックされた。


「アリスー?起きてるー?今日は朝会の日よ!遅れるとまたレオナルド様に怒られるよ」


可愛らしい声とともにドアを開けて入ってきたのは、王都の制服に身を包んだ見知らぬ少女だった。


「ちょっとアリス、起きてたなら返事してよ。あとぼーっとしてないで早く着替えなきゃ間に合わないよ?」

「えっと…?」

「なにぼーっとしてるの、着替えた!着替えた!」


可愛い見た目に似合わず強引に着替えさせていく小柄な少女。

アリスは訳もわからずあたふたしつつ、状況が飲み込めなくされるがまま。


「よし!着替え終わったし、早く朝会出て朝ごはん食べちゃお!」


行くよと手を引かれたアリスはおとなしくついていく。


…まず、王都の制服に身を包んでるってことは私はあの有名な学園に入学したこと。そして、この手を引っ張って歩いてる彼女は私の友達という可能性があること。

わからないことがたくさんあるのだが、一番知りたいのは私の婚約者様が誰かということだ。結局初対面の前に階段から落ちてしまって、今の状況になるわけだから…。


しかも、目が覚めたら10年後の自分になってて、学園に入学してるけど中身は5歳の自分のまま。


この先、私は問題なく過ごせるの…?

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